一羽 女になっていた……
「なんじゃこりゃあ~!!」
朝6時半、ようやく外は明るくなり始め、いろいろな人たちが己のするべきことの準備を始めている時間、その声は家中に鳴り響いた。
朝から奇声を上げている彼の名前は羽月 双葉
そんな彼がなぜ朝から奇声を上げているのかというと……
「俺…… 女になっとる!!」
ということらしい。 今の彼は髪が白髪で身長は150cmぴったりぐらいで胸はなんて言うか、壁、その一言だけ言っておく。 そして、全体的にスレンダーだ。
「え? え? どういうこと? なんで俺、女の子になってるんだ?」
彼?が混乱していると部屋の外から若い女性の声が聞こえてきた。
「双葉? どうしたの? 朝から叫んだりして、何かあったの?大丈夫?」
そして声の正体の女性は双葉に向かってそう言うと双葉の部屋のドアを開けると、部屋の中に入っていった。
「だ、だれ?」
「誰ってお母さんよ。 本当に大丈夫? お母さんがわかる?」
どうやら若い女性の声の正体は双葉のお母さんだった。そして、双葉が混乱していると双葉のお母さんは双葉に近づいていき、自分のおでこと双葉のおでこをくっつけた。
「う~ん、熱は無いみたいだけど、顔が真っ青よ。 今日は学校、お休みしなさい。」
「う、うん」
双葉はなんとか母に向かってそう返事を返した。すると、双葉の母は納得したのか部屋から出て行った。
「ど、どういうことだ? 今の女性がこの女の子の母親? それにこの女の子の名前は双葉っていうのか…… 偶然でもまさか同じ名前だなんてな…… さて、これからどうするべきか……」
(このまま女の子の体のままで隠し通していく? でもそれだといつかばれたときがやばいな…… それなら親にだけでも説明する? でもどう説明して良いのかわからないし、この体の持ち主である双葉ちゃんがどこに居るのかもわからない。 それでこの状態を説明なんてできないしな。 困った。 全く状況を打破できる光が見えない……)
双葉はいろいろ考えていたが何も浮かばずに諦めたようにベットから体を起こして、鏡の前に立った。
鏡に映っているのはこのまま育てば将来、美人になること間違いなしと言ってもおかしくないぐらいかわいらしい少女が困った顔で鏡を見ていた。
「これが今の自分か…… 客観的に見るとこの子はとても綺麗な顔つきで体もとてもバランスの良い体なんだろうな。」
(鏡の自分はとても困ったような顔をしている。 それに腕を動かしてみると鏡の自分もそれに合わせて動いているってことは間違いなく夢なんかでは無いんだろうな。あれ? あの横にかかっているのは学校の制服?それにその下に整頓されておいてあるカバンはもしかして……)
双葉は鏡を見ていると、自分の後ろにかかっているハンガーに学校の制服であろう服とその下に綺麗に整頓されているカバンを見つけた。 そして、双葉は少し戸惑いながらも制服を手に取って確認した。
「あれ? 名札がない…… もしかしたらこの子が行っている学校には名札が無いのか……」
双葉は制服に名札がついてないことを確認すると、仕方なくカバンを開けて中身を確認した。
(すまない…… 本当なら女子のカバンの中身を確認するなんてデリカシーのかけらもないことなんだが…… 少しでも情報が欲しいんだ。 許してな!!)
そうして双葉がカバンの中身を確認すると中に入っていたのは学校の教科書と学生証明書が入っていた。双葉は生徒証明書を手に取ると中身を確認した。
そして、双葉の目に入ってきたのは驚きの情報だった。
私立清楽女子中学校 3年2組 27番
羽月 双葉 15歳
本学学生と認める。
双葉が驚いた点はいくつかあったが一番驚いたのはこの体の持ち主である双葉ちゃんの名前だ。
(い、いくらなんでも、名字名前まで一緒とか、偶然にもほどがあるだろ!!)
しばらく、学生証明書を眺めていると階段から誰かが上がってくる音がした。それに気づいた双葉は急いでポケットの中に学生証明書を入れると急いでベットに横になり毛布をかぶった。
「双葉? ごはんできたわよ? 食べれる?」
「あ、あとで食べるから置いておいて?」
「そう? それじゃあレンジの中に入れておくから後でチンして食べるのよ? それと学校には連絡したから今日一日は安静にね。 それに卒業式も近いんだからあんまり無理しないようにね。」
「う、うん、ありがとね。 お、お母さんは仕事?」
「うん、そろそろ私も出ないと遅れちゃうからもうちょっとしたら行くよ。 念を押すようだけど安静にしとくのよ?」
「だ、だいじょうぶだよ。い、行ってらっしゃい」
それからしばらくすると母のいってくるという声に合わせてドアが閉まる音がした。
「どうやら行ったらしいね。さてと、これからどうするべきか……」
(この子…… 双葉ちゃんのお母さんによればどうやら学校の卒業式も近いらしい。 確かにカレンダーを見る限り、今日の日付が3月6日で11日に赤丸がしてある。 これは多分、卒業式の日付なんだろう。 つまり、どっちにしろ学校には行かないといけなくなるって訳だが、これもし本当に元に戻らなかったら俺が双葉ちゃんの代わりに学校に行かないといけないんだよな。)
「つまり、あんまり考える時間も無いって訳だ。」
双葉はこれからのことについてずっと考えていた。 そして時間だけが過ぎて行き、双葉は気がつくとベットの上ですやすやと寝ていた。
いかがだったでしょうか。
まだスポーツの要素は全く出てないですが
これから出す予定なので付き合ってもらえるとうれしいです。
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