説明を聞く
ミンの説明は熱を帯びていた。
「ということで、そろそろ話してくれると思う。だから、しばらくまかせてほしい」
「わかった」
その説明にガイルは納得した。
ガイルにとっても信頼している部下たちだ。
そんな部下が、クスナ殺害を企てたのには何か重大な決意があってのことだろう。それを明かしてくれそうというのなら、そこはミンに任せようと思った。
「長老に何を聞きたかったの?」
と、ミンは言う。
「長老が開いた水脈っていうのは本当に長老が開いたのか、本当はキョウが開いた水脈だったんじゃないかって思ったんだ」
ガイルは子どもの頃の忘れかけてた記憶をミンに話した。
大きな水たまりがあって、その上にキョウが寝ていて……
本当は長老本人に聞きたかったが。長老自らが開いたという泉というのは、本当はキョウが開いたものじゃないのか、と。
だが、その疑問を解き明かしたところで、そもそもキョウはもう魔力を失ってる。かつてできたとしても今はもうできないのだ。
その過去の真実は知れても意味がないような気もした。
それにミンは体を張って、長老の犯行を隠そうとしてるわけで、自分の疑問を解き明かすよりはそっちを優先したいと思った。
「たぶん、水脈を開いたのは長老ではない」
と、ミンは自身の考えを述べる。
「その現場は見てないからなんともいえないけど、長老が得意な魔法じゃないわ」
ガイルが子どもの頃の話であれば、ミンも子どもだったわけで確証はなかった。
「長老が得意なのは呪いとか……」
それはガイルも承知しているが、その魔法を使っているところを見たことはなかった。治療系や防御系の魔法を使ったとこなら何度かある。
なので、聞いてみた。
「長老が人を呪うの見たことあるか?」
「たぶんあるわ」
ミンがさらっと言ったので、ガイルはぎょっとした。
「お父様やお母様が外交に力を入れるようになったのはそのせいよ。まあ、その話はまた別の機会にね」
強引なミンのその説明にガイルは納得せざるを得なかった。