表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

古神道辟魔伝

作者: 古神道者

第一話:夕日映えの街


完成直前の東京ミッドタウンは夕日映えている。

いつもこの街にきて思うのは外人の多さだ、どこか別に国にいるような感じがする。

外人だけでなく、この街の日本人のも少し変わっている。

帰国子女や留学経験など外国にながく住んでいた人が多く、不思議な感じだ。


昼間の貿易事務の派遣の仕事が終り、これから夜のアルバイトが始まる。

バイト先はガールズバーである、六本木にあるので、ガールズバーと言っているが、

ひと前昔なら、スナックと呼ばれるような店でもある。

しかし、店の雰囲気が良く値段が安いせいか、女性客も多く、スナックのようなイメージではない。

店に着くと、制服に着替え、バイト仲間のまゆみと簡単な食材等の確認をする。

調理師がいないのでレンジで暖めて出すものの他は乾き物なので、たいした確認ではない。

オープンまで20分だが、実施的には休憩に近い。

「ちょっと、話があるんだけど、いい?」まゆみがいきなりきりだした。

「実はね、今月いっぱい、来週でお店やめようと思っているんだ」

えっ、なんで?真理が聞き返すと、あゆみは関を切ったように話始めた。

「なんか、中途半端なんだよね、お水ならお水で割り切るのもありだけど、そうじゃないし、バイト代も安いし」

「それに夜働いていると友達とかとも会えないしね。」

「来週から新しい人がくるはずだから。」


それで今度は何やるの?


真理の問いにあゆみは

「そこなんだけど、ITやるんだ」

IT?なんでいきなり?できるの?

「ただでITを教えてくれる会社があるんだ、これ、」


あゆみは名詞を差し出した、”株式会社 H&Iカウンシル”と印刷されているのが読み取れた。


「えっ、君もやめるの?」


バイト代を支給にきたマネージャーが怪訝そうに聞き返した。


ええ、やっぱり私にはむいていないんじゃないかと思って。真理が小さな声で言うと。

「いや、向き不向きというより、慣れじゃないかな?さっき話した通り、時給も2000円にするしね。」


「ちょうど新人を二人入れるんで、三名体制にして真理ちゃんにはボックス席で頑張ってもらおうとおもったのに。」


時給が上がるのはそういう訳だったんですね、それって同席ですよね?強い口調で真理が聞き返した。


「いやだったら、やらなくてもいいよ、そうだ店長にしようか?」


名前だけの店長なんか結構です。真理は憤慨していた。


「今日はもう良いよ、これバイト代」


バイト代を受け取って店を出た真理はあゆみに電話した。


私も一緒にやめるから、ところでこないだの話なんだけど、


「面接の話?わかった話とくね。」


喫茶店に入り、コーヒーを飲みながら、真理は、ふと隣に座っている客に目をやった。

「わかりやすい神道の歴史」読んでいる本の書名が目に止まった。


私も同じ本をもってたっけ、4年前を思い出した。


当時OLだった真理はふとしたことから神社の神職になりたいと思い始めた。

当時、若い女性に人気だった「陰陽師」という漫画のせいかもしれない。


京都は好きな街だった。清明神社に参拝したあと。

簡単な食事をすまし。ふと考えた、メジャーなところは行きつくしたし。

明日の午前中には帰る予定だし。

どこに行こうかな、ガイドブックを見ても手ごろなところはなかった。


そうだ、伏見にでも行ってみよう。

早速、地下鉄で伏見まで行き、伏見大社に参拝した。


まだ、2時を回ったばかり、どうしよう?

ぼんやり考えながら、駅に向かった。

そういえば、深草とか行ったことなかったなぁ、真理は京都駅に向かうのでなく、藤森駅で降りた。

しばらく、歩いた真理だったが、あんまりたいした所はなさそうだな、軽い失望感を覚えた。

あっ、神社だ。京都によくある小さな古社が真理の目に止まった。

参拝を済ませて、社務所に立ち寄った、おみくじでも引いてみようと思ったからだ。

その時、ある張り紙が目に止まった。「当神社につたわる、貴方の太占で運勢を占います。 初穂料 お気持ち」


お気持ちなら、2千円位でもいいかも。


この時間じゃ、夜まで暇だし。占ってもらおう。


すいません~、呼び鈴を押して、真理は声を掛けた。


呼ばれて奥から出てきた男をみて、真理はすこし驚いた小洒落た格好で現れた男は、

神職というより、ベンチャー企業の経営者のような印象を受けた。


「あのう、占いをお願いしたいんですけど」


はいはい、こちらにどうぞ、社務所の中に通された真理は応接室のような部屋に通された。

巫女さんが持ってきたお茶を飲みながら。待っていると、テーブルの上の小冊子が目に止まった。


「唯一神道について」、本を手に取りパラパラと眺めていると呪文のようなものも書いてある。


陰陽道?真理は不思議に思った。


ようやく、神職が出てきた。



「おまたせしました。宮司の萩原です。」


さっきとはうってかわり、気品に満ち溢れた、装束姿だった。

ずいぶん感じが変わるものだな。真理が関心していると。

宮司は桐の箱から榊の葉を取り出した。


「それではお知りになりたいことは何ですか?」


恋愛とお仕事がどうなるでしょう?


真理の問いに、宮司は榊の葉を束にして切り分け数えてはじめた。

そしてなにやらノートに書き込むとおもむろに、


「もしかして、転職したいとか考えてませんか?」


唐突な質問に真理は戸惑った、実は私、神職になりたいんです。


今度は宮司が戸惑っていた様子だった。

しばらく、考え込んでいたが、おうもむろに

「ここの神社に奉職してみますか?」


真理は軽い気持ちで言ったことを後悔した。


その後、東京に戻り、会社を辞め。

京都に住むこととなった。


神社で働くといっても、それは週の半分で残りは宮司がオーナである。

貿易商社で輸出入の仕事をすることになった。


仕事は輸出入関係の書類作成で繁忙期には、ほとんど夜10時以前は帰宅できない状態だった。

その代わり神社の仕事は祭式の教本の学習や練習などがほとんどで、女性の権禰宜が丁寧に指導してくれ、

煩雑な社務に煩わされることはなかった。

半年ほどたったある日、宮司に呼ばれると、宮司はさっそく切り出した。

「権禰宜から通常の神社祭式は大丈夫だ聞いている。そろそろ、本格的に始めようかな」

それからは定期的に宮司が指導するようになった。

しかし、それは非常に変わった祭式であつた。


これはどういう祭式なんですか?真理の問いに宮司は答えた。


「唯一神道だよ。」


唯一神道って吉田神道?神道史の教科書に載っている?


「そうだよ、」


それから宮司による唯一神道の祭式、教理、、禁厭祈祷などについて

指導が始まった。


それはまるで「陰陽師」のように、ありとあらゆる方術を自在に使いこなすものであった。

結局、2年間の神社勤務の後、東京に戻り、和學院大學神道学科専攻科(1年)で神道を

学び、神職の資格を取得した。


しかし、長く関西に住んだせいか、関西人のあらが目につき、東京を離れのは気が進まなかった。

そこで、とりあえず派遣で働くことになったが、それだけでは生活に余裕がなく、夜もアルバイトを

しなくてはいけない状態になった。


マナーモードにしている携帯が震えている。

ふと、気がつくとコーヒーがさめて冷たくなっていた。

隣に座っていた会社員は本をしまい、出て行った後のようだ。


携帯に出ると、あゆみだった。


「今月末で派遣の仕事も契約更新でしょ」


うん、そうだけど。


「来月からこちらで働くことも考えて会社には、

水曜日位に回答するということにしたら?」


うん、はい


「それと来週の月曜日に六本木日比谷線のヒルズよりの改札に8時半ね」


わかった、いろいろありがとう。真理は携帯をバックにしまうと、そそくさと喫茶店を出た。


ーーーーーーーーーーーーーーー



第二話:秘密


香田幸雄はいつも通り自宅をでて山手線に乗った。

しかし、本当に山手線はよく混む。

高田馬場から押し込まれるように乗って、新宿でさらに乗車する客に突き飛ばされるように

押し込まれ。

ヘトヘトになったかと思うと、渋谷で止まり、車内放送が流れた。


「後続の電車が遅れている為、当駅で3分少々の時間調整を行います。いま、しばらくお待ち下さい。」


またか、今週に入ってから3回目だな、ため息をつきながらそう思った。

やっと会社に着いたかと思えば、いきなり先輩の高松に呼びつけられた。

主任や課長も同席している。


「今月初めから香田君にも手伝ってもらっている、環境移行のシステム更改案件あるじゃん。

”OPビジネスさん”やつ、」


あっ、はい。


「あれさ、おれが別件ではずれることになったんで」

島とかさ、一緒にやってくれない?」


ええっ、あれですか?


「基本的にはシステム更改だし、SIはシステム2課の連中がやるから、移行の為のパラメータ表作って、流し込むだけだよ」


そうですか?あれでレガシーというか、オフコンで動いてるものですよね、


「いや、そうだけどツールでUNIXサーバ上で動くんだよ、仮想化でね」


それなら、なぜ、パラメータ変更とかそういう話になるんですか?


「そこらへんはさ、松木君に確認してくれる?」


「それで、今日の4時にお客さんをところに進捗報告を兼ねて行くからさ、用意しといてね。」


「それと営業の加藤主任から見積もり書の写しもらってるでしょ、あれの内容説明するからよく見といてね。」

 

