わたくしの好いたお顔が痛ましくってよ!
さぁて、主人公が貴族設定になった。その妻も何やら貴族でしかも最強そうであるが、しかし、貴族ってどんな話し方をするのだろう?……そう考えてもこの先貴族になる予定もなく、死んで生まれ変わったとしても異世界転生するはずもないので、やっぱりわからない。
けれども、【わたくし】はわたくしだろう。まさか“あたし”とは言わないだろうし、男性であっても“わたし・わたくし”だと思う。じゃあ、“ぼく”は?
ときどき、他作品を読んでいて一人称について「ん?」て引っかかることがある。上記のものではなく、主人公がいくら最強でも「俺は〜」て王様相手に話せるものなのかということだ。さらには王様が「かしこまった話し方はしないでいい」なんて気を遣うかな?て。
一応、王様じゃん。
主人公が勇者であっても、王様のほうが偉いじゃん?
王様に「俺さァ〜」なんて話し掛けられるのは、信仰している神様が出現して話し掛けてきたとかなら……でも、信仰してない神だったら邪神と思われるかもしれないけども。そこは、宗教についての設定にもよるから突っ込めないが、「よくこの主人公は斬り捨てられず、牢獄されず、生かされているものだ……」とファンタジーマジックに感心する。
もちろん、用済みになった主人公勇者に恐れを抱き、排除しようとする話もあるだろう…いや、見かけたことが幾つかある。
でも、記憶しているのは「俺は〜」だ。気安く話しかける「わたしは〜」もあったけどね。
あと、表裏の顔。
根っからのお貴族様が人前では「オホホホ〜」して、裏で「オラァ!」てなるかね?説明が下手くそで申し訳ないが、表で「わたくし」「我」「余」、裏で「俺」なんて言うかな?言うのものなのか?態度は変われど、口調は変わらないのではなかろうか。可愛こぶりっ子だったならば、「うふふ」から変わってもせいぜい「ふん」て鼻で笑うくらいじゃないだろうか?そこはお貴族様だもの、私の想像では腐ってもお貴族様である。
しかし、そうは位置づけ、設定を考えるが【わたくしの好いたお顔が痛ましくってよ!】なんて、“〜ってよ”と言うのか?それはどこでお嬢様口調として、高貴な女は使うようになったんだろう?(お嬢様言葉については書籍もあるらしい野で興味のある方はどうぞ。私は書いているくせに興味はないのでわかりません)
ちなみに、私がお嬢様言葉に触れたのはママゴトでだ。しかも、漫画で読んだママゴトシーンで主人公が友達と喋っていたのを覚え、「あら、おやめになって?」風がお嬢様、またお貴族様の位置付けになった。
――ということで、今後登場するであろうお貴族(♀)の喋り方の設定はこれに決定だ――が! 登場人物それぞれに個性的な、その人が喋っているんですよこのセリフ、の目印は必要なのか疑問に思うところだ。正直、じじいだから「儂はこの村の長じゃ」は好きじゃない。それこそ言葉で表現するものではないのか。違いを見せる、目印することは一人称の違いと性別による言葉遣いで充分だと私は思っているのだが、「そうじゃのう…」と鬼○郎の親父が出張っている小説をよく見かける。訛りならばわかるが、どのじじいも皆、じゃーじゃー垂れ過ぎじゃーないのか!じじいに偏見持ち過ぎだ!
さて、そんな風に考えると、自分が目指すところは地の文にどんな口調であるか、話し相手の容姿から想像する登場人物の心情を書かなければいけないことになる。あれ、この人奇抜な装いなのにマトモな喋り方だわ――みたいな。
そうなると【「あら、ルンったら、よだれのお世話はもう少し後ではなくて?わたくしの好いたお顔が痛ましくってよ」】は使えず、【「あら、ルン、あなたの顔が残念なことになっているわ】に変更し、さらにさらに言うならば「あら」はセリフに組み込むべきか否かと悩んでしまう。
【妻は振り向き、一瞬驚いたが、すぐさま笑みを浮かべた。
「ルン、あなたの折角の顔が残念なことになっているわよ、一体どうしたというの?」】
これで、いいのではないだろうか……
そんでもってもっと言うなら、「ん?」「え?」「うわっ!」「きゃあ!」「あ…」「……」「っ!?」――は、本当に必要なセリフだろうか。これらを書いて、どうせ次の地の文、または誰かのセリフは“驚いた”“〜と驚愕した”、「おい、どうした!」が来るんだ。これこそお決まりのテンプレ展開セリフバージョンだと思う。文字であるというよりは記号のようなものに感じ、読まずにすすーっと通り過ぎるだけのもの。それを重要だと、書くものだと私には感じられないのである。
ちょっと話がずれましたが、セリフにたいする想いでありました。だからと言って、自分が理想を築けていないのが哀しいもんだ。