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優雅 その弐

言い遅れましたがブログもやっています。作者情報のページからいけるのでそっちの方もぜひ読んでみてください^^それでは、第2話、スタートです。

11時15分頃、俺が待ち合わせ場所のバス亭に着くとまっつんこと松野良風と大和健がヒマそうに海を見つめながら立っていた。


俺がおう、と声をかけると二人が振り返る。「条一郎」大和が小さく呟く。まっつんが声をあげた。


「あれ?サイトと神崎は来ないの?」

「ああ、あの2人は用事があるから来れないって言ってた。今日は3人だけで楽しむか」

「せっかくの休日なのに男3人って。なんだか悲しくなってくるね」


まっつんが嘆くと大和がなぐさめた。


「いまから焼肉食べに行くんだから...男同士の方がいいよ」


言葉を続けようとした大和の呼吸を遮り、大きなエンジン音と共にバスが到着した。俺達は料金を支払い、一番後ろの席を陣取った。


バスが動き出すと風景が一気に後ろに流れていく。窓を少し開けると大和が言った。


「でも...このメンバーで遊ぶのは初めてだから...少し楽しみ」


まっつんがそういえばそうだね。と景色を眺めながら俺をはさんでつぶやいた。バスが揺れるとまっつんが俺にぼんやりとした口調で言う。


「でもさぁ、なんで急に焼肉食べたいなんて思い立ったわけ?僕、昨日も焼肉食ったんだけど」


大和が間が悪いねとまっつんを冷やかす。俺はサイフを取り出してそいつをぽん、と叩くと二人に事情を説明した。


「こないだ親戚のおじさんから小遣いをもらってね。そいつを派手に一日で使っちまおうと思い立ったわけなんだ」


それを聞いてまっつんがおおーと声を漏らす。「へぇ、じゃあ今日は...条一郎のおごりだね...」大和が笑うと「ごちそうさまです!」と


まっつんが頭を下げる。おいおい。おごるだなんて一言も言ってねぇ。そんなやりとりをしている間にバスは函館市内に到着した。



函館駅の前のバス亭で降りると一気に鼻腔を磯の臭いが突き抜けた。海沿いの潮騒町より函館市内の方が磯臭いのはなんだか変な感じだ。


まっつんが手で日差しを遮りながら「うわー、函館に来るの、ひさしぶり」と小走りしながら微笑む。俺は携帯の地図機能を使って目的の焼肉屋の場所を探し出した。ここから歩いて5分だ。俺達は地図がナビする方へ歩を進めた。歩きながらまっつんが言う。


「知ってた?詠進先輩の家ってパスタ屋なんだって」

「えっ、そうなんだ...こんど言ってみようよ」

「ねぇ、条一郎。僕昨日焼肉食べたからなんかサッパリしたものが食いたいんだけど」

「ダメだ。今日は焼肉を食う。計画に変更は無い」


そんな会話をしていると焼肉や安寿園が見えてきた。俺がドアを開けると店員が「いらっしゃい!何名様ですか?」と出迎える。俺がちいさく3名です、と答えると店の真ん中あたりのテーブル席に招待された。「壁際が良かったな」とまっつんがぼやく。


俺達は掘り式のテーブルの座席に座るとメニューを取り何を頼むか決め始めた。「あ、ユッケがある...」大和がつぶやくと

「今の時期、食中毒になるからやめなよ」とまっつんが言い返す。聞き捨てなら無い、とばかりに店員がテーブルに水を置きながら言う。


「当店の牛肉はすべて国内産を使っております。ですから当店のお肉は安全、安心してお召し上がることができます」

店員さんの話を聞いて俺はご苦労さまですとばかりに頭を下げた。俺達みたいな若者に自慢のラインナップを舐められてはたまらないだろう。


まっつんがランチメニューのハラミ・カルビ定食を頼み、大和がユッケを注文した。まっつんがおい、と止めようとするが店員が「ありがとうございます!」と大きな声を出す。やれやれ。俺は何を頼もうかな。俺は2人と違い、予算に余裕がある。その上、朝から何も食べていないので腹が空きまくっていた。俺はとりあえずカルビ、ハラミ、タン塩を単品で注文するとまっつんが「おお〜リッチだねぇ〜」と仰け反った。


店員が俺達の注文を復唱すると厨房に大声でオーダーを出した。大和がフフっと笑い「ユッケ、楽しみ...」と言いながらテーブルをピアノのように指で叩く。「昨日の食中毒のニュース、見なかったのかよ」まっつんが大和の様子を見て言う。大和はどこか世間と逆走しているような、

ロックンローラーのように危険な一面があった。まぁ、ここでユッケを食ったからと言って死ぬ可能性はほとんどないだろうけどな。


俺達が肉を待っているとなにやら向かいの席が騒がしい。母親が子供にやめなさい、と注意をしている。ちらっと見てみると子供がメニューの「LUNCH MENU」のLの字を備え付けのボールペンで黒く塗りつぶそうとしている。それを見てまっつんが「あの子供、将来大物になるね」

大和が「今からメシ食おうとしてるのに...やめてくれよ...」と気づかれない様小声で言う。親もなんだか本気で止める気はなさそうだ。


平和だな、北海道。そんなことを考えていると俺の頼んだ肉と大和のユッケがテーブルに運ばれた。俺が箸で肉を焼こうとするとまっつんが

「ちょっと、まったー!」と制止してきた。なんだよ。腹減ってんだよ。まっつんがトングを掴んで俺に手渡す。食中毒を避けるためにこれで焼け、と言うのだ。「心配し過ぎだよ...じゃ、俺は先に食べさせてもらうから...」そう言うと大和は肉の上の卵をかき混ぜた。

まっつんが「あーあ、知らないからな」と宙を仰ぐ。何をそんなに恐れているのやら。俺はトングを使ってタン塩を焼き始めた。


焼き肉回です。これからどういう風に話が展開していくのか作者自身も楽しみです。

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