OPビジネスは医療機器の中堅商社で情報システム部門は六本木の事務所に入っていた。


高松が体制変更の話を切り出すと、相手からは意外な答えが返ってきた。


「はぁ、そうですか、それは御社の自由ですから。よろしくお願いします。」


しかし、納期の話に移ると状況は一変した。

高松から納期がずれることを聞かされた顧客側は、


「それは困りますよ。

システムの更新時期は決定事項ですし。

御社にも余裕をもってお願いしてきたわけですから、いまさら、納期が3ヶ月遅延するなんて、

こまりますね。」


「ところでこれは以前から加藤主任にお願いしているんですが、

参考見積もりは頂いたのすが、御社からの正式な見積もりを

頂いていないですけど。」


横から加藤が見積書を差し出し言った。


それでしたら、これです。


「拝見させて頂きます。」


顧客の顔がこわばった。


「あの、すみません。これは困りますよ。少々お待ち下さい。時村君、前野部長呼んできて、」


しばらくして、顧客側の部長が現れた、


これは前野部長、おひさしぶりです。加藤があいさつした。


「加藤さんしばらくですね。ちょっと待って下さいね。うん、これ説明して下さいます。」


「まず、このコンサルンティング費、設計費、」


加藤は愛想笑いをしながら言った、これはそれぞれ1人月、2人月掛かりましたので。

管理費込みで、この数字になってます。


「お願いしましたっけ、これ」

「うちがおねがいしたのは、システムを解析して、新しい環境で初めから開発するといくらになるかということなんですけど」


高松が発言した、それには要件を定義することが必要でして。そのためのコンサルや設計です。


「コンサルや設計はお願いしていない、それでできるというからお願いしている」


結局、香田と松本が0から開発することになった。松本はPHPで書けば大丈夫じゃないですか、などといっているが、


香田は気が重かった。


「じゃ、今日はこれでみんな直帰でしょ?加藤が言った。」


「おつかれさまでした。」


おつかれさまでした。


加藤をはじめ、高松、松本は直接、地下鉄の駅に向かったようだが、

香田は完成直前の東京ミッドタウンを背に、神社に向かった。

鳥居の前で一礼し、手水を取り、手口を清めた。

神前で二拝二拍手したあと、なにやら唱言を始めた。

体中の気が宮居と言われる眉間に集まり静まり、やがて振部と言われる胸に集まり、

中府と言われる下丹田に降りて行った。

やがて、足や下半身が暖かく包まれるような感覚なると同時に体が磁力のようなもので固定されるように感じた。

すると、神前の鏡の前に光る円が見え、その円の中に束帯姿の人のようなものが見えてきた。

祭神である。


これはこのところうしまきます。産土の大神様、神道修道講 斎士 香田幸雄でございます。

香田は小声で奏上した。

これから大神様のうしはきます、この地区で仕事をされて頂きますのでお守り下さい。

それから、大祓詞を奏上して。

神前より退いた。


神社を後にした香田は近くの喫茶店にはいり、休んでいくことにした。

香田幸雄はコーヒーを飲みながら、鞄の中から本を取り出した。

「わかりやすい神道の歴史」という本であり、なんども読み返している本だ

香田は大学院時代に帝国大学神道研究会で神道を研究していた。

特に平田国学や古神道に興味をもち、

その中でも平田神道の流れを汲む神仙道に関心が高かった。

思えば、1年前ほど前に、SNSサービスで古神道団体である、

神道修道講の関係者と知り合ったのがきっかけになり。

神道修道講の斎士となった。

神道修道講では、さまざまな神術が伝授されたが、

最初は半信半疑であった。

神術が効果を現すには信と専修が必要とされる。

しかし、どうしても完全に信じきることができなかった。

ところがあるとき、 神術によって信が得ることができ。

集中力をもって専修できることができることを知り。

それ以降、伝授された神術が大きな効果を表し始めた。

いまでは神社に参拝すると三回に一回は大神を目に

することができるようになり、密かに感激していた。

しかし、こういうことはおおぴらに言うわけにもいかず、

香田の”秘密”になっていた。

ふと、気がつくと前に座っている女性がこちらを見ている。

やっぱり、宗教関係の本とか読んでると気になる人がいるのかな。

香田は本を鞄にしまうと喫茶店を後にした。




神道修道講に入ってからを回想していた。


百会が神通で、

眉間が宮居で、

みぞおちが振部

丹田が霊源


香田幸雄:帝国大学神道研究会 新任SE  HIROSHIの古神道仲間 神道修道講に入会 信と専修を神助でやり、神伺いができる。 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小説 古神道辟魔伝 第三話:朝拝



第三話:朝拝


真理はまゆみを待っていた、月曜日の8時半に会うはずだったが、

週末は暇になったので、金曜の夜八時にやはり六本木日比谷線のヒルズよりの改札に待ち合わせした。

週末の六本木は華やかだ。

最初に六本木ヒルズにある「ホットランド」に行った。

真理も話には聞いていたが、行くのは初めてだった。

すごいね、外人ばっかり。

「そうね」

まゆみはうなずいた。

早速、ビジネスマン風の外人がまゆみに話しかけてきた、

まゆみは英語でなにやら話しているが、真理にはわかるわけもなく。

店の様子を眺めていた、日本人もいるが、外人が多く、

やっぱり六本木だなと妙に納得していた。

そのうちまゆみが戻ってきていうには、

「今の人、自称コンサルタントとかいっているけど、単なる英語の家庭教師で生活してるみたいね」

まゆみによると、そんな外人ばっかりだという。

ここもつまらないかな、場所変えよう、10時半を回り、今度は地下鉄の駅まで戻り

クラブとDJバーを足して2で割ったような「701」に行った。

今度は外人もいるがサラリーマン風の人もいたりしてかなり雰囲気が違っていた。

勿論六本木にしては日本人が多いというだけで、外人が中心なのにはかわりがない。

まゆみの携帯に電話が掛かってきたので、まゆみは外に出て行った。

真理は踊っている人々を眺めていたが、そのうちに、その一角が妙に盛り上がっていることに気がついた。

なんだろう、近くに飲み物を注文するついでに近くに行って見てみると。

日本人サラリーマンが踊っており、他の日本人や外人がやんややんやの声援を送り受けていた。

見た感じは普通のサラリーマンだが、白のサスペンダーしており。

みたこともないダンスを踊っていた。

あれはパラパラなのかな、でもソウルぽっいし、なんだろう。

そのうちに、そのサラリーマンは鞄からミニタリー風の帽子を取り出し被っていた、

帽子には今風のサングラスが付いている。

ますます、盛り上がっていたが、急に踊りをやめて外に出て行った。

さすが、六本木だ真理は妙な感心をした。


ようやく、まゆみが戻ってきたが、真理は今見た話をする気にもなれず、新しいドリンクを注文した。



月曜の朝は少し、早起きしたいよいよ今日は面接日だ、まゆみに言わせると好条件の会社らしい。

朝のラッシュに耐え、日比谷線のヒルズよりの改札でまゆみを待っていた、

約束より10分前に着いた真理だが、ほぼ同時にまゆみも着いて面接予定の”株式会社 H&Iカウンシル”に向かった。

H&Iカウンシルはヒルズ沿いの通りから一本路地に入った通りの雑居ビルにあり。

事務員らしき女性が一人いるだけであった。

事務所の調度品は新しく、なんかのサロンみたいな印象を受けた。

H&Iカウンシルの結城です。

面接は9:30から始めますので、そちらでお待ち下さい。

ブースみたいな応接コーナに通されそうになったがが、

まゆみが

「私達ここでいいですよ。」と言い。

そのまま、近くの椅子に腰掛けた。

女性はお茶を出してくれたがそのあとも台所に戻りなにか持って出てきた。

真理にはすぐにわかった。

ああ、神棚にお供えするんでしょ、

ところが女性はお供え物を神棚に上げず、神棚の下の机に置いた。

そのうちに表のドアがあき、男性が入って来た。

結城が「おはようございます」と挨拶すると。

男性もおはようございますとあいさつした。

まゆみが小声で言った。

「あの人が社長の浜崎さんよ」

男はお供え物の前に立つと、二拝二拍手し、禊祓詞を唱えだし、

それが終わると口覆いというマスクのようなものを着け、

お供え物を神棚に捧げた。

その後、祝詞を唱え、大祓詞などを唱えていたが、

普通に神社で唱えられるものとは微妙に違っていた。

これは朝拝というらしいよ、まゆみが言った。

真理は苦笑して、そんなことわかっているわと言いたいのを我慢した。


そして、いよいよ面接となったが、最初から採用と決まっていたらしく、

特に突っ込んだ質問はなかった。

えっ、神職の資格を持っているんですか?

すごいですね、としきりに感心していた。

結城から雇用条件等の説明を受けたが、

昼食は浜崎、結城、まゆみと近くのイタリアンレストランですました。

浜崎は真理の神社奉仕によほど関心があるらしく、いろいろと聞いてきた。

昼食が済むと、ヒルズにある顧客の会社に向かった、H&Iカウンシルは

そこの会社の業務を請け負っているらしい。

オフィスの入り口には”AVALON-E”というサインが異彩を放っていた。

応接室に通された三人が待っていると、長身の女性が現れた。

代表の萩原です。

そう言って差し出された名刺には、代表取締役 執行役社長 萩原有紀と書かれてういた。

名詞の裏には英文で同様に書かれていたが、 Viscount Hagiwaraと印字されている。

Viscount?どういう意味だろう。

そういえば、萩原宮司の貿易会社の名刺にも”Viscount Hagiwara”とか書いてあったな、

なんかの資格なのかな?

そんなことを考えているうちに、話が進み。

さっそく来週からお願いね、すこし、話した後、 萩原はそう言うと席を立った。 

真理がAVALON-Eで働きは始めて4ヶ月たっていた。

AVALON-Eはネット広告の製作会社であり、真理は顧客やデザイナーとの打ち合わせなどで

多忙をきわめていた。

特別なことと言えば、朝、出勤すると、神棚の朝拝をすることである。

真理は勿論、唯一神道の祭式で朝拝を実行していた。

その様子を見た萩原は感心したように、


「私は実家は神道なんだけど、朝のお祭りの仕方が同じだわ、

今の神社って昔とお祭りの仕方とか違うでしょ、やっぱりこのほうが良いよね。」


名前が萩原で家が神道って、萩原宮司と関係あるのかな?

真理はいぶかしげに思った。


ーーーーーーーーーーーーーーー


古神道辟魔伝 第四話:晩餐



第四話:晩餐


秋も深まってきた木曜日、京都駅は紅葉目当ての観光客で混み合っていた。

その中に東京へと向かう萩原の姿があった。


「萩原先生、急で大変申し訳ないのですが、今度、東京である全国神社庁総会なんですが、西京神社庁の理事として行って下さいませんか?」

「斉藤理事が行かれるはずだったのですが、体調を崩されていて、ここは是非萩原先生にお願いしたい。」


「それと、萩原先生もご存知の神田さんが宮司を勤める大龍神社の例祭も斉藤理事の代わりに手伝っでいただけませんでしょうか?」


最初は突然の電話に萩原は困惑したが、神田宮司は旧知に仲でもあるので断るわけにも行かなかった。


そういえば、野々宮君はどうしているかな?


深まる秋の様相を見せる景色を車窓から眺めながら、真理のことを思い出したのであった。


品川駅から渋谷の神社総庁に向い、総会に出席した退屈な報告と儀礼的な討議を経て、夜の懇親会が終わる頃には10時を回っていた。

二次会にも顔を出したが、早々と切り上げ挨拶を済ますと六本木のホテルへと向かった。


そういえば、有紀のところの会社はこの近くだったな、前にもらった年賀状から控えておいた、携帯番号に電話するとなつかしい声が聞けた。


「ああ、祐明兄さんひさしぶり、えっ、今、東京なの、それも六本木?明日にでも是非、会社に来てよ、」


有紀は、はずんだ声でまくしたてた。


「あと、そういえば、せっかくだから、明日会社の神棚のお祭りしてくれない?本当は毎年しなくちゃいけないんでしょ?」


これには祐明は困惑した、


いや、装束はもってきているからいいけど、他の準備ができないからね、


「えっー、神社関係の知り合いに頼んでなんとかならないの?」


そうだな、とりあえず、明日掛けなおすから、



翌朝、知人が宮司を勤める、これも六本木の大龍神社に向い、大祭に参加したあと、神田宮司を始め、神社関係者と昼食を取り、

午後から有紀の会社に向かった、神田宮司から八足案や供物など祭典に必要なものを一式融通してもらい、大祭を手伝いに来ていた、

和学院大学の学生に運んでもらうことにした。


祭典の準備ができるまで、社長室で有紀と世間話をしていると、顧客との打ち合わせから戻ってきた、

真理が現れた。


「先生?どうしたんですか?」


野々宮君こそ、もしかしてこちらの社員なの?


いぶかしげに思った有紀が聞いた。


知り合いなの?


