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元奴隷のパーティメンバーエルフの場合

ギルドの待合で見るとは無しに

依頼掲示板を眺めていれば、


「あ!久し振りです」


「ひっさしぶり〜」


キラキラしい雰囲気な爽やかイケメンが

俺に向かって頭を下げる。


コイツは俺の友人で

隣国 タルミアン帝国によって地球から

召喚された元 勇者だったんだけど、

帝国の洗脳に近い刷り込みにもめげす

ぶっちゃければ対魔王用戦闘奴隷だって、

自分の立たされてる立場に気付いて

ウチに保護を求めて亡命してきた

今は冒険者してる浜崎 健一君。


此方風に呼ぶならケンイチ ハマサキ、

帝国はケンイチ君を

名前の力で縛ろうとしたらしいが

ケンイチ君は肝心な所で残念というか…

幸運に恵まれてるんだか謎なんだけど、

自分の名字をハマサキじゃ無くて

ハマザキと発音して自己紹介してたから

助かったと言っていたな。


自分の名字を間違えるとかw

ご先祖様に土下座しろ!とツッコんだが、

明治の御一新の際に適当に付けた名字だから

ご先祖様も怒って無いよ〜(^-^)と

ムカつく笑顔で嘯きやがった。


で、ウチに亡命して来たんだけど

ウチとしても魔王を倒されちゃ困るから

ケンイチ君の亡命は大歓迎♪

我が国の戸籍を用意して

ギルドに登録して貰ったんだ。


魔王だって魔界に君臨してるだけで

ウチに侵攻して来る訳で無し、

ウチの国民を魔獣が襲わないように

管理してくれたりとか

魔界で採取される素材を売ってくれる

大事な同盟相手なんだよ。


そんな感じでケンイチ君とは知り合った、

んで友達になった理由が…


『面白いモノ見れますよ』


小声で囁く日本語。


「ちょっとケンイチ!」


久し振りに日本語を聴いたなぁと

感慨に耽りながらも、

俺の趣味を理解してるケンイチ君の

意味深な眼差しの先には一人のエルフが

腰に手を当てて大声で叫んでる。


『あの娘?』


『そ』


目も合わせず会話を終了すると同時に

勝ち気なエルフが

ズカズカと俺達の間に割って入る、


「私を置いて何処行ってたのよ!?」


「仕事の打ち合わせに出てたんだよ、

この人が俺のお得意様のジョン ドゥさん、

判ったら失礼な真似するなよ」


思いっきり俺をケンイチ君から

引き剥がそうとする勝ち気エルフ娘は、

俺の姿を無遠慮に眺め回すと

俺がケンイチ君の商売相手で

男だと知って一転、

急に愛想良く挨拶をする。


「初めまして、

私はケンイチのパーティの仲間で

エルフのミリィです」


ウワァあからさま〜(笑)


どうしてまたケンイチ君は

こんな裏表激しい女を

パーティメンバーに迎えちゃったかなぁ?


「で、ケンイチに何を依頼したのかしら」


「ん〜彼には色々と頼み事をするからね」


こりゃ何でも知りたがる

束縛系ヒロインかぁ、

ケンイチ…俺の為に無理しやがって(笑)


「じゃあ、今回も楽しませて貰うよ」


「了解した」


ケンイチ君は

俺の趣味の"見る"事を了承してくれたんで、

ギルドのカウンターにケンイチ君パーティを

俺の護衛として雇う契約を申し込む。


こうしてケンイチ君とミリィを連れて

魔界へと出張したんだったけどさ、

このエルフ娘の記憶を読めば正にテンプレw


騙されて奴隷に落とされて

世にも珍しいエルフの

奴隷だという触れ込みで、

オークションに掛けられてた所を

ケンイチ君に買われて救われたと思ってる。


お優しいイケメンwのケンイチ様は

垢まみれの汚らしいボロを纏ったミリィを

綺麗に洗ってやり、

奴隷には勿体無い上等な服を与えて

これまた奴隷には贅沢過ぎる

三度三度の温かな食事と

フカフカな寝床を与えられて

それは大切にされたんだって(笑)


何時しかミリィは冒険稼業の中で

優しくてカッコ良くて稼ぎの良い

逞しいケンイチに惹かれていった、

そして隷属の首輪を外して貰って

自由すら与えられた頃には、

奴隷と戸籍に登録された自由民とでは

結婚出来ないこの国の

法律の存在を意識してたみたい。


あ〜あ、ケンイチ君ったら

俺の趣味の為に

そこまで仕込んでくれたのね。


感謝感激雨霰☆


魔の森を抜け、

魔獣がウロウロする荒涼とした

魔界の平原を歩いて行くとミリィは

俺の事を

ケンイチ君とミリィを危険な魔界に

依頼で引きずり込んだと敵認定したのか

ツンケンした態度で当たり散らす。


冒険者に護衛依頼したんだから

危険は折り込み済みでしょうが…

パーティを組んでる割に

冒険者稼業の覚悟の出来てない

馬鹿娘だなぁw

だから騙されて奴隷なんかに

売り飛ばされたのか☆納得納得!


でも、俺も仕事で魔界に来てんだよね〜

魔王だってビジネスの相手に対して

危険な目に合わせて取引条件を不利にする

ヘマする訳無いじゃん。


「あっグールの群れよ!

"聖なる光よ、ホーリーライト"」


あ、馬鹿っ

魔物だからって確かめもせずに攻撃すんな、

そっちは俺等を迎えに来た魔王の部下だよ!

ミリィの攻撃にケンイチ君が

遮る様にグール一行の前に飛び出して庇う、


「ケンイチ!?」


…って、ベッタベタな筋書きだな。


「お久しぶりですグールさん達、

突然の事で私も驚きましたけれど

護衛のケンイチが!」


「傷が深い、

此処では満足な治療もままなりません

早く城へ運びましょう」


と、俺の趣味を知る

グールさん達もノリノリで

怪我をしたケンイチ君wの

幻影で見せてる流血を指摘して

ケンイチ君を抱えると魔王城へ向かう、

加害者ミリィは丸無視だけど

何故か当たり前顔で付いてくる。


今のミリィが何を考えてんのか読めば

加害者の癖して、

ケンイチ君が心配wだってよ(笑)

パーティとして仕事するなら

受けた依頼内容位確認しとけよ、

きっと目を覚ましたケンイチ君なら

グールの姿に敵だと勘違いして

ケンイチ君を守る為に攻撃しちゃったからと

謝れば許して貰えるって

自信たっぷりに思い込んでる所が怖いよ。


ま、ケンイチ君が許しても依頼主の俺が

取引先の部下さんを何の根拠も無く

攻撃した護衛を許す訳無いじゃんw

しかも護衛依頼失敗所か、

護衛対象である俺の客を攻撃(笑)


これからミリィはギルドでどう

処分されるのか、

ケンイチ君のパーティに

ペナルティ課せられる真似した

張本人が居座るのか見ものだねぇ。


あんな性格だから

ケンイチ君も色々と我慢してただろうけど、

俺に提供する気になったって事は

我慢の限界超えちゃったんだな。


あ〜あ、見捨てられちゃった♪

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