作者が読者にまずお願いしたいこと
またのタイトルを…
『お察し下され力とお察し力の均衡』
そりゃあ、「私めが書いたものがどこのジャンルにおりますか?よく見てくだされ、ほれ!」だと思う。リアリティーがどうだらとか突っ込む前にジャンルが何であるかを確認して欲しいのだ。
――いや、馬鹿になどしていない。お前の目はどこについてんの?ちゃんとついてんの?ってことではなく、ファンタジーというものについての話である。ローかハイかで設定もかわるが、しかし、ハイファンタジーにどこまでのリアリティーを求めていらっしゃるのだろうか?
そして、自分はどこまで考えりゃーいいんだろう?
けれど、「ここはハイファンタジーよ、現実と一緒にしないでよ、だって作者の世界なんだから作者のさじ加減でいいでしょう」にどれだけの設定を逃していいのか――…と、悩むがローならばリアルに近くなければいけないと思うが、ハイはちょっとばっかし設定が甘くても許されるんでは……?
そんなことをウダウダ思うんですが、リアルがどうたら“普通は違う”と読者に突っ込まれるのは、安易に言葉を使い、設定している作者のせいではないかと考える。
特に貴族設定ーー
転移や転生はすでに関係なく貴族って文中に出てくると、私の頭の中では「ああ、中世ヨーロッパ風ね」と自動変換されるようになった。洋装、夜会、爵位、騎士、王様、ダンスレッスン、ナイフにフォーク、椅子とテーブル、ティータイム。ちょっと恋愛小説に偏り気味なアイテムですが、「あれ?騎士なんて…なんだか中世ヨーロッパみたい」て主人公が説明してくれるが、中世ヨーロッパの騎士ってどんな格好か知っているんですかね、と突っ込みたくなる。でも、最近読んだ作品では「あれ?映画で見たことある中世ヨーロッパの格好みたいだわ」て書いてあった。頭イイね、て思った。
でも、自分も含めて何故に異世界を中世ヨーロッパ風にしたがるのかしら?その言葉の魅力ってなんだろう?
答えは、おそらく“書くのが楽だから”だろうと思う。もう、他のサイトではどうかわからないが、なろうのファンタジーを読むにあたり、読む前から、そのジャンルを選んだときから、頭の中は否応なしに「ここはお変わりなく中世ヨーロッパだ」と暗示がかかるに違いない。それは作者も同じことで、「異世界書くなら中世ヨーロッパ、ドレス、夜会、お茶会、馬もしくは馬車にしよう」と芋づる式にそこかしこで見かけた設定が綴られていくんだ。悪気はない。でも、“中世ヨーロッパ”で物語の設定を読者に読ませている。もし、他にスパイスがあるとしたら人間ではないものが人型として共に在ることだろう。
それでも、魔族にしても獣人にしてもリュウにしても“貴族”にしばられて生きている……
貴族が悪いとは思わない。自分だって書いてるもの。ただそれは何故かと言えば、楽だから。貴族です、階位があります、洋装です、ドレスです、踊ります――と来りゃ、“中世ヨーロッパ”すら創らんでも勝手に読者が思ってくれるだろうと、私ならなる。街並みも、城も、服も、甲冑騎士も先人の先人の先人の先人の……言葉を借りて語ることを省けるのだもの、“中世ヨーロッパ”は使い回しのきく、さらにはそれに繋がる諸々の言葉・単語で作者は余計なことを説明せずに、引っかからずに、悩まず、困らず、開き直って――まで書いたら失礼だろうが、気に病むことなく執筆出来るのだと思う。
……だけど、中世ヨーロッパと諸々省くつもりはないが、“貴族”にかわるものってなんだろうか?もしくはそれに勝る高貴な身分の者達を分類出来る言葉は―――……思い浮かばない。
なので、
【妻は、私には勿体ない人間だ。強力な力を持ち、稀代の魔導師と呼ばれ、幾多の戦を勝利へと導いた戦士だった。
そんな彼女が領地も持たない貴族の端くれの私の元へ嫁いでくれたのだから、当時の私は常に夢見心地だった。
「あら、ルンったら、よだれのお世話はもう少し後ではなくて?わたくしの好いたお顔が痛ましくってよ」】
これでいいや。
ついでに、親類の呼び方でもマインドコントロールされる。
例えば、お父様、お母様、お兄様、お姉様、オバ様。“貴族”は様付けにどうしようもなく弱い。追い打ちで、執事と陛下が出てくれば尚のこと、侍女も付いて=中世ヨーロッパもとい異世界ハイファンタジーの出来上りである。
※追記
仕上げに魔法でいっちょ上がりですかね。