12話
グリー「兄さん見たんだね」
ドリー「あぁ、母さんと父さんに聞いた。父さんが重傷って聞いたから飛んできたんだ。依頼の途中だからすぐここを出なきゃいけない」
グリー「それじゃどうしてここに?」
ドリー「すまなかった」
グリー「え?」
ドリー「グリーに大きな夢を見させてしまった。難しい現実を突きつけてしまった。これは調子に乗った僕の不注意だ」
グリー「そんなことはないよ、僕は今スッキリしているんだ」
ドリー「?」
グリー「兄さんみたいにはなれないのはわかったんだ。でもまだ道があることに変わりはない。僕が頑張って兄さんの横
を歩ける人間になりたい」
ドリー「グリー…」
グリー「だから気にしないで、僕は僕の道を行く」
ドリー「そうか、僕はまだグリーを子供扱いしていたようだ」
グリー「兄さんから比べるとずっと弟だからね!」
ドリー「それじゃ待ってるよ、僕も僕の高みで」
グリー「すぐ追い抜いちゃうかもしれないから兄さんもしっかり訓練しておいてよね!最近相手してくれる人がいなくて困
ってるんだ!」
ドリー「そうか、それだったら武術学園に行くといい。武聖ダオリンの弟子と自称するものが今年入ってくるようだ。その
子だったらグリーの相手にもなってくれるだろう」
グリー「武術学園っていうと魔法学校と肩を並べる優秀な学校じゃないか…」
ドリー「今年の受験ができるのは後一週間だけ、今から行けば間に合うさ」
グリー「そんな急に!」
ドリー「何事も急に来るのさ。別れの時のように」ドリーは少し遠い目をした。
グリー「兄さん?」
ドリー「父さんと母さんには話をしておいた。決めるのはグリー次第だ。俺は上で待つ」
グリー「そっか。それじゃ早く上がらないとね」
ドリー「それじゃ、行くね。また会える時を楽しみにしているよ」
グリー「僕も心底楽しみにしているよ」
―
父「行くのか?」
グリー「いい?」
母「楽しんできなさいね?」
グリー「ちゃんと帰ってくるよ。ここが僕の家で家族なんだから!」
『いってらっしゃい』時は夕刻。新しい二人の道が始まった。