うちの神社を手伝ってくれたいた人なんだよ。


「へー、そうだったの、京都の神社って、日吉神社のことだったのね、

どおりで神棚のお祭りの仕方が同じわけだわ、」


その後、唯一神道の祭式で神棚祭を執り行い、一旦ホテルに戻った。


夜は有紀や真理と六本木ヒルズにあるフレンチレストランで食事をすることになっていた。


七時にAVALON-Eの入っているビルの前で待ち合わせたが、そこで浜崎を紹介された。


「こちら私がお世話になっている会社の浜崎社長です。」


「はじめまして浜崎です。」軽く挨拶し、互いに名刺を交換したが、


萩原の名刺を見た浜崎は浜崎は驚いた様子であった。


「子爵の萩原家のご出身なんですか?唯一神道の?」


ええ、そんなところです。


お詳しいですね、神社関係の方なんですか?


「いえいえ、ちがいます。」


レストランに入り、席に着くと、ソムリエが現れ、

有紀が「シャトー・コス・デストゥルネル(Chateau Cos d'Estournel)」を注文した。


「テイスティングはいかがされますか、」


祐明兄さんお願い。


祐明がテイスティングした。


濃い紫色のワインがグラスに注がれた。


実はこのワインは祐明がお気に入りのワインでもあった。


豊かで力強く、また、エレガントでもあるこのボルドーのワインは、

メドック格付け2級ながら飛躍し続けるスーパーセカンドの筆頭であった。


それから次々に料理が運ばれてきたが、ミシュラン日本版に掲載されただけあって。

いずれも味わい深いものがあった。


しばらくして、真理は浜崎に質問した、そういえば、社長の神棚のお祭りの仕方は独特ですよね、


「はは、まあね」


今度は萩原が尋ねた、


「なにかいわれがあられるのですか?」


「ええ、実は祐明卿は神道修道講という神道団体をご存知ですか?」


萩原は驚いて、聞きなおした、古神道の団体ですが?


「ええ、そうです。」


萩原は改まり、貴卿が神道修道講の斎士とは存じませんでした。


食事のあとは、同じ六本木ヒルズにあるホテルのラウンジバーに向ったが、

そこでは意気投合した萩原と浜崎がなにやら神道の話を熱心にしているようだった。

その内に有紀が切り出した。

「そういえば、浜崎社長は、このあいだ六本木に面白い店があるとかおっしゃっていましたね。」


「ええ、宜しかったら、みなさんで行きましょう。」


浜崎の案内で、一行はクラブGAONに繰り出すことになった。


---------------------


古神道辟魔伝 第五話:紫光




第五話:紫光

    


体が重い......


部屋になにか黒い影のようなものがいる。

ミギョンは飛び起きたのだった、


ミギョンの住む新大久保のアパートはトイレが共用であり、夜中にトイレに行く祭に

廊下で影のようなものを目にしたのが最初だった。

初めは目の錯覚かと思い、気にしていなかったが、2度、3度と目にするうちに

これはたたごとではないと思うようになった。

やがて、その影が部屋の中に入ってくるようになり、アパートに帰るのが怖くなっていた。


新大久保は通称コリアンタウンと呼ばれ、ミギョンと同じ韓国人留学生が働く店が多い。

ミギョンのバイト先も韓国バーだった。


日本人の客も来るが、圧倒的に韓国人の客が多い。


今夜はミギョンの日本語学校の同級生が来ていた。


なんとなく、憔悴した様子のミギョンに同級生は少し驚いたようだった。


「オヌル ヒミ オンネ。ムスン イル イッソ?(今日なんか元気ないね。何かあったの?)」


ミギョンはことさら作り笑顔で答えた。


チョム コルチ アップン イリ イッソソ。クェンチャナ」(ちょっと面倒なことがあって。大丈夫)


しかし、同級生は心配そうに尋ねた。


「ウェーグロニ?(どうしたの、)」


同級生の親切な態度にミギョンは関を切ったようにこれまでの経緯を打ち明けた。


それならと、何かを思いついたように同級生は携帯をもって外に出て行ったかと思うと、

しばらくして戻ってきた。


やがで紙になにか書いたかと思うと、ミギョンに渡した。

紙には携帯番号と名前が書いてあった。


同級生によると名前の主は以前の日本語学校で知り合った中国人留学生であり、

霊感があるという、


つまり、この中国人に相談したらいいとのことだった。

今、連絡して事情を話したが相談に乗ってくれるとのことだった。

すこし気が楽になったミギョンは同級生に飲み物を奢ったのだった。


数日後の週末、新大久保駅前の喫茶店で待ち合わせ、

中国人が来るのを待っていた。

青い服の女性で髪はボブ。

やがて、青い服をきた若い女性が入り口よりまっすぐ歩いてきた。


ミギョンさん?王美玲といいます。


あっ、チェ ミギョンです。

漢字では崔 美京と書きます。


韓国人がイメージする霊能者と違い。


美人で清楚な感じがする女性で、

ミギョンには意外だった。


互いに挨拶をすますと、二人はミギョンのアパートにまっすぐ向い。


ミギョンの部屋に入った。


「これは...」


部屋を凝視していた美玲は狼狽していた。


どうです?なにか見えますか?

ミギョンは恐る恐る尋ねた。


離れていて、美玲は何やら手で印を組み呪文を唱え始めた。


「浄心神呪、浄口神呪、浄身神呪

陳太后女神之眷属、

黒白舎人 急急如律令」


美玲の経験上、今までのこの呪文で退けることのできない霊物はいなかった。

しかし、この魔物は少しも怯まない。


今まで見たこともない魔物だ黒い塊のようにも見えるが、

大きな鳥のようなものでもある。


「黒白舎人! 黒白舎人! 急急如律令!!」


美玲は語気を強めて必死に唱えた。


まったく、効かない。

それならば、

美玲は印を組替え奥義を修した。


陳太后女神 玉帝有勅!! 雷風雷電神勅!! 

軽磨霹靂電光転!! 打邪鬼敢有不伏者粉砕!!

急急如三奇帝君律令!!


やった、美玲は手ごたえを感じた。

しかし、次の瞬間、それは絶望と恐怖に変わった。


なんだ、これは??


それは奇怪な姿をした鳥だった。

まったく効いていない。


美玲はミギョンに目配せした。


「部屋を出て」


二人は部屋を出た。


美玲は部屋のドアに用意してきた、護符をすばやく貼り。


再び、印を組み、奥義を修した。


陳太后女神 玉帝有勅!! 雷風雷電神勅!! 

軽磨霹靂電光転!! 打邪鬼敢有不伏者粉砕!!

急急如三奇帝君律令!!


「逃げて」


二人はミギョンのアパートから、走りだし新大久保の駅に戻った。

それでどうだったの?ミギョンの質問に美玲は答えにくそうに、


こめんなさい、あんなもの初めて見たね、

全然駄目、早く引越したほうがいいと思う。


引っ越すことができるなら、とっくに引っ越している。

申し訳そうな美玲を見ながら、ミギョンはつぶやいた。



香田と松本、島は六本木で顧客と打ち合わせをしていた。

難航が予想されたOPビジネスのシステム更改案件は

徹夜の連続で、なんとか開発が間に合い。

全体に先行して更改するシステムに関しては、検証作業が

終了したことを報告すると。


顧客は笑顔で言った。


おお、すばらしい。本当に無理言ってすみませんでした。

ありがとうございます。


顧客の担当者である、時村はきさくな感じで所謂”チャラリーマン”と言われるような感じの男だ。

ところで、定時ですし、これから飲みにいきませんか?


そうですか?それではご一緒します。島が答えた。

OPビジネスがよく使うの中華料理店で夕食を済まし、

居酒屋で呑んだ後、島と松本は帰ったが、

時村は香田を誘い、DJバーのLM BARへと繰り出した。


店に入ると、HipHopが流れており、客が踊っていた。


「ここはDJバーと言って、バーとクラブの中間みたいなものなんですよ。

飲み物はギネスでいいですか?」


ええ、お願いします


時村はギネスのボトルを注文した。


失礼します。


美玲がギネスをもってきた。


「ああ、美玲ちゃん。」


時村は親しげに話しかけた。


美玲ちゃんも呑めば?


結局、3人で乾杯した。


店員が客と軽く飲むのがこの店の特徴でもあった。


こちらは香田さん、


香田を紹介された美玲は不思議なものを見た。


この人紫の光に包めれている!!!


しばらく、世間話をしていたが、時村がトイレに行っている時に

美玲は聞いた。


香田さんは霊感とか不思議な力とかないですか?



「えっ、どうして?」


私はそういう力があって、香田さんもそんな感じがして....


まあ、ないこともないけど、、


除霊とかしたことあります?


「あんまり、何故?」


実は、、、


美玲はミギョンのアパートでの一件を話した。


「うーん、力になれるかはわからないけど、よかったら、手伝うよ。」


数日後の週末、新大久保駅前の喫茶店で待ち合わせ、

店に着くと、美玲ともう一人の女性が待っていた。

香田さん?こちらは、チェ ミギョンさんです。

美玲からミギョンの紹介を受け、

互いに挨拶をすますと、三人はミギョンのアパートにまっすぐ向い。

ミギョンの部屋に入った。


ミギョンの部屋のドアには、前回、美玲が貼った、護符が異彩を放っていた。


「ここですか、うん、なるほど、これは困ったでしょう?」


それではさっそく始めますか。


香田は禊祓詞、大祓詞を唱え、印を組んだ?

美玲は日本に神道があることは知っていたが、神道の儀式を目にするのは初めてだった。


霊物はしだいにその姿をあらわした、黒い鳥のようなものである。妖魅であった。

妖魅とは邪神の眷属であり、そこら辺の悪霊なんかとは比べ物にならないくらい厄介なものである。


それから、おもむろに香田は○○法を修した。


ああっ、美玲が奥義をもってしても、まったく効かなかった霊物が吹き飛んで行った。


すごい、すごい。


さらに香田は続けて、碍祓神辞を唱えた。


美玲には霊物が雲散霧消して行くのが見えた。


香田は拍手を打ち、儀式を終了させた。


「これで大丈夫だと思いますよ。」


ありがとうございます。


美玲とミギョンは感激して謝辞を述べた。



GANONのDJ サユリはいつものとおりの選曲でまわしていた。


Dj Sayuri!!


サユリは歌いながら、フロアーに向かって叫んでいた。

Hey Go!!

Come on !!

Let's Go!!!


さらに、DJブースで踊りだし。


Shake It!!


