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トリップして魔女ってるアラサーOLの場合

正当な取引wで手に入れたコーラは美味いなぁ〜


俺の通う国立魔法学園は、実力があれば将来に向けての勉強として

ギルドでの仕事を受ける事を推奨してるから手続きさえしっかりすれば学園を出て

働いてる間の授業を免除される、その代わりテストで一定の点を取って

授業免除しても学力に問題無い事を示さなきゃなんないけど。


久し振りに戻ってきた寮の部屋を掃除して冷却と保存の魔法陣の刻まれた

俺オリジナルの魔法を利用した冷蔵庫に魔石をセットし、仕事先で入手した食材や

飲料のペットボトルやポーションの瓶諸々を収める。


「ジョン帰って来たのか!」


単身者向けアパートみたいな造りの寮、ベランダ側から顔を覗かせたのは

クラスメートで王家の騎士団長の息子 マーカス。


「帰って来たぞ〜いい加減授業出ないとヤベェだろ」


「ジョンの実力なら学園なんか辞めて冒険者に専念した方がガッポリ稼げるのに」


「だけど魔力持ちの学園就学は義務だしな、それに学園で

未来の王侯貴族や有力者と顔を繋いどくのも未来への投資だし」


手にしたペットボトルをこの世界でポピュラーな陶器の瓶に見える隠蔽魔法を掛ければ

マーカスに俺がコーラなんて未知の飲料を嗜んでるのを見咎められる事もないのだ。


「そう言えば最近、女子寮の方に妙な薬や化粧品を扱う魔女が出入りしてるらしいぜ」


「ふぅん、マーカスが女子寮の話題なんて珍しい」


親が騎士団長なんて職業だからかエリートながらマーカスは剣一筋のバリバリの脳筋だ。

その筋肉バカ一代を地で行くコイツが傷薬や湿布なんかは兎も角、女子寮に出入りする

魔女とか女共しか用の無さそうな化粧品を気にするなんて珍しいにも程がある。


「それが父さん所の隊の若いのが、行軍訓練をしに行った森で拾って来た

女らしいんだけどさ、その魔女が態々俺を探してんな事を言ってヨロシクされたんだけど」


「はぁ?」


身内の厄介事を押し付けられそうな予感しかしねぇと、マーカスはその外見と

趣味には似合わないヒラヒラピンクに艶々リボンの掛かったサシェを放り投げた。


「ジョン、どうにか出来無いか?」


手元に落ちてきたサシェからキツい香りが広がって胸焼けを起こしそう…


それでマーカスの頼みに首を縦に振った。

んじゃ早速その魔女とやらを"見て"みましょうか。



女子寮の談話室。


女子寮には生徒の身内、それも同じ女性しか足を踏み入れる事は許されていない場所に

一介の魔女、しかも得体の知れない身元不確かな平民以下の流民だろう女が

商売なんだろうけれど良く入り込めたなぁと、黒いローブ姿のお姉さんの記憶を覗く。


ふぅん…お姉さんはある日いきなり現代日本のオフィス街からコッチの森の中に

転移しちゃったんだ、そんなありえない状況でパニクってたら偶々偶然w

通り掛かった王宮騎士団のホープとか呼ばれちゃってるデイビスに一目惚れされて

保護され王都に連れてこられて、デイビス君の庇護と後ろ盾を得てはみたものの

趣味だったハーブとかアロマの知識を利用して生活の為に魔女を名乗って

美容医薬品の製造と販売を始めたと。


そりゃまぁ素敵なパトロンwに拾って貰えたとはいえ、ただ囲われてるだけじゃ

不安だろうし、お足を稼がにゃ生きていけんわな(笑)


そこまではお約束とはいえ、そうしなきゃ今日食べる物にも困るというなら

ちょっかい出す気は無いけどデイビス兄さんをロックオンですか。


騎士団の騎士なんて身元がしっかりしてて有力者に近い男と結婚すりゃ

戸籍の無い胡散臭い女でも生き易くはなるとは思うけどさ、この女…完全に計算尽くで

デイビスを落としに掛かってる。


何々、合コン荒らしとか略奪は得意?


態と化粧は最低限のナチュラルさで清純派をアピールwって

それってナチュラルに見えるように一時間掛けた特殊メイクじゃん!

アラサー28才が17才を公言するのは図々し過ぎ!サバ読む所じゃない、詐欺です。

そんな肉食超えた飢えた野獣系女子の異世界マストファッションは、黒ローブと

その下から覗く簡素な、いえいえ、シンプルは麻のワンピースw

簡素に見えるけどカットを計算し尽くして襟元の露出から腕が細く見える縫製に

裾も絶妙な長さですか…大人のお姉さん怖い( ゜д゜)

流石の俺もドン引きw学園に入り込んでマーカスに魔女手製の安眠サシェを

マーカス君にプレゼントしたのは、お父さん経由で騎士団内の好感度アップ目的(笑)

でも花の精油振り過ぎて臭いって!寝られねぇよw


「確か学園内で物品の販売って許可がいるんだろ?

いきなり現れた魔女とやらが許可を取ってるとは思えんが」


「それが副生徒会長のエルザ様の母君が

魔女の化粧品が気に入ったとかで、出入りを許されたらしいんだ」


副生徒会長は確か財務大臣の一人娘だったな、一粒種の姫だからって大臣が甘やかすから

金と権力で副生徒会長の地位を買ったって専らの噂の我が儘姫。

そんなのが魔女の後ろ盾ならそこを突いてみるか。


「マーカス、頼みがあるんだけどさ」


「何?」


「君の母君か祖母殿に魔女の化粧品を買って貰いたいんだ」


「それは構わないけれど、何か解ったのかい?」


「魔女の化粧品は"まやかし"さ、だって」


魔女の売り付けたシワ伸ばしクリームは日本から持ち込んだ痔の薬だったからw


彼女、会社帰りにサングラスにマスクしてドラックストアに寄って

痔の薬を買ってそのままトリップ!魔女、痔だったのか…可哀想に。


そういや10年も前にボ◯ギノールを顔に塗ると小顔になれたり

目元の弛みやほうれい線を消すのにイイとモデルがやってるって噂から火が付いて

ハリウッドセレブもやってる!って怪しい煽り文句で喧伝されてたな。

だけど僅かに含まれるステロイドの副作用で長期の常用で肌に変なシミが出来ると

医者やメーカーが警告出してあっと言う間に廃れた美容法だけど。


「それを王立魔術研究所の薬学科に提出したら面白い事になるから」


「そう、ジョンが言うなら」


マーカスはニヤリと嘲笑うとベランダから引っ込んだのは、実家の母へ

手紙を書く為に羽根ペンを取るからだろう、後は勝手に自滅するのを待てばいい。


それから10ヶ月後、王立魔術研究所薬学科室長が王都にいきなり表れた魔女の売る

"若返りのクリーム"を長期に渡って使用すると肌にシミや爛れ、色素沈着や

黒ずみを起こす危険な薬だと警告を発した為に、件の魔女は怪しげな薬を製造売買した

罪に問われ逮捕された。


後ろ盾の財務大臣の奥方様も副作用のある危険なクリームを売り付けられたと

大層お怒りで助ける事は無く、魔女はこの国から放逐されたと風の噂で聞いたのだった。

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