修繕と結果
「ふぅ...食った食った」
父はそういい腹を触る。
「まさか父さん、ご飯3杯食べるとは思わないんだもの」
「それはマイハニーのローストビーフ、スープ、サラダ、全てが美味しいからさ!!!」
「いやん!貴方ったら!」
また始まった。
「俺はもう風呂入って歯磨きして寝るからね」
「おう、行ってらっしゃい」
父はそういうとまた母とイチャイチャし始めた。
「ふぅ...今日はすっげー疲れた...」
俺は湯船に浸かりながら剣について考えていた。今回の剣は診断用に作ったから直ぐに壊れたものの、余りにも脆くて少し落ち込んでしまったのだ。
「どうやったらもうちょっと硬い剣を作れるんだろ...明日お父さんに聞いてみよ。」
俺はそう思いしばらく湯船に浸かったあと、頭や体を洗い風呂を上がった。
「ダーリンの愛がエッフェル塔を超えそうだわ!」
「俺はハニーへの愛はどんな剣よりも強いよ!」
何故ここまでイチャつけるのだろうか。風呂と歯磨きの時間で1時間は余裕で越えている。
「お父さんお母さん、俺はもう寝るよ。おやすみ」
「おやすみなさーい」
そう告げ、俺は自分の部屋に戻り寝た。
翌日、冒険者組合から診断の結果が来た。
「あなたの適している職業は、剣士です。そしてあなたを正式に冒険者として登録します。後日、この紙を冒険者組合へお持ちください。」
俺はこの結果を見て声を出して喜んだ。
「お母さん!俺、剣士になれた!」
「おめでとおおおおおおおお!」
母がそう言うと何処からか父が出てきた。
「何?!?!とうとうアルガドが剣士になっただと?!?!」
父はそれを知って雄叫びを上げた。家がカオスになった。
「お、お父さん。一緒に鍛冶場に行こう?今日聞きたいこともあるからさ。」
「もちろんだ!光の速さで行くぞ!さぁ手を繋げ!!」
嫌だと言おうとしたが父の圧が凄かったので渋々繋いだ。
「音速!!!」
そう父が言うと本当に光の速さで鍛冶場に着いた。
「...え?」
「どうだアルガド?早いだろ。」
「いや、お父さんって冒険者じゃないから魔法使えないんじゃないの?」
「まぁ小さいことは気にするな!後々分かる!」
父はそのまま笑い飛ばして鍛冶場へ行った。俺も父について行った。
「...んで、聞きたいことってなんだ?」
「これを見て欲しいんだけど...」
そう言って折れた剣を見せた。
「あーこりゃ酷いな。剣の材質はなんだ?」
「鉄」
「鉄だけか?」
「うん」
「その後焼入れしたのか?」
「うん」
父はそれを聞くと少しため息をついて言った。
「アルガド...流石に診断用だとしてもダメだ...すぐに折れてしまうぞ?」
「何で?」
「普通鉄の剣作るだけでもな、色んな作業があるんだな~。アルガド『土置き』してないだろ?」
「何それ?」
初めて聞いた作業工程だ。
「まぁ...簡単に言えば強度を変えれる技術だ。それが薄ければ固く、厚ければ脆くなる。」
「けどそれなら土置きしなくても良くない?厚ければ脆くなって薄ければ固くなるなら土置きしない方がいいじゃん。」
「アルガド、ここから少し難しい話になるけど大丈夫か?」
「うん」
「土置きは強度を変えれるのもそうだが、1番はその後の工程の焼入れの時に焼ムラを防ぐためなんだ。なんせ鉄は物凄い高温だ、そのまま水に入れて冷やそうものなら水は激しく沸騰して水蒸気が出てくる。」
「この水蒸気の気泡が鋼と水を隔てる断熱層となって、冷却を妨げてしまう。つまり、水蒸気の気泡に覆われた部分とそうでない部分で焼き入れの程度に差ができてしまうんだ。」
「へぇ...初めて知ったよ...教えてくれてありがとう」
「まぁ鍛治職人なら知ってて当然よ!」
父はニカッと笑いそう言った。
「さて、俺は可愛い息子のために特性の剣を作ろう!アルガド、箱の中に入っている石を持って来てくれ。」
「うん、わかった」
そう言って俺は箱の中の石を持っていき、父に渡した。
「この石はな、特別なんだよ。魔力がこもってるんだ。だからこの石の粉末を鉄に混ぜて魔法剣をお前のために作る。」
「...え?マジで言ってる?」
「うん、マジ」
俺は衝撃の余りに気を失った。
「.....ド.........ガド..........」
なんだ...誰か呼んでいる。
「アルガド.......?」
母が目の前にいた。
「...お母さん?」
「アルガド、鍛冶場で気を失ったらしいけどどうしたの?」
「いや...お父さんが魔法剣を作るって言ってたから.....嬉しさの余り...」
「そうだったの?仕方ない子ね全く...それはそうとお父さんがこれをって。」
何だろう。俺は気になって開けてみた。
「.......?!」
俺は驚きの余り声も出なかった。
「嘘...だ...え?」
中身は丁寧に打たれた魔法剣だった。しかも魔力強化の文字も彫ってある。
「これ...しかも...」
父が帰ってきた。
「ただいまー...お、アルガド意識戻ったのか。」
「お父さん...ありがとう...」
「当たり前よ!それよりその剣握って魔力、込めてみな?」
俺は言われた通りに魔力をその剣に込めた。そうすると剣はバチバチと言う音と共に、雷を纏った。
「す...すごい...俺もいつかこんな剣自分で作れるようになりてぇ!」
「それなら俺の師匠及び仲間に会うか?」
「え?」
「多分アルガドみたいなものづくり好きな子が行ったら喜んで魔法剣の作り方ぐらい教えてくれるだろ。明日空いてるか?」
「空いてる!」
俺はすぐに答えた
「よし、それじゃ明日師匠に会いにいくぞ。」
明日が物凄く楽しみになった。
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