第8話 トラジ(桔梗)湖水競艇場編 その1
この日のソヨンの行動 自宅前でスタッフ2人と合流 地下鉄を乗り継いで清涼里駅=ITX青春号=春川駅
せっかく368000系368409の2階座席が確保できたのに、ソヨンはほとんど寝てたし。
春川駅でバスと合流、近くで昼食。
トラジ競艇場に移動。舟券購入体験など。翌日も取材があり、競艇場の近くに宿泊する予定。
韓国でも数カ所で競艇が行われている。ソヨンたちはその1つ、
韓国最初の競艇場、トラジ(桔梗)湖水競艇場
人工的な水面(ダム湖の一部)、淡水、静水面
に取材や新作映画の宣伝のためロケバスで向かっている。
運転手を含む13人中4人がキム姓。イ、パク、チュェ姓が各2人。
他の3人は1人ずつ姓が異なる。韓国人の5人に1人はキムさんとされるが、
競艇場周辺の地域は特に多く、3割を超える。
かつては住民のほぼ全員がキム姓の村、通称・金氏面(直訳:キムさんの村)
が存在したが、現在はダム湖の底に沈む。
集団移転ではなく、親族のところなど各地に移住したため、
今は「住民のほぼ全員がキムさん」の町や村は存在しない。
当日はキム エバラ道知事杯争奪戦の予選が開催中だった。
「テレビの生中継はないだろうし、第一、この辺りは電波が届かない。
パラボラアンテナは通信用で、衛星放送には対応していない」
として、ラジオで聞くことに。
コンビニの駐車場
ソヨン「このカフェオレ美味しい♪」
スタッフのキム「ソヨンさん、それカフェラテですよ」
ソヨンは大げさにせき込んで「シャラーップ!」と叫ぶ。
キム「シャラップじゃなくて、シャットアップですよ。
正確な発音は"Shut up!"」
ソヨン「いや、英会話講座じゃないから」
運転手はブラックコーヒーを飲み終わって、バスを発車させる。
距離的には近いが、急坂や急カーブが連続するルートを指定されている。
ソヨンは春川までがケイキ道と誤認していたのはナイショです。
あるレースは出場選手が全員「キム」。
その名も「オール金氏レース」だったにもかかわらず、
実況や解説を担当するアナウンサーはオッズを除き、
なぜか艇番や選手のフルネームを一切言わない。
実況「このレース、キムは欠場が決まっているので、5艇で争われます。
スタート!フライングしたキムと、出遅れたキムは失格です。
キムとキムに関係する舟券は全て返還されます。
絶対に捨てないようにお願いします」
ソヨン「なにこの実況。キムがキムでキム?」
スタッフのパク「艇番をいうか、フルネームで呼ぶかにしろよ」
実況「おーっと、ここでキムがターンに
失敗して転覆した!3連単、3連複は不成立です。
まだ距離にして半分も終わっていないのに、キムとキムしか残っていない!
競艇は少なくとも2艇がゴールしなければ不成立です。
転覆や進路妨害などによる失格は返還対象外ですが、
レース不成立の場合は全ての舟券が返還されます。
間違っても舟券を破り捨てたりしないようにしてください。
…キムのあほっ(ビリッ)。失礼しました」
ソヨン「ブーッ!破るなと言ってるそばから舟券を破棄した!?
私のカフェオレ返して!」
スタッフ「あのー、ですからソヨンさんが飲んでいるのはカフェラテです」
ソヨン「このラノベを読んでる人には分からないんだから、黙っといて!
ん?ラノベって何?」
運転手とソヨン以外、全員が爆笑。
実況「ターンするたびにキムとキムが入れ替わる、白熱した展開が続きます。
キムがキムをまくる!今度はキムがキムを差した!
キムに続いてキムも最終コーナーをクリア!ここからゴールまでは一直線。
キムか、キムか。勝利の女神は、どちらのキムに微笑むのかーっ!
ゴーール!ゴーーール!!」
謎の声:それはサッカーやろ!
解説「(無視して)結果が確定しました。只今の決まり手は「恵まれ」。
恵まれがキム、もとい決まって1着キム、2着キム。
2連単は1番人気の組み合わせでした」
このあと払戻金額などが続くが、省略。
実況「ここで.エバラ道知事のキムさんが登場。今回、キム知事が
事前に指定した レースで1着になった選手には、表彰状と追加の賞金
(予選、準決勝は各50万ウォン、決勝100万ウォン+
知事オリジナルの1/10オンス金貨)が贈られます。
以上、実況はキム(男の声)。解説もキム(女の声)でした(^^)ノシ」
※原文(韓国語)でもNoshi
謎の声:(^^)ノシってなんやねん、コラ。(2人とも無視を決め込む)
そうか、ならワイが代わりに説明したる。
(^^)ノシとはなー、うわ、なにする、やめれ!(^ー^)ノシ(プツッ)
放送席のマイクは指向性が高く、周囲の雑音は拾わないはず。
謎の声の主は放送席に乱入していて、警備員に排除された模様。
ソヨンも「キム」、スタッフにもキムがいるので、
笑いすぎて涙が出て死にそう。
バスの中ではラジオで聞いていたため、何がなんだかさっぱり。
しばらくして競艇場の駐車場に到着。
観客席から出てきた男性客の1人に取材させてほしい旨を伝えると、
快くOK。インタビュー形式で色々話を聞いていると、
「あんたら、もうちょい早よ着いとれば、おもろいレースが見れたんやで、
惜しいなぁ。オール金氏レースや。キム選手が勝ったんやで。
キムの単勝1通り40万、複勝をキムとキムの2通り各30万で計100万ウォン
賭けとったら、全部的中してボロ儲けやねん(^^)
前売りで賭けとった3連複20万ウォンは欠場したキムが
含まれとったさかい、全額返金や」
ふむふむφ(..)メモメモ…
「ワイの本名は言えんさかい、放送するんやったら
『ペンネーム 謎の声さん』で頼んまっせ!…って、
アレ?(^^;)ねぇちゃん、顔引きつっとるで」。
この「謎の声さん」の軽口に、珍しくソヨンがキレる。
「あんた、さっきの放送の乱入者でしょ!ふざけないでよ!」と
追いかけ始めるが、路面が荒れ気味で履いていたハイヒールが折れて転ぶ。
スカートが捲れ、ピンクの花柄パンツが見えてしまう。
「キャッ!」と叫ぶソヨンだが、謎の声さんはすかさずスマホで撮影。
他の観客も撮影開始、 (ピカッ)。
慌てて立ち上がろうとするソヨンだが、ヒールが折れているため再び転倒。
今度はパンツが丸見えに。「撮るなー!」と叫ぶが、
連写音(カシャシャシャッ!)が響く。
謎の声さんは「ほなな!」と一言残して観客の中に消える。
ソヨンは顔を真っ赤にして立ち上がり、
スタッフに「誰かあの男捕まえて!私のパンツが…!ファッキュー」と
叫ぶが、さっきと同様に
「"Fuck you"ですよ。あと、相手に向けて中指を立てて下さい」
と謎の指導を受ける。
珍問答にスタッフも笑いを堪えるのに必死。
ロケバスの中は再び爆笑の渦に包まれ、
ソヨンは「もうこのロケやめる!」と駄々をこねるが、
結局「映画の宣伝のため」と気を取り直し、
ここでのインタビューなどを続けるのだった。




