新しい人生
「守護領壁!!!」
四方から囲むように壁が現れた。
「全力で行くとこの森自体無くなってしまうからの。少し壁を貼らせてもらうぞ。」
そういうとシグルズは一瞬で距離を詰めてきた。
「不知火!!!」
シグルズの剣は炎を纏った。
「雷化!!!」
俺も対抗して魔力を込めて雷を纏わせた。
「ガキン━」
つばぜり合いが起こった。強い。老体なのにここまで力が出るなんて。さすが伝説だ。
「どうしたんじゃアルガード。そんなんじゃ負けてしまうぞ?」
「わかって...ますよ!」
つばぜり合いを何とか制した。俺はその隙に切りかかる。
「これで俺の勝ちだっ!」
剣を振り下ろした。
「...あれ?」
手応えがない。絶対に当たったはずなのに。
「ど...どこに行ったんだ?!」
「...ここじゃよ」
「いつの間に後ろに!?」
「煙化して後ろに回り込んだのじゃよ。」
あの一瞬で詠唱もせずに技を使ったらしい。いくら歳をとったとはいえ、人間離れにも程がある。
「...これでわしの勝ちじゃな。」
「勝負あり!」
圧倒的な差を見せつけられて負けてしまった。
「さすが伝説...かてっこないや。」
「はっはっは!これが長年の戦い慣れと勘じゃよ!」
「それにしても師匠、凄かったですよ。まさかあの一瞬で煙化して背後に回り込むなんて」
「なぁに、これでも手加減したんじゃぞ?あとフィレスト、何か忘れておらんか?」
「あ、そうだった。今日は師匠のためにいいお酒持ってきたんですよ」
「さすが我が弟子じゃ!久しぶりに飲むか?一緒に」
「良いですね!飲みましょう!」
「お父さん、俺はどうすればいい?」
「んー...帰り道はわか...らないよな。どうするか...」
2人で悩んでいるとシグルズはとある魔法を唱えた。
「転移扉」
「シグルズさん。なんですかそれ?」
「これは簡単に言うと某アニメのどこ○もドアみたいなものじゃ。この先はアルガードの家につながっておるぞ。」
そんな便利な魔法があるのか。
「ありがとうシグルズさん。あと俺の名前そろそろ覚えてよ...」
「そうじゃの智之」
「アルガドです」
「とりあえず明後日からはこの扉からワシのところに通うんじゃぞ。普通に行くと距離がすごいからの。」
「わかりましたシグルズさん。」
俺は転移扉を使って家に帰った。
「ただいまぁー...」
「あら、おかえりなさい。アルガド一人で帰ってきたのね。」
「うん。お父さんは師匠と飲んで帰ってくるって」
「そうなのね...大丈夫かしら...」
どういうことだろうか。まあいい。
「とりあえずお風呂入ってくるね」
「行ってらっしゃい」
俺は風呂に入った。
「ふぅ...まさかあの伝説の剣士の弟子になれるなんて...思いもしなかった。お父さんって顔広いんだなぁ...」
俺は風呂に浸かってそう呟いた。
「そういや...稽古って明後日からだけどどういう内容の稽古なんだろうな...普通に素振りかな。それとも鍛治の基礎だったりして?」
明後日からの稽古が楽しみになってきた。さて、そろそろ風呂を上がるとしよう。
「ふぅ...今日のご飯って...俺の大好きなチーズカレードリア?!」
「ピンポーン♪大正解ー!」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
おっといけない。喜びのあまり超音波が出そうだった。
「ほら落ち着いて。そんな叫んだら皿が割れて食べれなくなるわよ?」
「それもそうだね。んじゃ、いただきます。」
2週間ぶりに食べたチーズカレードリアはとても美味い。
「そういえばいつ冒険者組合にいくの?」
「んー明日にでも行こうかな」
「わかったわよ。それで今日父さんの師匠に会ってみてどうだった?」
「やっぱりあの人は伝説って言われても仕方ないよ。戦ってみたけど勝てるわけがないや」
「普通そうよ。あんな化け物みたいなのに勝てる方がおかしいのよ。あの人、普通じゃ使えない武器や防具、更には魔法まで使えるのよ?全部一人でこなしてて本当にすごいけど...やっぱり化け物だわ」
まるで以前パーティを組んでいたような話し方だ。
「お母さんって冒険者辞める前ってもしかして伝説の人と組んでいたの?」
「組んでいたって言うか...たまたま会ったって言うのが正解かしら。私がパーティの人とダンジョンへ向かっている最中に見たのよ。」
「へぇ...そんなに強いんだね」
「そりゃそうよ。あんなの見たら誰だって伝説って認めるわ」
「まぁ...そうだよね」
「うん...」
少し沈黙した後俺はご馳走様といい、皿を片付けた。
「それじゃ、俺はもう寝るね。おやすみ」
「おやすみなさいアルガド」
翌日
「それじゃあ俺今から冒険者組合に行ってくるね」
「行ってらっしゃいアルガド」
「いって...らっ.....うっぷ!!」
父は二日酔いになって帰ってきてた。
「お父さん...大丈夫?」
「だ...だいじょうぶだ...」
「父さん。布団に行って寝てなさい。安静にしてて」
「はい...」
父は布団へ帰って行った。
「行ってきます」
俺はそのまま冒険者組合へ行った。そして、受付を済ませてきた。
「アルガド様、2番窓口へお越しください」
俺は2番窓口へ向かった。
「それでは貴方は正式に冒険者として登録させていただきます。それと、軽くランクに着いて説明致しますね。」
「お願いします」
「ランクはFからSまでの7段階あります。そして今回アルガド様はFランクからスタートします。一般的にFからCまでは普通なのですがBランクからはクエストの難易度が上がってきます」
「と、いうと?」
「はい、依頼者が一般市民から社会的地位が高いものや力がある人、AやSランクになると国家レベルに危険なクエストも受けることが出来ます。報酬がグンと上がる分、リスクもすごいですよ」
「なるほど、けどどうやってランクを上げればいいですか?」
「それはクエストを受けて治安維持に貢献してもらいます。そしてどのくらい貢献したかによってランク分けされます」
「そうなんですね。ありがとうございます」
「それでは良い冒険者ライフを」
俺は今日から冒険者として生きていくことになった。
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