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封印刑の勇者殺し  作者: スズキジン
3/13

3話 旅の始まり


俺はミラージュと別れ、自室に入った。

ベッドとタンス、テーブルに椅子と一般的な宿屋の部屋だ。


特にすることも無いので俺はベッドに横になって、頭を整理することにした。


「魔王討伐か...」


俺達が魔王と戦った時は、かなりの苦戦を強いられた。いくら魔王といえど、5人の勇者パーティを相手に1人で迎え撃つことはせず、配下を2人連れていた。


魔王は勇者アランと俺。配下2人はニーナ、ミラージュ、シンの3人と分かれて戦った。


俺たち2人よりも魔王の方が強く、苦戦を強いられていたが、ニーナ達が配下を倒し、合流できたお陰で何とか勝つ事ができた。魔王の配下が言うには、過去最高の力を持つ魔王だったらしい。誰か1人でも欠けていれば、負けたのはこちら側だっただろう。


客観的に見ても、当時の俺が強いことは明白だ。だが、1人で魔王に太刀打ち出来るほどじゃない。


今の魔王の強さが未知数だが、俺が1人居たところで勝てるとは思えない。勇者一行でも負けるくらいなのだから。


そもそも、俺は本当に世界を救う人間なのだろうか。前に賢者が言っていたように、世界の敵である可能性も捨てきれない。勿論、俺の意識は世界を陥れようなんて考えは全く無い。ただ、アランを刺し殺した勇者殺しの事件。あの件の詳細が解明されないと、俺自身への不信感は拭えない。


「まずは、俺の身の潔白を証明するのが先だな...」


魔王に勝てるかは別として、世界を救うに相応しい人間なのか、自分自身を確かめる必要がある。そんなことを考えながら、俺は眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝、目が覚めたので村の広場に向かった。


「あら、丁度よかった。今から食料の配給が始まるところよ。アンタも並びなさい」


広場にはミラージュ、そして村人達が集まっていた。30人は居るだろうか。


「なあ、自給自足で生活してるんだろ?俺たちが貰っていいものなのか?」


「いいのよ。この近辺の魔物倒したし。村長にも許可もらってるから」


貰って当たり前みたいな態度をしているが、ミラージュは最後尾に並んで、余った食料を貰おうとしている。他人を気遣える、根は優しい人間なのだ。


食料を貰い、薬草や装備品を購入してから俺たちは一度宿屋に戻った。


俺が部屋に入って数分経つと、ノック音もせずに扉が開いた。


「ほら、さっさと準備しなさい。次の街に向けて出発するわよ」


「ミラージュは支度が早いな。先祖のミラはいつも支度が遅かったんだぞ」


「...あら。私の偉大な先祖を馬鹿にしているのかしら」


「いや、懐かしいなと思って。まあ半分は馬鹿にしているが」


「いつか天罰が下るわよ」


「あいつは黒魔術使いだから、天罰ってより呪いだな」


そんなことを話しながら、俺たちは村を出た。


辺りは魔物の気配が全くせず、体が本調子じゃない俺は少し安堵した。


「で、これからどうするんだ?」


「ひとまず、仲間を増やすのとアンタの力を取り戻すのが最優先ね。仙人峡に向かいましょう」


「仙人挟はシンの故郷だったな。確かにあそこは武術の達人が多いから、仲間探しも出来るし、訓練もできそうだ」


「その通りよ。ただ、仙人挟に行くのはある目的があるからなの」


「目的って仲間と俺の訓練以外にもか?」


「シンに会って色々と情報を聞くの」


「シン?生きてるのか?いや、いくら何でも亡くなってるだろ。俺が封印されてから200年近く経ってるんだぞ」


俺が封印された時にシンは24歳だったはずだ。あいつは人間だから、寿命はとっくに迎えてるはずだ。


「私も会ったことがある訳じゃない。ただ、仙人の力を習得した彼は、人間の寿命を超えて仙人に近い存在になったって聞いたわ」


「確かに、前行った時に元武術の達人っていう120歳のお爺さんは居たな。会えたら嬉しいけど、確実な情報じゃないなら期待はしないでおくよ」


「そうね。信じられるのは自分の目で見たものだけだもの」


そう言う彼女の目には強い意志を感じた。

一年ぶりの更新です。

少し進めていきたいと思います。

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