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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

婚約破棄は無かった。だけど幸せな結婚生活を送っていたはずが、跡取り息子が出来たとたんに手のひらを返され殺されかけた。

作者: 怒筆丸 暇乙政
掲載日:2022/05/29

──全部演技だった。


 結局財産と跡取り目的だった。私はATMで子を産む機械だった。政略結婚はやはり政略結婚だった。仕組まれた政略結婚だった……。


 私が成人し、いよいよ結婚と言う時に怪文書が飛び交い私は婚約破棄される憂き目にあったが、婚約破棄は夫のお父様の強い意向で破棄された。それ以来私は大事に扱われ、何をするのにも気を使ってもらえて、少しずつ私の心は開けて行った。


 だけど今思えば疑うべきだった……。


 婚前、私の怪文書が飛び交う頃に、私の弟は事故で死に、私の父は重い病に倒れた。不治の病。母は既に他界し、男手一つで育ててくれた父に、私は感謝して世間の辛い当たりにも耐えて看病していた。

 そんな私に公爵家は手の平を返し、御子息は打って変わって私に親切して取り入って来たのだった。


 今だから確信を持って言える。


 弟も父も亡き今、私の辺境伯爵家の財産は私名義だ。そして、子供がいる今、私が死ねば私の財産は嫁いだ公爵家の私の息子に継がれる事になり、それは名実ともに嫁いだ公爵家の財産となるという算段だと言う事を……。

 浅はかだった。家臣の言う通り、婿養子を貰うべきだった。

 だけど若く辛かった私は目先の親切と幸せに目が眩んで、見事にしてやられてしまったのだった。

 日に日に死へ追いやろうと工作してくる義理の家族。唯一血のつながった息子は父や祖父に祖母とべったりで、嘘を吹き込まれては私を蔑む。


「お父さんが言ってた! お母さんは浮気女のクズだって! あっちへ行け!」


 いくら言っても聞いてくれない。私は毎日泣いた。閉じ込められるように小さな一室に籠る私。北の冷たい光しか入らない寒い部屋。私は少しずつ身も心も病んでゆく。もうどうして良いか分からない……。

 給仕の持ってくる一日一食の食事は冷たく、味もどこかおかしい。もしかしたら少しずつ病気と偽れるように毒を盛られているのかもしれない。今なら普通にそう思える……。


 そんな絶望的なある日、私に精神分析医がやって来た。


 私は直感した。私が何もされずに気が狂って自殺すれば、自殺者を出した公爵家は威信に傷がついてしまう。だから精神分析医を寄こして形なりの良心を世論に示し、病院と言う監獄へ送り込む魂胆なのだろう。

 そう、どうせこの医者は息のかかった藪医者に違いない。私は遂に気が狂った事になって、自傷他害からの保護を名目に自殺する尊厳も許されず、死ぬまで病院に幽閉されるのだ。私の涙は枯れた。もうどうにでもなれと思った……。死んだら、いつか必ず呪い殺してやる……。


 しかし精神分析医は呟いた。


「──助けに来ました」

「……え?」

「私は貴方のかつての家臣の息子です。私は全てを知っています。公爵家の悪行は許されるものではありません。──〈私はあなたの味方〉なのです。その為、私はあなたを救うためにここへやってまいりました。一緒に脱出の計画を練りましょう」


 地図を開く彼に、私はハッとした。優しい笑顔。天使の様に微笑む目の奥には、真実を知るアイスブルーの瞳がある。私は救われる思いになった。神は私を見捨てなかったのだ!


「さぁ行きましょう。時間がありません。さぁ手をこちらへ!」


 窓が開く。冷たい風が吹き込む。だけと私は寒くなかった。私は彼の差し伸べる手へそっと手を乗せると、彼は力強くそれを掴んで引っ張った。私の肺は新鮮な空気で満たされる。新たな世界の匂いで満たされる。私の涙は凍り付いても、今の心は暖炉の様に暖かかった……。

 自分で書いていてエグッ!て思いました。

 何故ならこの話は過去に書いた短編『悪役令嬢と結婚した俺は、悪魔の囁きで帝国に復讐を誓う。』の続編だからです。

 果たして彼女は幸せになれたのでしょうか? それとも……

 後はご想像にお任せします……。

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