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二羽 永峰 美穂

「結局寝ちゃってた……」


双葉はベッドから体を起こすと時計を確認した。


「14時か…… 結構寝ちゃってるな~ でも何も良い考えが浮かばなかった」


(考えても何も浮かばないし、体が戻らないのなら女の子の羽月 双葉として生活しないといけないということなんだよな。)


双葉はベッドから降りて鏡の前に立つともう一度自分の姿を確認し、寝癖を直した。


「おなか減ったな。 確かレンジの中にご飯があるんだよね。今からリビングに行くけど誰も居ないよね?」


(朝も母親だけが自分のことを見に来ただけだし、それ以外の声や音も聞こえなかったと言うことは父親は居ないか、もっと早くに出て行ったの二択。 そして今現在、家に誰も居ないことを願う)


双葉は数回深呼吸をすると、部屋のドアを開けて、下の部屋に続く階段を降り始めた。

階段は数段しかないのだがまるで何十段もの階段を降りているように見えた。


そして、階段を降りると双葉は忍び足で部屋の入り口に駆け寄り、ちらっと部屋の中を確認した。

部屋には誰も居なかった。


「ふぅ、誰もいない。 良かった」


双葉はレンジを探すとキッチンにおいてあるのを見つけた。レンジの中を見ると母親が作ったであろう野菜炒めと卵焼きと白米がラップで包まれていてその上に小さな置き手紙が置いてあった。


置き手紙には早く元気になってねと母親からの手紙だった。

双葉はその手紙を綺麗に折りたたむとポケットに入れてご飯を暖め直した。


「置き手紙なんかを用意してるところを見るととても大切に思われてることがわかる。 ほんと、なんでこんなことになったんだろうか? それにこの体の女の子は俺と入れ替わった後、どこに行ったんだろ? 可能性的には俺の体の中に入ってるのが一番可能性があるけど……」


双葉がそうつぶやいたところでチンッとレンジの甲高い音が鳴り響いた。

どうやら暖めが終わったらしい。


「まあ、考えるのはまた今度にして、まずはご飯を食べようか…」


双葉はレンジからご飯を取り出すとテーブルの上に置いてラップを取って椅子に座った。


「いただきます。」


双葉はそう言って、野菜炒めを箸で少し取ると、口の中に入れた。

野菜の甘みと少し焦げている苦みが良いアクセントになっていた。


「うん、すごくおいしい」


それから双葉は無言で淡々と食べ進めていき、15分ぐらいで食べ終わった。

双葉は流し場でお皿を片すともう一度二回に上がり、自分の部屋に入っていった。


「ご飯も食べたし、何もすることなくなったな……」


双葉がそうつぶやくとタイミング良く、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。


(お、おいおい、確かに暇になったとは自分で言ったけど、まさかこんな時間に誰か来るなんて聞いてないぞ!!)


双葉は出るべきか考えていると玄関の外から双葉と同じぐらいの女の子の声が聞こえてきた。


「双葉ちゃんいますか? 同じクラスの永峰です!!」


(永峰さん? 同じクラスってことは双葉ちゃんと同じ学校の子だよね。 さすがに来てもらったのに居留守を使うのはさすがに失礼だよね)


双葉は諦めて玄関の鍵を開けて、永峰さんの前に出た。


「あ、双葉ちゃん。体調は大丈夫? 今日は卒業式の練習だけだったから学校も早く終わったから先生からの連絡とお便りと明日の準備するものなんかを書いた紙を届けに来たよ」


「あ、ありがとう。 な、永峰さん。 い、今誰も居ないけど上がっていく?」


双葉がそう言うと永峰さんは不思議そうな顔をしていた。


「双葉ちゃん、どうしたの? いつもなら美穗ちゃんって呼ぶのに……」


(や、やばい…… さ、早速やらかしてしまった!! そうだよね。 女の子同士、しかも中学生、仲の良い子だったら親しげにしゃべるよな。早く修正しないと)


「ご、ごめん。さっき起きたばっかりで寝ぼけてたみたい……」


(どうだ? 無難な修正だけど……)


「そ、そうだったんだ。 ちょっとびっくりしちゃっただけだから大丈夫だよ。 それと今日は帰ることにするよ。 双葉ちゃんもまだ体調が良くないみたいだしね」


美穂はそう言うと、かばんの中から紙袋を取り出すと双葉に渡した。


(結構な分厚さだな。まあ卒業式も近いらしいし、たぶんそれで沢山のお便りや持って帰る物もあるからだと思う。 よく見てみると永峯さんのかばんもパンパンになってる。)


「それじゃあ、一応明日も学校だけど、無理しないでね? それと早く体調が良くなるようにおまじないしてあげる」


美穂はそう言うと、双葉をギュッと抱きしめると双葉の頭をなで始めた。


(え? え? なんで俺は永峯さんに抱きしめられてるんだ? ああ、柔らかくていい匂い…… じゃなくて‼ 女子ってこんなことするの? え?)


「うん‼ おまじないもしたから大丈夫だよ。 だからしっかり治してね」


「う、うん、ありがとう…… また学校でね?」


美穂は双葉の言葉にうなづいて返事をすると玄関のドアを開けて帰っていった。



この出会いがまさかあんな出来事につながるとはこの時の双葉は考えもしなかった。


感想や評価もよろしくお願いします。


ちなみに読者の皆さんはバドミントンやったことがありますかね?

最近では学校の授業とかでもやる、みたいな話を聞いたことがあり少し羨ましいです。


作者はちなみに5歳の時、親に連れられて行ったバドミントンの練習で親相手に打ってもらったが初でした

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