2/3
stibnite ~ ネクラ少女と灰色鉱石(2)
そして私は、夕日が差し込む回廊を。
夕暮れで怪しく暗くなる回廊を。
一人さまようことになった。
歩く。歩く。歩く。
長い回廊を歩く。
夜に近づき影が差していく回廊を一人歩く。
突然神父が言っていた言葉を思い出した。
「邪な事を考えるものは闇に取り込まれる。
人よ、悪しき心を持たず清廉であれ。」
私はその言葉も「くだらない。」と感じていた。
修道女でありながら、
除け者に、鼻つまみ者にされている私であるからこそ。
そう説く神父が滑稽に見えてくる。
清廉であるべきの神使徒である修道女が、
肌の色の違いと言う「くだらない」理由で軋轢を産む。
神父が言ってることを守らず悪意を持つ修道女たちと、
この教会と言う神聖な場所が噛み違っていない。
滑稽でしかない。
そもそも、私は神に対して信心があるわけでもない。
実は修道女をしているのには理由があった。
私はその時の事に思いをはせる。