推敲3
続きを書いてから気付くこと。
それは、「さっきのやつにくっつけよう!」だ。
連載を書いているとき、よく思ったことでもあります。キリのいいところまで書いたと思ってその1ページに区切りをつけたくせに、そして“次の日”を書けばいいのに、綴った文は次の日に行くまでに何をしていたのかを書いてしまう。
要するに、無意識で前回までの内容には納得していない・不十分だと思っている。よく考えてからやればいいのに「次話を書いてやった!やっと書き終わった!これで投稿出来る!」という気持ちに支配され、次のことなんてそっちのけでポチッと投稿ボタンを押してしまうのだ。
最初から全部書いてしまってから投稿すればいい――でも、書き終わると投稿ボタンのなんて魅力的なこと!
また、「展開はバッチリ頭の中に入っている」そんな強気に後押しされて投稿をしてしまう。なんとなくタイトルが浮かんだ、とか、こんな主人公、あんな場面が書いてみたい、という見切り発車ではなかったのに、どんどんとその時その時の気分で徐々に物語が作者を置いて走り出してしまうのだ。
それで、あとからきっちり、びっちり細かく決めてから書けば良かったと後悔する。
けれど、それが楽しくない。
なので、私には設定を細々決め、過去の自分の意思をなぞる書き方が出来ないんだと諦めた。
だから、続きを書くと、こう(↓)なってしまう。
【仕方なく、溜め息を零し、湯に浸した。そして、堅く絞り、畳の上に寝かしたミキの身体を優しく、丹念に拭いていった。明日は、彼女に見合ったものを買いに行こう。柔らかで、色鮮やかな彼女だけのものを……
▷ミキは、次の日の朝まで目覚めることはなかった。
▷§
安東は一晩中ミキを眺めた。
暫く裸のままにしていたのだが、可愛らしいくしゃみを聞いて、慌ててシャツを着せた。
一安心してまたボロアパートの壁に寄りかかり、物音一つ立てずに膝を抱えて見つめた。
隣の部屋から聞こえるイビキがより安東の世界を引き立てる。ミキに触れていたときに感じた恍惚さは幻のようで、時折、夢を見てると錯覚させた。
だが、彼女は現実のもの――
安東は歓びを隠せず、終始不気味な笑みを浮かべた。
ミキが目覚めたのは、次の日の朝だった。
二日酔いなのか見た目から想像出来ない低い唸りを上げて、むくりと身体を起こした。
「……大丈夫か?」
こめかみを押え、俯く彼女のあまりにも苦しそうな姿に安東はずりずりと膝立ちで近付いた。
手を伸ばし、もう少しで彼女の華奢な肩に触れそうになった瞬間、バシッ――と頬に痛みが走った。
ミキは振り向き様、左手を振り抜いた。
「ちょっと、あんた誰よ!」
女神は、苛烈な女だった。】
“▷”の部分が邪魔だと気付く。