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優雅 その参

第3話です。今日のお昼は焼き肉定食を食べました(笑)

俺が焼いた肉を小皿に取るとまっつんが頼んだハラミ・カルビ定食が運ばれてきた。


「うお、結構量あるじゃん!」まっつんが並べられたおぼんの上の皿を見て歓声をあげた。


ハラミとカルビの厚切り肉が5枚ずつ、サラダとキムチとナムル、そしてサラダとご飯がついてきて1000円ポッキリだ。

俺はなぜか悔しくなり、「ラム肉と、ご飯大盛りで」と店員に追加オーダーした。ユッケを食べている大和が「条一郎も...ランチメニューにすればよかったんじゃない...?」と小声で言う。うるせぇな。まさにその通りだ。でも俺は贅沢に焼肉をするためにここに来ているのだ。俺は焼いたタン塩にレモンを絞るとそれを箸でつまみ、口に運んだ。酸味と肉のうまみが口の中に染み渡る。


うめぇ。次にハラミを焼くと今度は甘辛のタレが濃厚な肉の食感に絡まり、噛めば噛むほどうまみが染み出してくる。俺は急いでご飯を口へかき込んだ。「条一郎、もう少しゆっくり食べたほうがいいよ」器官に米がつまり、胸を叩く俺にまっつんが言う。ユッケを食い終わった大和が「ここに来て良かったね...ユッケもあったし...」と言い口に水を運んだ。その後も俺は思いつくままに肉をオーダーし、焼いて腹の中に押し込んだ。みるみるうちに皿が積み重ねられていく。「ちょっと、本当に大丈夫?」「あんまり腹一杯食わないほうがいいよ...」


そんなことを言いながら2人は俺が食い終わるまでガムを噛みながら待っていた。もう限界だ。この辺にしておこう。待ちくたびれたまっつんが「お会計お願いします」と店員に伝票を手渡す。「潮騒町行きのバスが近い時間にあるんだ。それに乗って帰ろう」まっつんの提案に大和もうなづいた。俺は重くなった腹をさすり会計を済ませた。俺が食った金額は5620円。ディスプレイに表示される数字を見て2人が驚く。その後俺達は急ぎ足でバスに乗り込み潮騒町へ帰宅の路についた。食いすぎたせいで少し気持ちが悪くなってきた。


俺は窓際の席に座り外の風景を眺めた。まっつんが「まだ2時過ぎだよ。このまま解散すんのはもったいないな」と時計を見て言う。


携帯の鳴った大和が「あ、サイト、法事が終わったって。3時くらいから遊べるってメールが着たけどどうする?」と俺達に聞く。


俺がサイフをのぞくとまだ金に余裕がある。「せっかくだから遊ぼうよ。僕達だけ焼肉食いに行ったっていうのも気まずいし」まっつんの言い分で俺達はサイトと待ち合わせをした地元のデパートに来た。


5階のゲームセンターに訪れると赤いパーカーを来たサイトがこっちこっち、と手を招く。ベンチに座るとまっつんが口を開く。「今日3人で函館に行って焼肉を食べてきたんだ」


「知ってる。いいよな〜富裕層は!俺なんか今日の昼飯、法事でもらったもち大福一個だぜ」


それを聞いてみんなが笑う。「何か食べなくて大丈夫?」「いや、それより今日さ、」サイトが親指を上に突き上げる。


「ここの屋上にあるボーリング場いかない?俺、最近ボーリングブームが来てるんだ。今日は100、越えるかもしれねぇ」

「ボーリングのスコアで100って...普通じゃん...」大和がフフっと微笑む。「じゃあお前は何点出るんだよ」「えーと...180ぐらい」


俺達がおお〜と歓声をあげる。サイトが悔しそうに大和をつつく。


「言ったな、お前。俺に負けたら焼肉おごれよ」「いいよ...俺が勝ったら昆布アイスおごって...」


2人がそんな言い争いをしていると後ろから「よぉ!」と気丈な声がする。俺達が振り返ると神崎智紀が買い物袋を提げて立っていた。


「おー、ともちゃんじゃん!これで美術部1年、全員揃ったな!」サイトが嬉しそうに声をあげる。「あれ?今日用事があるっていってなかったっけ?」


まっつんの問いかけに神崎が答える。


「今日おやじとおふくろが同時に風邪でダウンしちまってよー。兄弟の面倒みなくちゃいけなかったわけ」

「そっか、せっかくのいい天気なのに残念だったね」


まっつんが同情すると神崎がくんくん、と鼻を動かした。そして笑いながら言った。


「おまえら3人、焼肉臭いよ。祝日に3人で焼肉食べに行く高校生がどこにいんだよ。とりあえず、ほれ、これ舐めとけ」


俺達が神崎からもらったアメを舐めているとサイトが「ともちゃん、いまからボーリング行かない?」と聞いた。「ボーリング?!」


神崎がすっとんきょうな声を出す。「焼肉に、ボーリング。お前たちどんだけ豪遊するんだよ」「いや違うんだ」俺が耐え切れず言った。


「今日は俺が金があるからみんなを誘って遊ぼうって呼びかけたんだ」神崎がほう、というような声をあげる。「じゃあボーリング代おごってよ」


言われると思った。俺はサイフの中身を確認すると「シューズ代だけなら」と答えた。「よし、じゃあやる」神崎が答えると俺達5人は屋上のボーリング場へ向かった。祝日の昼間ということもあり、家族連れで来ている客が多い。腕にカッコイイグローブをはめたおばさんがダイナミックなフォームでボールを投げる。ボールがピンの前で内側に曲がり大きな音と共にピンが弾け飛ぶ。ディスプレイに大きく「Strike!」

の文字が出るとサイトが「あのおばさん、毎日いるんだよ」と指をさして言う。「ああいう一見普通の見た目でもひとつぐらい長所があるんだな」


サイトの話を聞いて神崎は「まっつんももしかしたらボーリングくらいはうまいかも知れないな」と冷やかす。「どういう事だよ」とまっつんが言い返す。


俺はみんなに靴のサイズを聞き、それを店員に伝えた。「プレイ回数は何回にされますか?」おそらく何ゲームやるかということだろう。


「とりあえず1ゲームで」俺がそう言うと店員が色つきの紙を手渡してきた。それを見て俺は頭にアイデアが浮かび思わずにやけた。


とうとう本編の主人公サイトが出てきました。サイトって誰?って方は「SeasideArtClub」本編を読むか、ブログをのぞいて見てください。^^

焼き肉の次はボウリング。条一郎の一日はいったいどうなってしまうのか?

次回で最終回です。ご期待ください。

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