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ひまわり畑の告白

作者: 温故知新

「ねぇ、ここに来るの随分と久しぶりだね」



 上司のパワハラで会社を辞めて田舎に帰ってきた幼馴染の彼女を誘った俺は、幼い頃に『秘密の場所』と勝手に名付けて遊んでいたひまわり畑の中を歩いていた。

 大学進学で上京してから帰って来なかった彼女は、久しぶりの光景を見て、あの頃に戻ったかのように輝くような笑顔を浮かべていた。



「あぁ、そうだな。俺も、ここに来るのは随分と久しぶりだ」

「えっ、そうなの!? てっきり、毎日来てるものかと思っていた。あんた、実家の農家に就職したって帰って来た時に聞いたから」

「バ~カ、実家からここまでどれだけ距離があると思ってんだ。それに、わざわざこんなところに来る用事なんてねぇよ」

「それもそうね。あんたと私の実家からここまでって地味に遠いから、よっぽどなことが無い限り来ないわよね~」



 そう言って納得した彼女と一緒に、俺は広大なひまわり畑の中に入ると駆けまわっていたあの頃とは違い、ゆっくりとした足取りで散策した。



「そういえば、幼い頃にこの場所であんたが『僕と結婚して!』って告白したんだよね。そしたら私は、『私とあんたが大きくなったら考えてあげる』って返事したんだよね。全く、我ながらおませな返事をして……」

「なぁ」



 懐かしむように話す彼女の前に立ち止まった俺は、驚く彼女の顔を真剣な表情で見つめた。



「もし、俺がここであの頃のように『俺と結婚してくれ』って言ったら、何て返事する?」

「はぁ!? あんた、何を冗談言って……」

「本気だ」



 息を吞む彼女の手をそっと取った俺は、そのまま優しく握った。



「今すぐ返事をくれなんて言わない。だが、俺は本気でお前と結婚したいと思っている」

「どうして、私なの? あんた、どうして私がここにいるか知ってるんでしょ? 全てが嫌になってここに逃げてきたんだよ?」



 何かを思い出して涙ぐむ彼女をそっと抱き寄せた。



「あぁ、知ってる。お前が誰にでも優しくてお人好しで誰よりも頑張り屋で、それが上京してからも変わっていないことはお前の親御さんが教えてくれていたから。そんなお前だから、俺は結婚したいと思った。それだけじゃ、ダメか?」



 あの頃と同じでひまわり畑で告白した俺に、彼女は嗚咽を漏らしながら小さく頷いた。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


初めてご都合主義な話を書いたかも(笑)

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