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七羽 練習試合

三人は公園から戻ると取っていた場所で奥原選手が体育館に入ってくるのを待っていた。


「いよいよだね~ 私もうノート書く準備とかばっちりだよ!!」


美穗はそう言ってじゃーん!!とノートとペンを二人に見せた。


「美穗はすっごく楽しみにしてたもんね。 こんな機会は滅多にないから頑張ってね。 それと後でどんなことを書いたのか見せてもらいたいんだけど……」


「私にも見せてほしい。 私はカメラで練習試合を録画するからそれと合わせて見たいから……」


「いいよ!! 終わった後に家で一緒に見ようね!!」


美穗はそう言って頑張るぞ~と握りこぶしを作っていた。


「茜もカメラ持ってきたんだね。 私もカメラ持ってきたよ。 足の運び方とかをじっくり見たいと思って。」


「私は全体的な試合の流れを見たい…… 今日は練習試合だから本気ではやらないかもしれないけどそれでもゲームメイクのお手本になるかと思うから」


「そうだね。 それじゃあ、私が奥原選手の様子をじっくりと撮るから茜は相手の選手も見えるように録画してくれる? そうすれば詳しく見られるから。」


「わかった。」


双葉が茜にそう言うと茜は頷いてカメラのセッティングを始めた。



どうやら茜カメラは全体の試合の流れを撮るようで相手の選手と奥原選手が互いにどのように動いているのかやどのような配球なのかを撮り、双葉カメラは奥原選手の動きを徹底的に撮って足運びや奥原選手の守備範囲などが少しでもわかるようにするらしい。


「っ!! 奥原選手が入ってきたよ!!」


二人がカメラのセッティングをしていると美穗が体育館の入り口を指さしながらそう叫んだ。

二人が体育館入り口を見ると、二人の女性が右と左に並んで入ってきた。


「うう!! 本物の奥原選手だ~ やっぱりかっこいいな~!!」


美穗は満面の笑みを浮かべながら右の女性を見ていた。


「あれが奥原由紀選手か…… 確かにかっこいい。」


茜は奥原選手を見るとそう言った。 だが双葉だけは少し難しそうな顔をしていた。


(確かに二人の言うとおりかっこいいと思う。 でも俺の知っている奥原選手じゃない…… 俺の知っている奥原選手はあんなに背の高い選手じゃなかったぞ? どう見ても165ぐらいある気が…… もしかして、入れ替わる前の世界とは別の世界なのか?)


「双葉ちゃん? どうしたの? そんなに難しい顔して?」


「い、いや、何でもないよ……」


「そう?」


「二人とも、奥原選手の挨拶が始まるよ」


双葉と美穗の二人が小声で話してると茜が二人に奥原選手の挨拶が始まることを伝えた。

二人は急いで聞く準備に入り、奥原選手に注目した。


そしてマイクの音が入り、奥原選手の挨拶が始まった。


「皆さん、こんにちは。 え~と、私は奥原由紀といいます。 今日は私と彼女の練習試合をいろいろな方に見せたいという声があって、今日のイベントをすることになりました。 ここに居る方の中には経験者の方も居ると思いますがそうじゃない方も居ると思います。 ですが今日は経験者の方やそうじゃない方、皆さんが楽しんでもらって、バドミントンのことを知ってもらえたらなと思います。 それでは私からは以上で」


奥原選手の挨拶が終わると、拍手が起き、それが鳴り止むとこのイベントの進行役の方がイベントの説明を始めた。


そしてその説明が終わると、いよいよ奥原選手の練習試合が始まる。


「いよいよ始まるね。 でも最初から本調子で動けないだろうから基礎打ちから入るのかな?」


「多分そうだと思うよ? いきなり動いて怪我してもいけないしね」


「双葉の言うとおりだと思う。」


三人が話していると奥原選手ともう一人の選手、佐藤選手は三人の予想した通り基礎打ちから始めた。

それは固まっていた体をほぐし、あっためるように何度も何度も続いた。


そして、ラリーが終わり、奥原選手と佐藤選手がお互いの顔を見てうなづいた。

その瞬間、体育館の空気が変わった。


今まではいろいろな人たちが出す空気もあり、暖かくのんびりとした空気だったが、二人の選手がうなづくと今までなっていた音が止み、まるで奥原選手と佐藤選手しか居なかったような静かさ、そしてピリピリとした空気に変わっていた。


「始まる…」


誰かがそう呟くと同時に奥原選手のサーブから試合が始まった。


それからは奥原選手と佐藤選手が発するキュッキュッというシューズが体育館の床でこすれる音、ラケットでシャトルを叩くときになるパンッパンッとまるで風船が割れたような空気を切り裂く音、すごいと小さく響く観客の声。 体育館にいる人が皆、奥原選手と佐藤選手の練習を見守っていた。


奥原選手と佐藤選手の練習試合はお互いの技術を惜しみなく出された試合になっていた。


ヘアピンで相手のネットぎりぎりにシャトルを落としたり、ヘアピンと混ぜてクロスネットを使うことで相手を混乱させたりといろいろな打ち方を繰り込まれた試合になっていた。


そしてその試合は21点先取の1ゲームマッチで行われた。

試合時間は約20分という通常でも考えても長いゲームだった

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