消えた人類
作品自体は、すでに完成しております。
拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
ガリガリと道とタイヤを削ってサイドカーつきのバイクが走る。
道路にほかに人影はない。周りにはビル郡が建ち並び、かつては大都市…とまでいかなくとも、それなりの都市であったことは間違いなさそうなのだが。
今では人の気配はなく、賑わっていた当時の人が見たのならこの光景に首をかしげただろう。ここはどこだ、と。
「んー…人、いないね、にーさん」
サイドカーに座る少女が、感慨もなさそうにポツリと呟いた。
まるで息を吐き出すかのような落ち着いたセリフは、この状況が自然なことであることを物語っている。
「そうだなー」
バイクにそれほど速さはない。燃費と、馬力を重視して、最高速度には拘らなかった。
拘りと言えば、オートマチックではなくマニュアルであることくらいか。それでも風を切って進むなか、耳ざとく声を聞いて簡潔に答える少年。
なかなかに鍛えられた体つきで、肩幅は広い。けれど生来の撫で肩で、線の細さも感じさせる不思議な体つきをしている。
服は簡素ながら、仕立ての良さを感じさせるシャツだ。実際、少年にとってその服は頑丈ながらも体の動きによく馴染んだ。
「マナ。ここらへんで休むか?」
「りょーかい!」
質問に対して逆らうことなど愚かだとでも言わんばかりに即答するマナ。
漢字では愛菜だが、人間の絶対数が少なくなった今、少年――真羅――にとって、同音の差別化としての漢字は不要だと思ったことにより、何となくカタカナ読みになっている。
「なら、寝床と…あとは消耗品を探すかな」
バイクの速度を落としながら、世間話できる程度に風の音が消して、トロトロと街を走る。
「前の町から結構経ったからねー。服も幾つかダメになっちゃったし…水とガソリンは補給できてるけど、食べ物も少なくなっているものねー」
「そうだな。ま、これだけの町だし、十分事足りるだろう。ついでにバイクの整備もしないとな!」
かつての都市からは人の気配が消えた。
探せばどこかに居るのだろう。この世界に生きる変わり種が――シンラたちがそうであるように。
ただ、人の気配は都市から消えたが、人の営みの面影は未だに残っている。つい先ほどまで居たはずだ! というほどではないが、少し遠出をしているだけかな? と疑問に思える程度には、人が暮らす上でさほどの不自由はない。
消耗品は簡単に増えることはないが、余りは十分あるだろうと、二人は都市を物色する。
「あらすじ」は後日書き直します。
一日に3度も、書いたものがPCのフリーズでお釈迦になれば、書く気がなくなりもしますよ・・・。