いつものパーフォーマンであった。


うん?サユリがフロアーに目をやると白のサスペンダーしたサラリーマン風の男が

みたこともないダンスを踊っていた。

あれはパラパラなのかな、でもソウルぽっいし、なんだろう。

そのうちに、そのサラリーマンは鞄からミニタリー風の帽子を取り出し被っていた、

帽子には今風のサングラスが付いている。

ますます、盛り上がっていたが、急に踊りをやめて外に出て行った。  



   

今夜の店は週末のせいもあって忙しかった、美玲はこないだのことが忘れられなかったが、

忙しくそれどころではなかった。


そうこうしているうちに、注文が入りギネスを運んで客席に行った。


失礼します。


一礼して、顔を上げた美玲は驚いた。


席に座っている4人の客の内、男性2人の客は、2人とも紫の光に包めれている。


「どうしましたか?」


祐明が浜崎と顔を見合わせ、尋ねた。


すいません。失礼しました。


美玲は一礼すると、そそくさとその場を離れた。


しばらくして、祐明は真理にいった。


「野々宮君、よかったら、週末とか時々、大龍神社を手伝ってみない?」


本当ですか、是非、お願いします。


神社を手伝えると聞いて、真理は歓喜した。


「わかった、こんど大龍神社の神田先生を紹介するよ」



カウンターにもどった、美玲は動揺していた。


日本には香田のような霊能者が多いのだろうか、


「美玲さん、お願いします。」 


あっ、はい、美玲はあわてて注文を聞きにいった。


-----------------------------------------------


小説 古神道辟魔伝 第六話:鎮祀


第六話:鎮祀



へー、そういうことって本当にあるんだ、


王 美玲から話を聞いたマネージャーの露美は初めのうちこそ半信半疑だったたが、

話のあまりのリアルさに驚愕していた。


神道ね、そういえば、うちは神棚とかないよね、

本社にはあるけど、その神主さんみたいな人に相談してお店でも神棚とか祭るといいかもね。

結局、この件は美玲に一任され、美玲は香田幸雄に相談して、神棚を祀ることになった。

そこで、香田は店のある地域の産土神社を調べ、相談した。

その結果、お祭りは神社がとり行うが、

神棚や神具、棚板はインターネットで購入し、

棚板の設置だけは出入りの内装業者に手伝ってもらい。

あとは香田が設置することになった。


数日後の土曜に店に来た、香田は内装業者が取り付けた、

棚板の上に店に届いていた、宮型や神具を並べ、注連縄を麻苧で括り付け張った、

さらに注連縄には紙垂を付け、天井に「雲」のシールを貼ると、

宮型の中には予め用意した、天照皇大神宮と豊受大神宮、出雲大社、

大龍神社の神札、さらに霊験あらたかと言われる。

天守稲荷神社神札と、勿論、神道修道講の神札も祀った。

禊祓詞と大祓詞を奏上し準備を済ませたのであった。

店に来る前に大龍神社で打ち合わせをしてきたのだが、

その際に大龍神社の新札は事前に受け、

祭典の際は神職が祈祷札を持ってくることになっていた。

しばらくして、大龍神社を手伝うことなった、真理が来て八足案の上に供物を設置し、

また、祈祷札を神棚に奉安した。


しばらくして、マネージャーの露美が来たが、真理を見て驚いた。


「どこかでお会いしたことがありませんか?」


ええ、そうですね、こないだお会いした。

AVALON-Eの野々宮です。


「やっぱり」


私は元は京都で神職で、こんどから時々こちらを手伝うことのなったんです。


「そうですか、よろしくお願いします。」


「それと、来週のAVALON-E様のパーティですが、頑張りますので

こちらも宜しくお願いします。」


しばらくして、神棚祭が始まった。


 

先  小揖


次  深揖


次   二拝

 

次  中臣祓


次  修祓


次  祝詞

 

次  祈念


次  護身神法

 

次  拍手

 

次  二拝

 

次  深揖


次 小揖

 

次 退下


真理は唯一神道の祭式で斎行し、

特に祈念では目を閉じ、鼻で息をすって止め、

口を閉じて、雑念の無い心で大神を姿をイメージし、、

神人一如の境地になり祈願した。

 

祭典の最後に神職として講話をするのだが、

真理は気合が入っていたこともあり、少々長く話すことにした。



只今、滞りなく、神棚祭を終えることができました、今日から大神様が

皆様をますますご守護されるのですが、神棚を祀ることの意味と大神様に

ついてお話したいと思います。


神棚を祀ることにより、大神様に守られていることがわかり心が落ち着き、

安心できるようになります。

また、これによって信仰生活に入ることができ、自分でなく大神様を中心と

することができるので、いろいろなことがうまくいくようになるのです。


現代はいろいろと複雑な時代で、自分を中心とする方が多いです。


なんでも自分の物でないと気がすまない、また、自分のもので

ないと不安になる。これは自分を中心に考えるからですね。

「他人が当てになるか、最後は自分だ」という考えです。


しかし、自分でなく大神様を中心とすることできれば、

このような不安はなくなるので、いろいろなことがうまくいくようになるわけです。

公正無私になるわけです。一方的に相手に譲歩するのでなく、自分の意見がないことや、

彼我の意見の折衷でなく、公共の立場から自分と相手を活かすことであり、利生と言います。

公と私の関係も、滅私奉公でなく、私をそのまま公に活かす、活私奉公です。

各人の個性は神から与えられた使命であり、この特性を伸ばすことにより公共の役に立つことが即ち、

修理固成であり、天壌無窮の皇運を翼賛することなのです。

個人の適性にあう形で個性、つまり、好きなだけでなく、得意なものを生かしつつ、社会に貢献することなのです。

この私益を満足させる形でなおかつ、公共の役に立つようにしなければなりません。



しかし、大神様を中心にしていても、いろいろと悩むことはあるわけです。

それに大神様に関してもいろいろとわからないことが多かったりすると悩んだりするわけです。


それは"こだわる"からであり、こだわらなければ、迷うことなく心が清浄になり、

大神様と同根となり、大神様に守って頂けるのです。


また、昔の神道者によると、「私意作為なく本心のままなるを正直といふ。」や「神垂祈祷・冥加正直」 といわれます。


これらの意味は、神を祭り、私意作為のない真澄な清明であり産霊神より生じた真心である本心ままなる正直なれば、

神のしわざである冥護が加わるということで、勝手な思い込みや猜疑心などの私心なく、神を疑わず、

何事も神のしわざと神にまかせて安心し、あるがままの本心をさらけだす公正無私の心です。

物事にこだわり、煩悶しないで、何事も神のしわざ、なにもかも神ながら、どうすることもいらぬと安心ればいいのです。



ここで露美が口をはさんだ、


「でも、どうすれば安心できるんですか?普通は仕事やプライベートでも、いろいろあって簡単にそんな心境にはなれないですよ。」



先ず、神にまかせて大安心するのです。安心する為には、大神様を中心にし、信じるのですが、

それは神勅を奉戴することであり、天皇様を中心にすることです。

天皇様を中心にすると、大御心を頂くことができます。


神道では天と地が開ける前の混沌の初めの状態を機前と言います。

これは真澄な清明であり、産霊神より生じたあるがままの状態以前の状態ともいうものです。

これに対して天と地が開けたあとは真澄な清明であり、産霊神より生じたあるがままの状態なのです。


つまり、この機前は根源が神代紀巻頭の混沌であり、即ちまろかれです。そこに万物の生気を含む明徳である善の元が宿るとされています。

これは大元神、これは天照大御神や天之御中主神、国常立尊の神様ことですが、この神様の御心です。

悪いことは大元に戻り、大元神様の御心と一体になることによってむすび直す、つまりやり直せばいいのです。


講話が終わると、参列者全員でお神酒を頂き、祭典は終了した。


そして、香田は真理に話かけた、


「あの祭式は変わってますね、特に護身神法とか、」


お詳しいですね、唯一神道の祭式なんですよ。


「やはり、そうでしたか。」


神道にはお詳しいのですか?


香田は思い切って言った。


「ええ、実は神道修道講という神道団体をご存知ですか?」


真理は驚いて、聞きなおした、古神道の団体ですが?


「ええ、そうです。」


実は私の会社の社長も神道修道講なんですよ。


今度は香田が驚く番だった。


「えっ、そうなんですか?お名前はなんと言われるんですか?」


浜崎です。ご存知ですか?


「ええ、よく存じてます。」


あっ、そうだ今度、このお店で私が今、手伝っている会社の創立3周年記念パーティをやるんですよ、

勿論、カジュアルな感じなんですけど。


浜崎も来ますので参加されませんか?


「ええ、是非、」


それでは、ここに連絡下さい。

来週の金曜日19時からです。

一般にもオープンされているパーティだから、お友達も連れていらしゃっても大丈夫です。


真理はAVALON-Eの名刺を差し出した。


香田も名刺を差し出し、軽く挨拶した。


「はじめまして香田です。」



------------------------------------------------



第七話:饗宴


     DJバー(LM BAR)でイベント、アバロンE3周年イベント祭を開催。

     DJ サユリがDJで3周年イベントを開催、キャストは一同に出会う。

     萩原祐明が再度東京に出張、有紀、真理、あゆみは夕食を共に、夕食後サブクラブに、

     王から誘いを受けた、崔もDJバー(LM BAR)へ、仕事後直帰で夕方の祭典に出席した香田幸雄もそのまま、

     DJ サユリがいるので浜崎と誘われたミサトはDJバー(LM BAR)VIPルームで鉢合わせ。

     

     浜崎は香田から鳥の話を聞く、


小説 古神道辟魔伝 第七話:饗宴


第七話:饗宴




結局、ケータンリング業者が全部やるの?


店長の説明を聞きながら、マネージャーの露美はつぶやいた、

企画は店長の職掌なので統括マネージャーである。

露美は従わざる得ない、しかし、営業担当は露美である。

このこと自体にも理不尽なものを感じていた。

露美としては食材を用意し、機材はレンタルでやれたらと思っていたが、

店長はもちろん拒否した。


わかった、でも人の関しては自前でやってね、だいたい丸投げしたと思われると、

まずいからね。


「いや、シフトの変更は難しいですね。」


店長は最初からシフトの変更など面倒なことはやらないつもりだったみたいだ。


何人足りないの?別な店舗から回してもらうから、言ってよ。


「3名ですね。」


店長はそっけなく言った。


わかった、


しかし、会社が経営している近隣の店舗に連絡したが、どうしても2名しか集まらなかった。

うーん、困ったな。


そうだ美玲、だれか知り合いで金曜に手伝いに来れる人いない?


露美に言われ、美玲は友人、知人を当たったが、来れる人はいなかった。

そうだ、美玲はミギョンに電話した。


ミギョンは最初はしぶっていたが、断り切れずに手伝う約束をした。


「マネージャー、大丈夫です。」


有難う。


美玲の報告を聞いて、露美はほっとした。



京都では紅葉見納めの季節となり、昼間でも肌寒くなってきた。

萩原祐明は今度はオーナをつとめる貿易会社の関係で東京に

出張しなくてはいけなくなっていた。


木曜の早朝に担当者と共に京都を発ち、午後から協業パートナーとの打ち合わせ、

を行い夕方は別なパートナーと打ち合わせ、夜はそのまま、そのパートナーと会食した。

翌朝、金曜日に担当者は京都にもどったが、萩原はそのまま東京に残り、

夕方に由紀の会社を訪問したのだった。


金曜の六本木は華やかだった。


オープンしたばかりの東京ミッドタウンや六本木ヒルズなどか人を魅惑する。

セレブという記号が一人歩きする街でもあり、飲食店にとっては激戦区でもある。

DJ バーは最近台頭してきたジャンルだが六本木という特殊事情もあって

早くも過当競争になっていた。



パーティ開始前の全体ミーティングで露美は号令を掛けていた。


そして、全体ミーティングの最後にスタッフ全員で神棚に拝礼した。

柏手の音が響き渡り気が引き締まった。


やがて、パーティの主催者であるAVALON-Eの有紀や真理、あゆみと、その他AVALON-Eのスタッフ、

そして萩原祐明の姿もあった。


有紀は今回のパーティをスタッフや協業会社スタッフの慰労会として考えていたので、

特に仕事と考えず、楽しむように訓示したのであった。


やがてパーティが始まり、DJ ブースにはDJ サユリが入っていた。


サユリはこの店は初めてなので、少し緊張したが。すぐにいつものとおりの選曲でまわし始めた。


Dj Sayuri!!


サユリは歌いながら、フロアーに向かって叫んでいた。

Hey Go!!

Come on !!

