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ざっくり地学

てんびん座の北の皿 〜エメラルドの謎〜

作者: ばーでーん

緑色に光るといわれる恒星があります。

自らの温度で光る恒星には、原理的に緑色はないのに。

不思議で仕方ありません。



僕は考えこんでいます

エメラルドの星はどんなんだろ


君が教えてくれました

てんびん座の星の「北の皿」


熱輻射スペクトルによると

緑色の恒星はありえない

この星の温度では青白だ


こうなるともうおしまいです

なぜこの星がエメラルドかを考えながら

今夜も「北の皿」を見上げてる僕です



僕は仮説を立てました

エメラルドに星がみえるのなら


君も観ている青白の

よるの大気に散るは青のいろ


太陽は宇宙では真白なのに

地上で黄色になるように

青白の星はエメラルドに


こういう仮説は如何でしょう

なぜ他の星はエメラルドじゃないんだい?

明夜も「北の皿」を見上げ直す僕です



別の理屈も立てました

エメラルドに星を感じるのかも


人は夜空に目を凝らし

とおい宇宙に星にピント合わせ


青白の近くに赤い星あらば

ピントが赤に合わせられ

青がぼけやてエメラルド


こういう理屈はどうですか

目の水晶体の色収差の補正だね?

明夜も「北の皿」を楽しんでる僕です



そういう理屈で瞬いて

うるうるぱちぱち目のレンズを補正して

明夜は「北の皿」を(エメラルド)に捕らえたい



てんびん座のβ星、「北の皿」の表面温度は、12,000Kで、星の色は青みがかった白です。通常、この色に見えます。しかし、この星は、古来から現在に至るまで、エメラルド色に見えるという人が非常に多い不思議な星です。肉眼でエメラルド色に見える唯一の恒星と言われます。私は、青白にしか見えたことがありませんが、きっと、エメラルドに見えると信じています。そして、今この星に魅了されているというわけです。


以下、本作の注釈です。興味ありましたらどうぞ。

注1: 「熱輻射スペクトル」

  温度を有する物体から発せられる光のスペクトル。

  物体の性質にはよらず、温度のみで決まります。

  このスペクトルから人の目は緑色を認識しません。

注2: 「この星の温度では青白だ」

  「北の皿」の表面温度は、12,000Kで青白です。

注3: 「よるの大気に散るは青のいろ」

  夜にも大気(窒素、酸素分子が主成分)があります。

  星も青色が主に散乱されることに注目しました。

注4: 「地上で黄色になるように」

  太陽は大気圏外から見ると真白です。大気下では、

  注3のように大気で散乱されます。短波長の青ほど

  散乱されます。太陽の直接の像から青みが薄れて、

  黄色がかった白になります。

  ちなみに、散乱された青は、太陽のまわりで青空を

  つくります。

注5: 「とおい宇宙に星にピント合わせ」

  人は遠くを見るとき、目の筋肉を張ります。

  星を見ると視力回復に良いと言われたりします。

注6: 「目の水晶体の色収差の補正」

  人の視覚に不勉強のため、以下、推測を含みます。

  レンズは色により屈折率が異なり焦点位置が

  変わります。

  人の目のレンズである水晶体は、水晶体の形状、

  脳における補正で、中心視野では、性能が高いと

  言われます。

  しかし、遠くの星にピントをあわせると、隣り合う

  星を見る場合、どちらかを中心視野に、もう一つを

  周辺視野にみると思います。周辺視野の星は

  ぼやけます。赤に中心視野が向くと、周辺視野の

  青白の星のうち、短波長の青がぼやけエメラルドに

  見えるかもしれません。「北の皿」に対しては、

  さそり座アンタレス星を想定しますが、遠いかも。

  ただし、焦点の取り方は、個人差、同じ人でも

  心身の調子にもよると思います。

  肉眼で見えるエメラルドの星は、「北の皿」だけ

  ですが、天体望遠鏡では、連星の一方が赤い星の

  場合、他方が青色星ならエメラルドに見えます。

  アンタレスも実は連星で、肉眼で見える主星は、

  赤〜橙で、伴星は青白ですが、緑色に見える

  そうです。ただし、版星は、肉眼では見えません。

  また、「北の皿」は連星ではありません。

注7: その他

  シンチレーション(虹星)も考えましたが、

  北の皿だけが、特に緑に見える理由がありません。

  シンチレーションでは、長い時間、緑色にも

  なりません。また、「北の皿」と地球の間の

  星間ガスみたいなものも考えましたが、今のところ

  私には根拠が示せないご都合主義です。

  理屈をこねましたが、つまり、よくわかりません。

  難点は、いつでもみれるわけではないこと、及び、

  「北の皿」でしか見えないとされることです。

  どなたか、エメラルドの星を「北の皿」以外で

  ご存知の方、おられましたら、教えてください。


どうもありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  めちゃめちゃ素敵な詩でした!  なんというか、「宇宙の広がり」=「科学の無限性」みたいなものを感じてしまって……。 [一言] 「エメラルドの星」というワード自体に、まず痺れてしまいました…
[良い点] 「緑色の星」、不思議ですよね。詩からご関心を持っていただき、とても嬉しいです。少し回りくどい表現をしていましたのも、こちらの作品にあるような背景があったためです。 そうした事象を、とても…
[良い点]  エメラルドの星。見てみたいです。  ロマンチックな彼女。科学で分析するのが好きな彼。  彼女から教えてもらった星を、夜空を眺めながらあれやこれやと考える彼は、実は星と一緒に彼女のことに…
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