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十二羽 お風呂!?

茜と美穗の言葉を聞いて、感謝の念をいただきながらも、双葉は心の中で、自分の体と自分の認識に食い違いについて考えていた。


(自分の認識と体の食い違い、これは俺と、双葉ちゃんの体で誤差が起きているってことだろう…… この問題については、俺が体を動かすときに元の体で考えていたことが理由だろう。 シャトルを打ち返せなかったのも俺が元の体ですべて考えていたからだ。 つまり、この問題を改善するには、俺が完全にこの体になれるしか、方法は無い。)


双葉が心の中でそう結論づけると、タイミング良く、美穗がノートを閉じながら、二人に話しかけた。


「さて、それぞれの課題も見えたことだし、とりあえずはこの辺で大丈夫かな? そろそろ時間も遅くなったし、まずはお風呂にしよっか。私は、お風呂を入れてくるね。」


「わかった。それなら、私と双葉で片付けてる」


 茜と美穗の二人はそれぞれ行動し始めるが、双葉は先ほど美穗が言ったことで固まっていた。そして再び動き出すと、二人に待ったをかける。


「ちょ、ちょっと待って、お、お風呂?」


「うん、お風呂」


「えっと~ お風呂はもちろんひとりずつだよね?」


 双葉がそう言うと二人はおかしなことを言われたようにポカンとして、双葉に言う。


「ふふ、双葉ちゃんったら、おかしなこと聞かないでよ~ そんなのいつも通り、みんなで入るんだよ? 私の家のお風呂が大きいことは知ってるでしょ?」


「うん、いつもみんなで入ってる。今日は入らないの?」


 二人の言葉に冷や汗を流す双葉。


(さすがにこれはまずいな、どうにか一人で入らせてもらえないか聞いてみるか。ただでさえ一人で入るのにも苦労してるのに……)


「あ、あの~ 今日は一人で一人で入りたいな~って思ってたり……」


 双葉がそう言った瞬間、美穗と茜の顔が捨てられた子猫のようになった。


「双葉ちゃん、一緒に入らないの?」


「双葉、居ないのさみしいな……」


 二人の泣きそうな顔を見て、双葉の決心は折れ、三人仲良くお風呂に入ることとなった。そして、双葉が三人で入ることを許可したときの二人の顔は笑顔、すごく笑顔だった。


「「ちょろい……」」


 そして、二人は双葉のあまりのちょろさに思わず、口に出していたが、双葉はどうこの窮地を乗り切るか必死に頭を回転させていたため、聞こえていなかった。


 そして、お風呂の準備ができ、双葉にとって地獄みたいな時間がやってくる。

 男にとってはうらや――けしからん時間だというツッコミは現在受け付けておりませんのでご了承ください。


(ああ…… 結局ここまで来てしまった。 俺は何で、中学三年、これから高校生になる女子と一緒に入っているのだろう…… これは完全に犯罪だよな~ おかしいな~ こんなはずじゃあ無かったのに……)


 それからの双葉は考えることを放棄した。


「お待たせ~ やっぱりみんなで入るお風呂はなんだかテンション上がるね。」


「美穗がテンション上がるのは双葉が居るからでしょ? いつか嫌われても知らないよ」


「双葉ちゃんが私のこと嫌うなんて絶対に無いから大丈夫だもんね。 ねぇ、双葉ちゃん?」


 美穗は双葉に聞くが、双葉は目の前に広がる男性では見ることのできなかった景色に考えることを放棄していたため、全く話を聞いて居なかった。


「あれ? 双葉ちゃんがぼけっとしてる――これは、チャンス!!」


 美穗はそう言うと、双葉の肉まんをつかんだ!!

双葉の肉まんは美穗の手に綺麗に収まる。


「おお~!! これは感動すら覚えるよ!! これはまさにジャストフィットってやつだよ!!」


「……あのさ、そんなことしてるから双葉に嫌われるって言ってるの。 ほら、双葉なんて顔真っ赤になってるよ。」


 茜の言うように、双葉の顔は真っ赤に染まっており、口がパクパクしていた。

 これは、考えることを放棄していた双葉が美穗の行為により、強制的に意識を戻したが、起こっている現実を受け入れられず、恥ずかしさなどが重なり、顔に出ているのだ。

 つまり、キャパオーバってやつだ。


そんな双葉の様子を見かねた茜は美穗の頭を強くはたいた。


「こら、あんまり双葉をいじめないの!! ほんとに、美穗のそれは昔から直らないね。」


「当たり前だよ!! 双葉ちゃんの成長を誰よりも知っているのは私なんだから!!」


 そう、永峰美穗という女は羽月双葉が関わると、変態にジョブチェンジするのである。お風呂のやりとりも双葉と一緒にお風呂に入るようになってからずっと同じやりとりをしてきた。 そのため、双葉の体の情報についてこの女が知らないことはあんまり無いのである。


「へぅ……」


双葉は言葉にならない悲鳴を上げながら意識を飛ばし、茜の方に倒れ込む。


「あれ? いつもよりも反応が大きい? いつもなら、顔真っ赤にしてむん!!って怒るはずなのに」


「馬鹿言ってないで早く手を貸してよ!!」


 美穗と茜は気絶した双葉の体を拭き、着替えさせると、美穗の部屋のベッドに寝かした。

 そして、双葉が気絶した原因の美穗に茜は激怒した。


「双葉が恥ずかしがり屋だってことは昔から変わらないでしょ!! それなのに、美穗は昔からやり過ぎなの!! 双葉のことが好きなのはわかるけど!! 限度って言う物があるでしょ!!」


「ごめんなさい……」


「今度、同じようなことがあったら、双葉に会わせないようにするから」


「……茜ちゃんだって、双葉ちゃんが好きなくせに」


「そう。私の話を聞かないなら、私が双葉をもらっていくから。 美穗は着いてこないでね。」


茜が本気でそう言っていることに美穗は気がつき、再び頭を下げた。


「ごめんなさい…… 双葉ちゃんがいないのは私が死にます。」


「ふぅ、わかったならいい。 ただ今度は本当にやるからね」


「はい…… 気をつけます」


 美穗は二度と茜を怒らせないように心の中で誓うが、美穗がこんなことで変わることは無いことを茜は知っていた。

皆さん今回の話はいかがだったでしょうか。

感想などもお待ちしているのでよろしくお願いします。


次回は来週になると思いますがよろしくお願いします

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