Let's Go!!!


さらに、DJブースで踊りだし。


Shake It!!


いつものパーフォーマンであった。


パーティの客も入りだし、美玲やミギョンは給仕で大忙しになった。



「あーどうも、おひさしぶりです。」


香田が浜崎と話始めていた。


一連の近況の話などが終わると、

ミギョンのアパートの一件に関する話題になった。



-----------------------------




小説 古神道辟魔伝 第八話:辟魔

 

第八話:辟魔(最終話)


    

一方、まゆみは浜崎から借りた英語の本を読んでいた。

内容は核戦争から世界を救った神職のことが書かれていた。



香田は神棚を通じて遥拝するのであった。


パーティで、踊るのであった、えいじゃないか、、、


辟魔龍声秘唱



---------------------------------------------------


小説 古神道辟魔伝 第八話:辟魔

 

第八話:辟魔(最終話)



まゆみは東京ミッドタウン近くの喫茶店で浜崎から借りた英語の本を読んでいた。


数日前、浜崎の事務所に所要で立ち寄ったまゆみは書棚で一冊の洋書を見つけた、

英語で書かれた本だが古神道に関する内容らしい、

その際に浜崎から興味があるなら貸すからと言われ借りたのであった。

内容は核戦争から世界を救った神職のことが書かれていた。

こういうこともあるのかなと感じた。



「それは鳥が歳を経てなった妖魑だな。」


ミギョンのアパートの一件を聞いた浜崎は、そう結論付けた。


「しかし、なんか気になるというか、腑に落ちないな、、、」

「なんで、そんなものがアパートに現れたんだろう?」


そんなところのミギョンが給仕に通りかかった、

ミギョンは香田に気がつき、挨拶した。


「ああ、香田さん、このあいだはありがとうございました。」


この方ですよ、今話していたのは、

紹介します。

浜崎さんです。


「こんばんは、チェ ミギョンと申します。

前にお店にいらしたことがありますよね。」


浜崎はうなずいた。


「ああ、なんか覚えてます。」


ところで、ミギョンさんは山とか行きますか?


「山?、ええ、日本にはたくさん良い山がありますよね。

まだ、東京の近くしか行ってませんが、半年ぐらい前に高栗山とか行きましたよ。」


「なるほど、そこでなにか買ったりしませんでしたか?

ええ、食べ物とか、あとなんか記念品を買いましたね。」


「記念品?どんなものですか?」


「いや、はっきり覚えてませんね。」


「なるほど、ありがとう。仕事中、時間をとってしまってすみません。」


ミギョンが戻ったあと、浜崎はおもむろに、

「神伺いしてみるしかないな」

とつぶやいた。


早速、浜崎と香田は神棚をに参拝し、神伺いを行った。


すると修道講之大神が現れた。


修道講之大神の大神、これは天照大御神などいろいろな大神を総称して申し上げている神格である。


「これは大神様、神道修道講 斎士 浜崎でございます。」


修道講之大神は気高しい声を発し、


「浜崎、我は大御神の眷属神 大龍神社御祭神の同胞神である。神龍姫神 神光龍姫之命である。

汝の懇請によって降下した。」


これは大姫神様、ようこそお越し下さいました。


実はお尋ねしたき事がございます。


「なんだ?」



「実は先日、東京の新大久保に鳥の妖魑が現れ、

斎士の者が祓ったのですが、

この妖魑の出現の理由がわかりませんので

お教え下さい。」


「あれか?あれはな、邪神が下山したせいだな。

むっ、もうすぐ、その眷属がやってくるぞ。」


「えっ、眷属は斎士の香田が祓ったのでは?」


「別な眷属だな、それも桁違いに強いやつだ」


「すぐにくるから、備えなさい。」


「承知致しました。」



神伺いを終えた浜崎と香田は自分の席に戻り、ショットをあおった。


「よし、踊ろう。」

浜崎はそう言い踊りだした。


DJ サユリは、DJブースで踊っていた。


Shake It!!


いつものパーフォーマンであった。


うん?サユリがフロアーに目をやると白のサスペンダーしたサラリーマン風の男が

みたこともないダンスを踊っていた。

あれはパラパラなのかな、でもソウルぽっいし、なんだろう。

そのうちに、そのサラリーマンは鞄からミニタリー風の帽子を取り出し被っていた、

帽子には今風のサングラスが付いている。

まただ、前にも見たことがある。

他の日本人や外人がやんややんやの声援を送り受けていた。


真理もこれに気がつき思った。


前に見たのもこれだ、あれは、あの人だったのか?



踊っているのは浜崎だった。



江戸時代末期に”えいじゃないか”と言う、社会現象が起きたことがある。

まさにそれに近かった。


美玲は壁を見つめていた。


「なにか来る!!」


ミギョンはまだ気がついていないが、彼女に危険が迫っている、


その時、ミギョンは愕然とした。


また、同じ姿の影が壁から現れて来るではないか。


「あああ、また来た!!」


美玲が印を結び呪文を唱えた。


陳太后女神 玉帝有勅!! 雷風雷電神勅!! 

軽磨霹靂電光転!! 打邪鬼敢有不伏者粉砕!!

急急如三奇帝君律令!!


勿論、妖魅はこんなことで怯まなかった。

今度は香田がすかさす、碍祓神辞を唱えた。

すると影は消えた。


今度は美玲がへたへたと座り込んでしまい。


震えながら言った。


「なにか来るよ、もっとすごいものが。」


壁からうずまきのようなものが染み出して来た。


香田がすかさす、碍祓神辞を唱える。


「うん、なんだこれ?」


「相手は怯むのだが、あまり効いていない感じだった。」


その時、浜崎が踊りながらやってきたかと思うと、


真正面から向かっていたった。


「辟魔龍声秘唱!!!!」


最初から奥義であった。


美玲には霊物が雲散霧消して行くのが見えた。


香田はあっけにとられていた、「すごい!!」


しばらくして、パーティは盛り上がってきた。

パーティ客は先程のことなど知ることなどない。

まゆみや美玲は浜崎が踊っているのを見ていた。

みんな楽しそうにしている。

真理は急にあることが思い浮かんだ

天宇受売命が踊って天の岩戸が開いた。

江戸時代末期に”えいじゃないか”と言う、社会現象が起きたことがある。

これにに近い。


もしかして、これは”岩戸開きの大神法”?


