ざまぁ返しのその後の場合
キリアラナ王国も大変だな、次代がバカで。
半魚人×豚の申し子というか愛子に魅了されて、同盟関係の為の鎹として結ばれた婚約者の
一国の王女に対して悪役だのアバズレだの喚いて好き勝手に侮辱して、無力な姫一人を
多数の男子で囲んで断罪と称した恫喝を行おうとしたとかで、王女側のハイラント王国がキレた。
二国間の同盟にヒビが入りゃ周りの国々が漁夫の利とばかりに牙を剥き兼ねない情勢に
キリアラナ王家は王太子の廃嫡を決定、側近候補の取り巻き連中もハイラント王家の姫に対する
不敬により其々の家から廃嫡勘当放逐の沙汰が下ったと聞いてる。
「ふぅん妥当な落とし所ってやつ?
バカ息子の責任だって養育係の首の一つも送り付けて来るかと思ったけど」
「学園内の火遊び、キリアラナじゃどうか知らないがウチには知られてないからね。
当人達を放逐して後継ぎをすげ替えて内々に終わらせときたいんだろ?
それで第二王子が立太子の儀式を受ける前にエミリアナを嫁に寄越せなんて図々しい事言ってるけど」
「よくそんな事言って来れたな、バカなの?それともハイラントをバカにしたい訳?」
「さぁなぁ、女子供の娯楽小説そのままの婚約破棄が罷り通ると思ってるオツムが絵本止まりの
図体しか育てられ無かった無能の血統なだけあってバカなんだろ?王家のプライドも
青い血の誇りも理解しちゃいない連中なんだから恥を恥と感じていないかもしれないぞ」
妹をコケにされて大層お怒りのハイラント王国の王太子様も、思わず口調が乱れたものになってます。
「何とか"出来"ないか?」
ドゥーデンヘッファー大公家の当主としてなら動けるけど、John Douの立場と力は貸さないよ。
ハイラント王国建国時に俺は初代とそう契約した、ココはあくまで俺の玩具箱。
遊べる立場と理由欲しさに国を造ったけど造った国に利用されるのは好きじゃない、見るのは好きだし
自業自得で転落してくヤツ等の足掻く様が面白いし、気楽に過ごしたいんだ。
お兄チャンとしては良い人だったけど、ハイラント王国の次代を任せられないなぁ〜
立太子の儀式にはその約定が伝えられてる筈、王様が約束を守れないって致命的でしょ。
過去にも野心や、兄さんみたいに情に流されてくれないかなぁなんて甘えで
俺を利用しようとした王族は結構いたけどね。
ナァナァで流されてくんないかなって甘ったれた考えって為政者には向いてないと思うよ?
最低限国民に迷惑をかけないようそういうのは王には相応しくないからサヨナラだ。
「それは契約違反だよ」
何時ものように見て欲しいと匂わせては叶ってたように、俺に言や何でもやるとでも?
ドゥーデンヘッファー大公家がハイラント王家に時折生まれる異能の子を王家から外に出さない為の
臣籍降下の地位とでも思ってるのだろう、その思い上がりに笑いが堪えられねぇよw
分を弁えない、超えてはならない一線を超えたおバカさんは…エイッ☆っとね。
トンと指でテーブルを弾く。
「長兄殿下、お帰りでございますか」
「そうだな、王太女殿下も大公の心尽くしを喜ばれるだろう」
今までの親しさの消えた儀礼的な応対は、お兄チャンの記憶から今までの俺を抜き取って
俺を単なる王の妾腹の弟、王女エミリアナが次期女王として王太女に立てられたと改変♪
世界の齟齬が少しずつこの流れに修正されてくだろう。
本来長子継承のハイラント王国次期国王となるのはお兄チャンだったんだけど
絶対的欠格事由があると公表されてて最初から王位継承権が無い扱いで、
王宮の西宮で隠棲生活を送ってるって設定。
絶対的欠格事由ってのが俺をアテににしない事、異能を政治利用するべからずと契約したからね。
公表されてるのは継承権が無いって事だけ、それでも一応王族だけど扱いはメッチャ軽い。
お兄チャンと結び付くメリットも極薄で娘を妃にって勧める貴族もほぼ皆無、穀潰しの引き取り先を
父王が方々に当たって探してるってのを知ってるからお兄チャンも以前のような悪意と諧謔を混ぜた
胡散臭い笑顔も嘘のように消えて小さくなっている。
俺って大公に封ぜられたけど継承権はあるからね、お兄チャンより立場は微妙に上な訳ですよ。
ちょっと寂しくなるけど(笑)思い上がったマヌケを戴いて国を混乱させるよりマシだよね☆




