兄の悪趣味なペットの場合
先日の実習のゴタゴタで俺と兄さんの関係に気付いた奴がいた。
「ジョン」
代々騎士を輩出しているフレイア家の娘で自身も女騎士志望のレミリア嬢からの呼び出し。
「何か用?」
判ってて一応聞いてみますw
「お前は何者だ!?」
何時もなら王太子殿下も俺との関係を隠す為に学園では同じクラスだけど一切の接触を絶っているが…
先日の実習でのやり取りにレミリアたんは俺が王太子と繋がりがあると勘付いちゃったんだろうな。
「で、アンタはそれを知ってどうするつもり?」
俺が誰であるか、敢えて公表していない事を気づいても知らぬ振りをする程度の貴族間での
暗黙の了解もなにも弁えも無いだなんて、王太子の命で密かに動く"影"や"耳目"って役の
人間だったらとは思い至らない所が側近とは認識されない単なるペット止まりなんだよなぁ~
「そ、それは…」
何にも考えずに突撃した訳か、だから騎士は脳筋の集まりだってテンプレが浸透して馬鹿にされんだよ。
「マァいいや、気付いたんなら教えとく。
俺って一応ドゥーデンヘッファー大公家の跡取りって立ち位置にいる訳」
「ドゥーデンヘッファー大公だと!?貴様が王家に連なる者だとでもいうのか」
それがどういう意味を持つのか仮にも騎士の家の娘だけに頭が筋肉でも流石に気付いたんだろうね。
大公の称号は王族が臣籍へ降って別家を立てた者のものだから、更に言えば
ドゥーデンヘッファー家は実を言えば俺の為の家だしw
王家の秘密、と言っちゃえば大層な事情に聞こえるんだけどあらゆるものを"見"ようとする俺が
偶に王家の血族として産まれ落ちる場合があったんでっていうか、そう設定してるんでw
そん時にゃ俺を"神眼持ちの王子"ってこっ恥ずかしい名称で聖別しちゃう訳だ。
何だよその転生テンプレート丸出しな名称!と、呼ばれ始めた時は笑い転げたモンだ。
まぁ俺も1つ位はお約束を踏襲しておくか、と有難ぁく承諾したもんだけれど。
んなもんで俺は王家の次男、普通なら王位継承権第二位を持つ王子サマ(笑)なんだけど
聖別されちゃってるんで継承権は無い、そして見る力は利用の仕方では
王家に途轍も無い利益をもたらす事から代々聖別された王子の存在は秘匿される。
その王家に稀に生まれる王子の力と存在を知らされているのは極一部の重臣とか大司教位か?
ってか、"見るだけ"な訳じゃ無いだけどな〜"渡る"事も"飛ぶ"事も"弄る"事も出来るけど
干渉されたり利用されたりその他諸々、都合良く使われんのが嫌なんで黙ってる。
つまりはレミリア程度に知らせる謂れは全然無い、もし真実を教えるとしたら
ドゥーデンヘッファー家へ嫁ぐとか特別の理由があればだが…無いな(。-_-。)
俺のタイプでも無いしこんな考え無しの小娘を奥さんになんて冗談じゃない(笑)
「将来の大公なら相応の待遇を何故受けない!?今までクラスの皆を騙してたのか!」
「だから〜それを伏せてんのは王家とドゥーデンヘッファー家と教会との
取り決めなんだって、騙したとか人聞きわるいなぁ」
流石に振り上げる事は無いが握り締めた拳がブルブル震えてるレミリア嬢。
「理由は言えんけど黙ってて」
内証ね、と人差し指を立ててシィとやって見せて口止め。
レミリア嬢も王家と教会との秘事と聞かされちゃ黙るしかないと頷くしかなかった。