パーティは盛り上がっていた。


真理やまゆみ、有紀もみんなパーティで、踊るのであった、えいじゃないか、、、


やがて、浜崎は席に戻った。


ご苦労様でした。


萩原祐明が声を掛けた。


やがて、パーティーが終わり。

六本木の夜は更けて行った。


古神道辟魔伝 第一部 完



小説 古神道辟魔伝 外伝 第一話 偏学 上


昼間でも一足早いクリスマスの飾り付けで六本木は華やいだ雰囲気があった。

六本木にある大龍神社には神田宮司の他に権禰宜の菅野光明が奉職している。


「菅野君、ちょっときてくれないかな?」


「実はね、IT広告会社経営のアバロンEさんなんだけど、創立3周年記念ということで、人、自然、つながりということでイベントをやることになったんだ、

そこで今度、神道について講話を依頼されたので、

生活の中の神道ということで、神棚の話をしてくれないかな。」


はい、わかりました、講話内容について準備しておきます。


当日、会場に到着した菅野は担当者に挨拶し、講話の準備を進めた、

会場には20人ほどの聴講者がいたが、年齢は壮年から学生まで幅広いように感じた。

やがて、時間となったので早速、講話を始めた。

軽く、自己紹介を行い、神道の歴史、神社参拝作法などのついて話したあと、

神棚の祀りかたについて簡単な説明を行った。

さらに、神棚を祀る意味について話し始めた。



神棚を祀ることにより、大神様に守られていることがわかり心が落ち着き、

安心できるようになります。

また、これによって信仰生活に入ることができ、自分でなく大神様を中心と

することができるので、いろいろなことがうまくいくようになるのです。


しかし、大神様を中心にしていても、いろいろと悩むことはあるわけです。

それに大神様に関してもいろいろとわからないことが多かったりすると悩んだりするわけです。


それは"こだわる"からです。こだわることによって悩み、安心できなくなるのがケガレとなるのです。こだわらなければ、迷うことなく心が清浄になり、

大神様と同根となり、大神様に守って頂けるのです。


また、昔の神道者によると、「私意作為なく本心のままなるを正直といふ。」や「神垂祈祷・冥加正直」 といわれます。


これらの意味は、神を祭り、私意作為のない真澄な清明であり産霊神より生じた真心である本心ままなる正直なれば、

神のしわざである冥護が加わるということで、勝手な思い込みや猜疑心などの私心なく、神を疑わず、何事も神のしわざと神にまかせて安心し、

あるがままの本心をさらけだす公正無私の心です。

物事にこだわり、煩悶しないで、何事も神のしわざ、なにもかも神ながら、どうすることもいらぬと安心ればいいのです。


先ず、神にまかせて大安心するのです。安心する為には、大神様を中心にし、信じるのですが、それは神勅を奉戴することであり、

天皇様を中心にすることです。

天皇様を中心にすると、大御心を頂くことができます。


神道では天と地が開ける前の混沌の初めの状態を機前と言います。

これは真澄で清明な産霊神より生じたあるがままの状態より以前の状態ともいうものです。

これに対して天と地が開けたあとは真澄で清明な産霊神より生じたあるがままの状態なのです。


つまり、この機前は根源が神代紀巻頭の混沌であり、即ちまろかれです。そこに万物の生気を含む明徳である善の元が宿るとされています。

これは大元神、これは天照大御神や天之御中主神、国常立尊の神様ことですが、この神様の御心です。

悪いことは大元に戻り、大元神様の御心と一体になることによってむすび直す、つまりやり直せばいいのです。


神道は天皇様が始められた教えです。

神道の中心を成す神話は天孫降臨であり、天皇様が地上に降臨されて、修理固成を行われ、天壌無窮の理想世界を築かれるという教えであり。

神の子孫 である国民は天壌無窮の理想世界を築かれるという教えを信じることによって大神様に守られ。楽しみながら、得意なものを生かしつつ、

そのことが自然に、天 皇様が天壌無窮の理想世界を築かれるということを助け奉るということなのです。

邪神はこのことが困るので、なんとか妨害しようとします。

天皇様を中心とするというと右翼という人がいるのは邪神が皇室と国民との間の気線を遮断しようと狙っているからです。


天皇様を中心とするということを否定し、因習という意味で封建的だ、民主主義や人権の尊重に反すると言う人は、

自分達の考えが進歩的であり、科学的であるとしますが、これらは神を中心とする叡智、つまり人間性(ヒューマニティ)がない唯物論的科学です。

叡智とは神と共にある人間を基盤とする人間性(ヒューマニティ)です。

この叡智にまつろわぬ唯物論とは物質至上主義の独裁的な姿勢です。

叡智に随わぬ唯物論の自然科学は核兵器となり、

叡智に随わぬ唯物論の人文科学は共産主義となったのです。

進歩主義や科学的な装いの元に叡智に随わぬ唯物論の人文科学があり、

さまざまな、新思想が出現しています。

この自分達だけが正しくて他のものは従わなくてはいけないする独裁主義的な姿勢が科学的社会主義(共産主義)といういう

全体主義の恐怖政治や核兵器の拡散などの科学の暴走などを引き起こしたのです。


また、身近なところでは、この唯物論の物質至上主義に基づく個人単位での物質獲得競争により、なんでも自分の物でないと気がすまず、

また、自分のものでないと不安になるようになってしまったのです。

これは自分を中心に考えるからですね。

「他人が当てになるか、最後は自分だ」という考えです。

自分しか当てにならないと思い不安に駆られてなんでも貯めこみたがるので、まるで、大きな荷物を背負っている放浪者のようです。

他人の居ない砂漠を黙々と放浪するのです。


しかし、自分でなく大神様や天皇様を中心とすることできれば、このような不安はなくなるので、いろいろなことがうまくいくようになるわけです。

公正無私になるわけです。

各自が楽しみながら自分の得意なこと活かすことが、そのまま社会貢献になり、大神様からの使命を果たすことになるのです。

この理念を中心に互いを尊重し合い、共感し、調和して大神様が使わされた天皇様を助けて共に理想社会を築くことなのです。


日本は天皇様を中心にした神国であり、天皇様を中心にすることにより大神様に守られていることがわかり、心が落ち着き、安心できるようになりま す。

また、これによって、自分でなく大神様、天皇様を中心とすることができるので、自然を愛し、天地と調和する心や"もののあわれ"や慈しみ、

相手の気持ちに感情移入することができる天皇様の大御心を頂き調和でき、いろいろなことがうまくいくようになるのです。

他人との関係でも、一方的に相手に譲歩するのでなく、自分の意見がないことや、

彼我の意見の折衷でなく、公共の立場から自分と相手を活かすことであり、これを利生と言いますが、

つまり、一段高い立場から客観的に両者にとって何が良いか考え、意見を述べます。


公と私の関係も、滅私奉公でなく、私をそのまま公に活かす、活私奉公です。

個人の適性にあう形で個性、つまり、好きなだけでなく、得意なものを生かしつつ、社会に貢献することなのです。

この私益を満足させる形でなおかつ、公共の役に立つようにしなければなりません。

各人の個性は神から与えられた使命であり、この特性を伸ばすことにより公共の役に立つことが即ち、修理固成であり、

天壌無窮の皇運を翼賛することなのです。



ここまで話したときに、会場から挙手をする人がいた。


質問ですか?どうぞ、


「先程からお話を聞いていて思ったのですが、どうも天皇制についての問題意識というか、

そういうものがズレているような気がするんですよ。

過去の戦争を反省してないというか、なんか差別的というか、全体主義のような感じをうけるんですね。

国家神道が戦争の原因となったことについて、どう思われますか?」


「国家神道が戦争の原因となったおしゃいますが、キリスト教はどうですか、どんな宗教でもそういうことはあります。

神道が戦争の原因となったというのも、誤解です。」


「誤解といいますけど、実際、戦争の原因の一つだったので、神道指令もでたのであり、戦後の論調からすると

国家神道が戦争の原因となったというのは常識なんですけどね。

このことは、多くの知識人の共通認識です。」


なるほど、その知識人とは左翼系の知識人ですか?


「日本の知性を代表している知識人です。」


どういう知識人なのか存じませんが、自分達のイデオロギーに箔をつけるというか、権威主義なんですね。


「学問的に正しいということです。」

 

唯物論的な学問ですか?


「唯物論的といいますが、すべての科学は唯物論です。」


あなたのおっしゃりたいことはなんですか?


「宗教に騙され支配され、国家に従属し、他国を侵略したり、選民意識から他民族を制圧、虐殺するのでなく、国家の楔を絶ち、市民として他民族と連帯し、

人権を守ることが大切だということです。」


大神様に守られ。楽しみながら、得意なものを生かしつつ、そのことが自然に、理想世界の建設に繋がることです。

政治的な意味なら、日本は民主主義の国なので、国民は主権者ですね。また、民主的に選挙された政府が人権に配慮しますよ。

多数派の人が納得できる少数派の利益というのは普遍性をあると思われます。

普遍性の基に、世界人権宣言や日本の締結している国際条約なども考慮して、民主的な手続きによって選出された議員や、その議員が委託した専門家が議論を尽くし、

人権を侵害しないと判断された政策に対して、イデオロギー的立場から条約の解釈にあたり学問的な正しさを盾にしたりして、

少数派の権利が守られないと思う人は特権を主張しているに過ぎません。


男は急に語気を荒げ言った。


「はっきり、言わせてもらえば、日本人が再び、右翼に騙され、戦争になり、悲劇にならないようにしなようにしたほうがいいと思いませんか?

それには、人権を尊重することによって、世界と協調することです。」


民主的な手続きによって選出された政府が世界と協調しますよ、

  

「しかし、アジア諸国と関係が悪い。」


それは独裁主義国家や反日イデオロギーの国が日本をけん制しているのでしょう。

ところで、あなたはその”アジア諸国の言い分”と”日本の言い分”のどちらが正しいと思いますか。


「アジア諸国です。日本は反省しなくてはならない。」


つまり、あなたは反日なんですね、活動家かなんかなんですか?最近はそういう論調は通用しないと思いますよ。


(下につづく)



小説 古神道辟魔伝 外伝 第一話 偏学 下


「反日だろうが、なんだろうか、それは思想の自由です。

それに私は教員です。社会の指導的地位に居ますので、私の言うことは信用されると思いますよ。」


また、権威を持ち出すんですね、なんですね、あなたは自分の地位を利用して、自分の反日思想を広げようとしており。

そのことに反対する人には思想の自由をもって対抗するわけですね、自己矛盾を感じませんか?

あなたは反日なのに日本社会の指導地位にいると言っている。

もしかして、反日的な方向に社会の指導するということですか?


「過去を反省し、アジア諸国と連帯することです。

つまり、アジアとの共生ですね。」

そのために正しい方向に日本人を導くのです。


日本の国益よりも、アジア諸国の利益を重視するのですね、


「日本はいろいろ償いをしなくてはいけませんからね。

国際協調です。」


あなたはその”アジア諸国の言い分”を認めるのが国際協調だというのですね。

「ええ」


日本の場合、我田引水の作為なく、誠実に相手の権利も尊重しつつ公の為になにが良いか考えた上での意見であり。

単に、日本の国益のみを主張するものではありません。

ここで、重要なのは、日本の意見が"一国の言い分"であっても、アジア諸国の意見が単に、アジア諸国の権利のみを主張するものであれば、

これらは同列ではないということです。


ここまでのやり取り聞いていた、別な聴講者が挙手した。


どうぞ。


「お話を聞いていて質問なのですが、しかし、アジア諸国からしてみれば、いくら国際社会の為と言っても、それは日本が勝手に考えた”国際社会”ではないかと思われませんか?」

国際社会の為と称して我田引水にことを運び自国の利益を得ようとする国が多いのです。

さらに、国際社会の為といって相手の国益をまったく尊重しない態度は問題じゃないですか?」


そうではなく、国際社会の為にアジア諸国を活かすという意味で、

つまり、アジア諸国の適性にあう形で役割を生かしつつ、相手の国益を満足させる形でなおかつ、国際社会の役に立つような提案をしなくてはならないのです。


日本の意見が何故、誠実にアジア諸国の権利も尊重し、公共の立場から相手を活かすという意味、つまり、アジア諸国の適性にあう形で役割を生かしつつ、

アジア諸国の国益を満足させる形で、なおかつ、国際社会の為に役立つのかを論理的の説明した上で、アジア諸国に対しても、同様にアジア諸国の国益のみを主張するものでなく、

我田引水の作為なく、誠実に日本の国益も尊重しつつ国際社会の為に日本を活かすという意味、つまり、日本の適性にあう形で役割を生かしつつ、

日本の国益を満足させる形で、なおかつ、国際社会の為に役立つ為には、なにが良いか考えた上での意見を出してもらい。

それが、その意見が本当にそうなのかを論理的の説明してもらった上で議論すれば良いのです。


「日本の役割とは経済援助とかアジア諸国に協力することでしょう。

 さらに、日本の軍国主義や侵略を反省することが、連合国の勝利により形成された戦後国際社会の価値観にあったことじゃないですか?」


それが反日的なのです。

「よその国の機嫌を損ねてはならない」と言っても、

日本の国益を損ねてまで、相手の国の不法を黙認しなければならない義理はないです。

さらに、反省すると言っても、やってもいないことまで謝る必要はないですね。

 

そもそもアジア諸国から内政干渉が起こるのはアジア諸国に降伏するという形で国交を正常化したというアジア諸国の雰囲気があるからです。

つまり、日本は悪かったと認め、アジア諸国が正しいと認めて降伏に近い形で講和し、

国交を結んでいるのだという認識が相手にあるので。


日本は口では反省しているといいながら、反省していないのではないか、

それでは戦争状態を日本は悪かったと認め、降伏に近い形で講和を結んだ趣旨に反するのではないということです。

 

日本はアジア諸国にはアジア諸国の考え方があり、それぞれの考え方は両国の内政であるから干渉しないということなのですが、

アジア諸国からすれば、日本は悪かったと認め、降伏に近い形で講和を結び、アジア諸国の言い分が正しいと認めているのだから、異議を申し立てないと思っているわけです。


しかし、こういう”日本が軍国主義や侵略を行い悪い国だったんだ”という考え方が日本対する誹謗中傷であり、反日なのです。


このようなことからも、外交上の配慮で異議を申し立てないほうがいいというのでなく、いかに日本の考え方をアジア諸国に説明し、

相手の政府、国民を説得するかです。

  

「つまり、おっしゃりたいのは、日本はアジア諸国が考えるような形では、日本の軍国主義や侵略を反省することがないことをアジア諸国に知ってもらい、

その上で反省しない日本と友好関係をむすぶ方向に持っていくということですね。 

しかし、日本国内でもアジア諸国と同様に”日本の軍国主義や侵略に反対”する反体制派などは、こういう”日本の軍国主義や侵略を反省することがない”

日本政府に批判的じゃないですか?」


反体制派は日本が軍国主義や侵略を行い悪い国だったんだ”と日本対する誹謗中傷を行い、政府の信用を失墜させ、自分達の正当性を宣伝するのです。

しかし、これは進歩主義や科学的な装いの元に叡智に随わぬ唯物論の人文科学があり、

この自分達だけが正しくて他のものは従わなくてはいけないする独裁主義的な姿勢が科学的社会主義(共産主義)という全体主義の恐怖政治となります。

また、このような邪神に憑依されているので天皇様を中心とするということに反対しますが、

これは邪神が皇室と国民との間の気線を遮断しようと狙っているからです。  



「しかし、日本政府もよく反省しているといいますが?」



先程、お話した通り、アジア諸国は日本は口では反省しているといいながら、反省していないのではないかと思っています。

しかし、アジア諸国は日本は10個悪いことをしたので、この10個の悪事を反省しなくてはならないと思ってますが、

日本政府は3個位は悪かったかもしれないが、あとの7個はやってもいないことなので反省する必要はないと思ってます。

しかし、日本はアジア諸国にはアジア諸国の考え方があり、それぞれの考え方は両国の内政であるから干渉しないので、あとの7個はやってもいないことなので

アジア諸国の意見が間違っているので正せとはいわず、

また、あたかも何個悪かったか言わずに、ただ反省するという玉虫色のメッセージを出すのです。

これでアジア諸国は日本はアジア諸国の言い分が正しいと認めて反省している解釈しますが、実際は3個位は悪かったかもしれないがと思っているだけなので、

日本は口では反省しているといいながら、反省していないのではないかと思うわけです。



ここまで、話していて時間もだいぶ過ぎていたので、講話を終了し、休憩に入った。

管野は、なかなか、理解されないなと、ため息をついた。  



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第1話 開店


まゆみは東京ミッドタウンの近くにあるガールズバーで開店準備に追われていた。


浜崎は新規事業と称してまゆみが以前勤めていたガールズバーを経営することとなり、

まゆみをマネジャーに任命した。


ここらへんがややこしいのだが、この”ガールズバー”はLM BARを展開する

LMプランニングがオーナである。

しかし、浜崎は"オルガナイザー"と称し、まゆみをLMプランニングに出向させた上で、責任者とした。

その上で自分で経営しようというのだった。


「LM BARみたいな感じにしたいんだよね。」 浜崎は店内を一瞥して言った。


それなら、LMプランニングさんにまかせればいいのに....


