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2ー1

二章始まります。

ヒロイン登場……?

第二章


        ー1ー



「らっしゃいらっしゃーい! いま話題のピザだよ! うまいよ!」

「よう! 兄ちゃんは相変わらず顔がこええな、チキンのやつひとつくれ」

「いつも一言多いよ! まいどあり!」

「こっちはベーコンの頼む」

「俺は魚介類の!」

「はいはい順番なー」

 うん、今日も順調に売れている。




 俺、スタンレイ・フォーサイス二十二歳、リリサイド修学院院長です。

 今? パン屋の店先でピザ売ってます。

 どうしてこうなった。




 新しい食べ物なので周知が必要、と副教会長が言い出した。

 せっかくレシピ登録したのに売れないなんてあり得ません、と。無理させすぎたかお疲れの様子だった。宰相時代を思い出しましたと零していた。宰相職はやはりブラックなんだな。



 店主が高齢で閉業中のパン屋を借り、俺の空き時間でピザ売り始めた。ついでに惣菜パンも作った。コロッケやメンチカツを挟んで千切りキァベツ、テマタマソース、手製マヨネーズ。テマタマソースは改良を加えた。

 副教会長がまたトーロクトーロクと目を三角にした。ありがとうございます。ご迷惑をおかけし申し訳ありません!

 今ウスターソースと醤油を研究中なので完成の節はよろしくお願いします。




 空腹で熱々ピザの匂いに勝てるか? 否!店は繁盛した。俺は異世界をピザで制圧……じゃないだろ。

 忙しくて本業に影響が! と騒いでたら手伝いに来てた少年たちが引き継いでくれるらしい。孤児院から独立する年頃の子らだ。

 自立できるように頑張ってもらおう。

 とりあえず良かった。俺の異世界ライフがピザ布教で終わるかと思ったぜ。

 さて今日のおやつはアップルカスタードピザにするか。




「編集長、増刷依頼が来ています」

 ディーは俺の呼び方を編集長に定めた。不定期刊行マンガを試しに色々なところに置けば、徐々に人気が広まってきたのだ。

 最初だけは無料だ。異世界をマンガで制覇する!! ───じゃなかったわ。



 俺は教師をやり始めたんだけどな? あっ、ほぼ俺の責任だった……。



 授業も無論やってる。剣術に夢中なマディ改めアデルは打倒俺を目指して修行している。大魔術師になるんじゃないの? 筋はいいし別にいいけど。

 リンは料理の才能があるので調理実習ではアシスタントを務めてるしキースはマンガ練習中だ。シンプルで繊細な絵柄で、青年向けコミックに載っている女性作家の作品を連想する。

 ハリーは変わらず食いしん坊。あれだけ食って運動も別に好きじゃないのに太らない不思議。

 ギルも体を鍛えることに積極的になってきたが相変わらず話さない。時折出るルーがギルの心情を教えてくれる事もある。

 医療知識もない俺は、ルーをどうこうできないしする気もない。

 ジョーイは……、奴は謎。とにかく何でもできる、絵は画伯だが。ディーも万能だが剣に関しては普通だ。

 剣術や体術は本気を出してないのに強い。真剣にやれば俺が勝てるかどうかだろう。

 ファイルに修学院入院理由がないうちのひとり。

 空腹で動けず道端に座り込んでいたところ、食堂の主人に紹介され院に来た。行くところもないらしいので預かってくれないかと主人が神官に頼んだという。飯も食わせてくれたいい人だ。



「明々後日から野外実習だ」

「編集長、原稿が」

「ディー、あれは不定期なんだから急ぐ必要はないぞ」

 不定期なのに原稿に追われるのはおかしな話だ。キミは作家なんだから原稿催促する編集さんまで兼任しなくていいよ。

「あなたの教えの『クリフハンガー』技法のせいですね。私の前後編構成の話が、主役パーティーが閉鎖空間で水責めの上に水棲魔獣の迫る絶対絶命、ヒロインが破落戸に襲われ貞操の危機で終わらせたので読者がうるさいのです。あなたのマンガも敵国潜入中の主人公が正体バレか!? で終わってるでしょう。このファンレター? でしたっけ、と言う名の催促状の山をご覧ください」

〝はやくかけ〟

 何故一番上にハリーのメモが。

「……〆切はない、ないったらない」

 たしかにディーのは気になるが、読者都合に合わせるときりが無い。

 


 俺が楽しみなんだよ野外キャンプ。そりゃ魔物も野盗もいる世界だが、比較的安全な場所でやる。いざって時はディーに結界頼んで俺がヒャッハーする。



「そうそう、午後から魔術の臨時講師が来ます」



 元王兄殿下、現公爵もとい教会長が宣った。

「いきなりですね。魔術師?」

「制御に優れる者ですよ」



 魔術師か……。アデルに制御を教えられるのはいいが、危なくないか? 怪しい奴でない保証はあるんだろうか。

 こんなに突然というのは、俺みたいに拉致られて来るのか。



「教会長が受け入れるという事は、身元は確かでしょうが……、うちの生徒に危害を加える可能性は?」

「その点は心配ない。私の甥なのです」

「甥、、魔術師、、っ、まさか!」

 アイツかあああ!!?




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