二号許可(二号営業)でガールズバー兼DJバーをやろうとしているけど大丈夫なのかな?


まゆみは浜崎がVIP席と称してボックス席を残したまま営業するのが正直不安だった。


外ではフライヤー配りも始まり。


いよいよ開店時間となり、最初の客が入ってきた、


いらっいしゃいませ!


「どうも、いらっしゃい」浜崎は香田幸雄に挨拶した。


社長 開店おめでとうございます。


これお祝いです。香田は祝儀袋を手渡した。


「早速乾杯しましょう。」 浜崎は早速飲みだした。


そのうちにフライヤーを見た客が入ってきた。


なんかね、しめしがつないな...


客そっちのけで香田と飲んでいる浜崎を見ながら、まゆみは苦笑した。



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第2話 会話


東京ミッドタウンの近くにあるガールズバー開店から2週間程だったある夜、

浜崎がひさしぶりに店に顔出した。


まゆみは開店してからというもの、休む暇もなく、店舗の運営企画に忙殺されていた。


あー 社長、おとといも連絡したんですけど!


「いやね、こちらもお客さんの対応で忙しくてね、」浜崎は事務口調で言葉を返した。


ええ、不況ですもんね、でも、、、


「それで、どんな感じなの?」浜崎はむっとしたような口調で尋ねた。


お客さんは結構はいってますよ、でも、お店のコンセプトがあいまいなんで、、、


普通にバーとして利用する人が大部分ですよね、はぁ、、


「いやさ、指名以外は普通のバー形式でいったほうがさ、気楽に飲みにこれるから、いいんだよ。」


でも、待機している子の時給は掛かってますよ、


「それは、なるべく歩合で来てくれる子を集めてねといったんだけどね、」 浜崎は語気を強めた。


そんなこと言いますけど、バーデンダーとして接客しながら、お客さんに指名させるのは大変なんですよ。

そんなことやる子いませんよ、それにVIP席に同席だと料金が高すぎます。


「VIP席だから、当たり前でしょ!別に指名は同席しなくても取れるんじゃないの?」


「ウチは二号営業だから同席はまずいんだよね、だから指名とVIP席のチャージを分けているんだよ。」


それって、社長が行政書士のセンセに言われて、決めただけですよね。


店の経営とか考えていますか? こんどはまゆみが詰問した。


「勿論」 浜崎はテキーラのショットをあおりながら言った。


あのう、勝手にお店のお酒とか飲まないで頂けますか? 帳簿が合わなくなるし、真似する子が出ますんで。


「うん、それじゃさ、今度からヒルズの酒屋でボトル買ってから来るわ。」 浜崎は横を向きながら言った。


社長、こういう時は、今、この場でボトルを入れたりするもんですよ。


普通、開店当初は社長がお客さんとか連れてきて店の売り上げに貢献してスタッフの士気を上げるもんなんですけどね。


向いてないんじゃないですか?


「それじゃさ、来週から3ヶ月好きなようにやってみる? 数字だけ達成してくれればいいよ。」


いいですよ。でも、その数字は社長がLMさんに約束している数字ですよね? 


私は別な考えがあるんですけど。


「じゃあさ、LMさんと話してよ、数字は契約書に書いてあるんじゃないからね。」


わかりました。LMさんと話してみますね。


「ところで、そもそも、今夜来たのは別件なんだ。」 浜崎は急にあらたまって言った。


「今夜、VIP客が来るんだよ、30分後にね。色々用意しなきゃいけない。」


それなら、早く言って下さいよ。急に言われても困ります。


「今回はとりあえず、ケータリングを手配しておいたよ」


そんなことやって、採算取れるんですか?


「まあまあ、いいから。」


まゆみは少し緊張した。


小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第3話 歓談


浜崎は携帯で誰かと打ち合わせしているようだっが、不意にまゆみに声を掛けた。


「来たからさ、一緒にお出迎えしてね。」 浜崎は店の奥に歩いて行った。


えっ、正面入口からいらっしゃるんじゃないですか?


「裏の入口から直接奥のVIP席にお通しするんだよ。」


もしかして、芸能人?


「とにかくいいから、来て」


しばらくして、裏の入口、実は通用口なのだが、そこから、初老の男性二人と屈強な男性二人の計4人が入って来た。


「佐々木先生、お待ちしてました。こちらにどうぞ。」 浜崎が笑顔で迎えた。


いらっしゃいませ、4名様ですね?まゆみも笑顔で迎えた。 ところが浜崎が意外なことを言った。


「VIP席にこちらの2名様をお通しして下さい。」


えっ、4名様じゃないですか?


「こちらのお客様のは隣のボックス席にお通しして下さい。」浜崎は屈強な男性二人に会釈した。


「あとから、2名様いらっしゃるから。」


まゆみは初老の男性の内、一人に見覚えがあるような気がした。


評論家かなにかかな?


あの方はどなたなんですか? まゆみは浜崎に聞いた。


「元海幕長だよ」


カイバクチョウ?? それって、海上防衛隊のですか?

ははっ、去年、TVや新聞で騒がれていた方ですね。

政府見解である村木談話に反する論文を発表したとして更迭された方でしょ。


浜崎は無言だった。


それから10分も経たない内に再び、通用口で来客を待っていた。


「いらっしゃいました。」 浜崎が緊張しているように見えた。


あーーー、まゆみは思わず息を飲んだ。


通用口から入ってきたのは阿蔵首相とその他3名だった。


「佐々木先生達は奥でお待ちです。」


”そう、ありがと” 阿蔵は軽く手を上げた。


VIP席では佐々木と田上が立って阿蔵を迎えた。


総理、わざわざ、ご足労頂きまして。ありがとうございます。


総理、お初にお目にかかります。田上です。


いや、新聞にも書かれたけど、俺はこの近くのホースヘッド(馬頭)にはよく来るんだよ。

後で、寄るけどね。


「失礼します。」


席につくと、あゆみがボトル運んできた。


トマーティン(Tomatin 25Yrs)でございます。


さらにスタッフがケータリングの料理を次々に運んできた。


スタッフがいなくなると、阿蔵は田上に切り出した。


”ところで、幕僚長、例の件について報告してくれないかね。”



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第4話 関心


ターニャは代々木公園で待ち合わせをしていた。


やがて、横からロシア人女性が近づいて来るのが見えた。


ズドラーストヴィチェ(こんにちは)、相手が話しかけてきた。


ズドラーストヴィチェ カーグ ジュラー (こんにちは、ご機嫌いかがですか?)、ターニャは笑顔で答えた。


ハラショー、スパスィーバ、 ア ヴィ?(良いわ、ありがとう、あなたは? ) この女性が接触対象にまちがいない。


西側の偵察衛星の位置は確認済みとはいえ公園で会うとは大胆だ。


ニ プローハ(まあまあです。) ターニャはすこし緊張した。


ところで、ヤセネヴォ(ロシア対外情報局本部所在地)はなんと言っているですか?


相手はR.(エージェント)である。


手短に説明するね、私はナターシャ、実はA.アメリカンエージェントに妙な動きがある。

今回の任務はそれを探ることね。


具体的には日本に諜報活動を仕掛けている。


アメリカが今さら日本に関して探ることがあるんですか?


いや、だから、そこにヤセネヴォが関心をもっている。


軍事情報、または政治的な動きなのかは不明だが、それを探ってほしい。


先ずは六本木で情報収集にあたってほしい。詳細は追って連絡する。


承知しました。


パカー(じゃあね)ナターシャは足早に立ち去った。


ダ スヴィダーニャ(さよなら)ターニャもその場から離れた。



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第5話 杞憂


六本木ヒルズにあるホットランドバーでホットランドビアーを飲みながら

マイクはくつろいでいた。


やがて、隣の席に女性が座り、ビールの飲み始めた。


すると、マイクさん?相手が話しかけてきた。


はい、そうです。マイクは小声で答えた。


マイクは米系金融会社でコンサルタントとして働いていたが、CIAのエージェントであった。


私はカレン。よろしくね。


ラングレー(CIA)では今回の件について、情報収集の対象を絞ったね。

特に例のファイルについてホースヘッドに対する詳細な調査が必要だと考えているみたいね。


ホースヘッドは関係あるんですか?


ホースヘッドとは阿蔵首相の行き付けのバーで、阿蔵首相はここで内閣情報局の

エージェントからさまざまな報告を受けていた。


今回の任務は日本の保安調査庁に協力して、日本国防省情報局、つまり、防情局に対抗し、例のファイルを先に入手するということですよね。

マイクはけげんに思った。


内閣情報局は防情局を調べていて、彼らの調査結果を入手するのが手っ取り早いということみたい。カレンはそっけなく言った。


しかし、同盟国に対するやりかたとしてはあまりにもあからさまじゃないですか? マイクは不安だった。


保安調査庁とマイクは協力関係にあり、内閣情報局とのトラブルが発生すれば、

日本側の信用を失い、今までの日本におけるマイクの努力は水泡に帰すからだ。


それはラングレーが判断することだから、命令に従ってね。それにそれは杞憂というものだね。


我々の動きは日本側に察知される可能性はほぼゼロに等しいからね。 カレンはそう言うと、席を立った。


「わかっていないな、」マイクはビールを飲み干すと。今度はショットをあおった。


小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第6話 動揺


市ヶ谷の国防省の一室で斉藤は報告を受けていた


すると、保調庁(保安調査庁)の背後にはA.Aがいるというのだな?


ええ、間違いありません。鈴木二尉は答えた。


まあ、いいだろう。防情局(国防省情報局)の活動はA.Aに察知される可能性はほぼゼロに等しいからな。


一佐!いいえ、油断してはいけません。


ところで、現在までの動きはどうなんだ?


それですが、これがエージェントのマイク.クーパに関する資料です。


表向きは米系金融会社でコンサルタントとしていますが、


保調庁と協力関係にあり、我々のことを探っています。


さらに、先日、別なエージェントと接触したところを確認しています。


それが、この女か? 斉藤一佐はカレンの写真を凝視した。


ええ、そうです。


その後、クーパは協力者と接触し、六本木にあるバーを調査しています。


どこのバーだ? 


ホースヘッドです。斉藤一佐の質問に鈴木二尉は答えた。


ホースヘッド? 内情(内閣情報局)じゃないか。


実は内情が動いている形跡があるんです。


それは本当か?


鈴木二尉の言葉に斉藤一佐は驚いた。


やられたな、保調庁に気を取られていた為に見落とした。


いえ、内情が保調庁の側についたかは不明ですし、その可能性は低いです。


いいや、内情が保調庁の側に付いたことを前提として、行動するのが貴官の勤めじゃないのか?



斉藤一佐は動揺しているのか声を荒げた。


とにかく、ホースヘッドを探れ。


承知しました。


鈴木二尉は敬礼し部屋を後にした。



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第7話 驚愕


それは本当なのか?


青田は驚いていた。


はい、間違いありません。本城は淡々と報告していた。


内閣情報局では、ファイルの一部を入手し、分析をすすめていた。


しかし.... 信じられんな、そんな話とは....


いいえ、鎮護国家というものは古よりの伝統みたいなものですよ。青田に本城は答えた。


しかし、先の大戦では効果がなかったんじゃないか?


それは、運用が適正でなかったせいです。


当時は何でもありになってしまい、かえって、悪い結果に終わってしまったのです。 本城は力説した。


そうなのか?ルーズベルト大統領が死亡したり、ハルゼー提督指揮下の艦隊が台風で壊滅的打撃を受けたりしたが、日本は負けた。それは失敗ではないのか?


いいえ、ですから、適正に運用されていれば結果は違ったのです。


とにかく、説明致します。


本城はファイル「霊的国防の研究」について説明を始めた。



小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第8話 安息


予算委員会の質疑も終わり、阿蔵首相はほっとしていた、

「ご苦労さん」公用車に乗り込む前、秘書に阿蔵は声を掛けた。

「六本木に行ってくれ。」運転手に指示すると、手元の書類に目を通し始めた。


「海賊か.....」 東アフリカ・ソマリア沖で頻発する海賊事件は政府にとって頭痛の種だった。

本来なら海賊対策一般法を制定しなくていけないのだが、間に合わない為に海上防衛隊の護衛艦による海上警備行動を発令しなければいけないのだ。


阿蔵が資料を読んでいるうちに六本木に到着した、「よし、ここでいい。」

区立図書館の近くで阿蔵は車を降りた。


SPと共に少し歩き、一軒のバードアの前に来ると、

「車で待っててね。息抜きに行って来るよ。」SPを入り口で帰し、

そのまま、店内に入った、ホースヘッド、阿蔵の行きつけのバーだった。


特徴のある、馬頭のオブジェは周囲でも一際目だっている。

奥のVIP席に付くと、阿蔵は葉巻の火を付けた。

テーブルにバランタイン 30年とセットが用意されている。

いらっしゃいませ、バーの女性オーナーが挨拶に来た。


「おう、元気だった?」

おかげさまで、ところで、

内情(内閣情報局)のエージェントであるオーナーはさっそく、定期報告を始めた。


一通り報告が終わったところで、

オーナーは切りだした。


それと、、気になることがあります。


「なんだ?」阿蔵の問いに、オーナーはすこしとまどっているそぶりをみせた。

今夜も来てますが、ここ数日、こちらに防情局(国防省情報局)の方が良く来ます。


「防情局? そうか、、、」


ご存知でした?


「いいや、そんなことはないが、この間は保調庁の連中が来たんだろ? その関係じゃないの?」 


それはいいのですが、それと、、、、


「なんだ?」 


少し気になる感じの方が来たんですよ。


「どんな?」


全部一見のお客さんなんですが、会話が不自然というか、まあ、これは勘ですけど。

その後、定期盗聴盗撮電波検査で複数の盗聴器を発見しました。


「マスコミじゃないか? それか野党かな?」 阿蔵はそっけなく言った。


いいえ、そんな感じじゃないですよ。

率直に申し上げると、A.A(CIA)です。


「うむ。」阿蔵は押し黙った。


それだけじゃないんです。

店の前をうろついている外人女性がいたんですよ。

おそらくロシア系です。


「R.A (ロシアンエージェント:ロシア対外情報局)か?」


はい、間違いありません。


「わかった、また、なにかあったら聞かせてくれ。」 阿蔵はスコッチを煽ると席を立った。


小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第9話 祭日


ミッドタウンの近くに鎮座する大龍神社では権禰宜の菅野が翌日に斎行する紀元節祭の準備を一通り終え、帰宅のしようとしていた。


社務所を閉め、宮司に挨拶をし、退社前の参拝しようとすると、真理が参拝していた。


「これは野々宮さん、おひさしぶりです。」


真理は以前、萩原祐明の紹介で時々、大龍神社を手伝っていたのだが、

最近は神社側でも人が足りているということと、真理もAVALON-Eの

チーフに昇進したりして時間がとれなくなったこともあった。


「菅野さん、こんばんは、おひさしぶりです。神田先生はお元気でらっしゃいますか?」 


「ええ、お元気ですよ、明日は紀元節祭なんですよ、是非お会いになって行かれて下さい。」


真理は神田宮司に挨拶すると菅野と一緒に神社を後にした。


「ところで、浜崎さんが新しいお店を始めたことはご存知ですか?」 真理は尋ねた。


「ええ、存じてます。私は行ったことはないのですが、開店の時にお祭りは神田先生が

行われたらしいですね。」


「私も行ったことはないんですよ、そうだ、もし宜しかったら今夜でも行ってみますか」


「ええ、そうですね。それでは行ってみましょうか」 菅野はうなずいた。


昼間にまゆみからメールが入っていて、知り合いがいたら連れてきて欲しいということ

だった。


バーの店内に入ると、まゆみがカウンターに入っていた。


「いらっしゃいませー あー、真理ぃ、ひさしぶり、きてくれたんだ、」 まゆみは嬉そうだった。


「ひさしぶり、こちらは菅野さん」 真理は菅野を紹介した。


「お世話になっております。大龍神社の菅野です。」 


「あっ、こちらこそ、お世話になります。吉田です。」 まゆみは少し驚いていた。


「ところで、仕事はどう?社員になって後すぐに昇進したんでしょ。」 まゆみは真理に

話かけた。


「忙しいよね、こっちはどう?」 


「一時はどうなるかと思ったんだけど、こっちも順調だよ、ガールズバーでなく、ダイニングバーみたいにしたんだよね。」


「フードはLMプランニングさんの関係のレストランからもってくるんだよ。

それと、時々、VIPのお客さんも来るんだよ。」  まゆみは事情を説明した。


「へー、すごいね。 VIPというと?」


「首相とか」 真理の問いに、まゆみは小声で答えた。


「.....、本当なの?」 真理達は驚いた。


「うん、浜崎社長のコネらしいよ」


「うーん」 菅野は唸った。


「その後、いろいろな人が来るようになったんだよ、」 ここまで、まゆみが話してところで、

別な客がオーダした。


「あっ、それじゃ、またあとで、ゆっくりしていってね。」 


「ジントニックをお願いします。」


「よく、いらっしゃいますね。お近くにお勤めですか?」 まゆみは客に尋ねた。


「ええ、そうです。ここは開店して長いですか?」


「いいえ、まだ一年たっていないんですよ。去年の10月にオープンしたばかりです。

 LMバーの姉妹店なんですよ、」 客の問いにまゆみは答えた。


「宜しかったら、会員証をお作りしましょうか?別に申し込み書とか書いて頂かなくても、

お名刺を頂ければすぐですよ。」


「わかりました、お願いします。」 客は名刺を差し出した。 IT関連の企業らしい、

ITコンサルタント 加藤 浩と書いてあった。


「加藤様はITコンサルタントなんですか?」


「ええ、そんなもんです。」 鈴木二尉は答えた。


「実はこのお店を経営している会社もIT関連事業をしているんですよ。

エンジニア派遣とか、宜しかったらこちらの名刺ももらって下さい。」

まゆみはH&Iカウンシルの名刺を差し出した。


「ええ、ありがとうございます。」


鈴木は田上元海幕長がこの店で誰かに会っていたことは知っていたが、

店の経営母体がH&Iカウンシルだとは知らなかった、情報ではLMプランニングが

経営母体になっているはずだった。


「LMバーというのも、経営されているんですか?」


「いえいえ、こちらもオーナはLMバーと同じ、LMプランニングなんですけど、

スタッフと運営がH&Iカウンシルなんです。」


「なるほど、」 まゆみの説明に鈴木は納得した。 それで情報が錯綜していた

理由がわかったのだ。


小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第10話 困惑


阿蔵は首相官邸の執務室で困惑していた、ミサイル発射に続き、核実験、、、、


これは腹を括らなくてはならないな、、、


阿蔵が決断を迫られているのは誰の目からも明らかだった。


敵基地攻撃能力の保持、巡航ミサイルの保有や航空戦力の強化、周辺諸国との関係は難しくなるが、


やるしかないな、、


そうしているうちに携帯が鳴った、はい、阿蔵です。

総理、田上です。


ああ、海幕長、ひさしぶりです。


実はお話したいことがあります。

今夜時間を頂けませんか?


いいですよ、どこにしますか?

阿蔵は答えた。


ガールズバーでどうですか?

いや、ホースヘッドにしてくれ、阿蔵は強い口調で言った。


小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第11話 対策


阿蔵はホースヘッドに着くなり、ウィスキーを煽っていた、

「閣下」田上元海幕長が隣に座った。


海幕長、状況は急を要する。

なにか意見はないかね?


まずは、敵基地攻撃能力の獲得保持が最優先です。

勿論、MDの強化や、F22獲得が重要なことは言うまでもありません。


それに加え…


それに加え…?阿蔵は聞き返した。



実は、別な方法で対策が必要です。


別な方法?それはなんだ?


それは「霊的国防」です。


「えっ」阿蔵はなんと答えて良いかわからなかった。







小説 古神道辟魔伝 シーズン2 第12話 継承


東京は大雪にみまわれていた。


阿蔵は民自党の役員会出席の為、新幹線で東京に戻ってきたばかりだった。


阿蔵内閣が衆議院選挙で大敗し、民生党が政権についたものの

政権は不安定で鳩田内閣に続き谷内閣も倒れ、前田内閣が発足したばかりであったが

問題が山積していた。

 

今回の関西訪問では阿蔵は有力な後援者と一緒に呑んだのだが、

そのときの話題について考えていた。


「選挙の事務所開きにはいろいろ掛かりますね。」


ええ、そうですね。


「でも、掛けるところは、掛けたほうがいいですよ。」


 例えば?


「うーん、そうですね、神棚とかですが、いえ、高級品の神棚という話じゃないですよ」

 

「むしろ、霊験というか力のある神主さんに祈祷してもらうとかです。」 


なるほど、


「実は前の選挙で当選した大阪20区の梅山さん、ある特殊な神社の神主さんに祈祷してもらったのですよ。」



えっ、確かにあれは予想外でなんで当選したのか不思議に思ってました。

その神主さんはどんな人ですか、



「なんでも普通の神主さんと違い「古神道」を継承している神主さんらしいですよ」


「古神道ですか、、」



東京は大雪の為、渋滞がひどかった。


かなわないな、これは。


阿蔵はバックから後援者からもらったタブレット型PCを取り出すと、

ネットでニュースを見ていた。


前田内閣も長くはないな、


そうだ、


今度は検索エンジンを開くと、「古神道」と入力し、検索した。

検索結果が表示されたが、その中である単語に目が留まった。



うん? 霊的国防?


「霊的国防とは、武力戦・生産戦・思想戦に対して霊的方面から援護するとして古神道の教団により提唱されたものである。

このため、日本への攻撃に対する霊的国防のための霊的修法が集団で実施された。」



つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