問い詰めたい
ガイルは長老を問い詰めたい気持ちだった。
長老を幽閉している部屋へ行くと、そこで侍女に止められた。
「ミン様に誰も長老を会わせないように言われていますので」
ガイルは眉をひそめる。
「俺でも?」
「すみません。誰も会わせるなということですので」
「わかった」
ミンに何か考えがあるんだろう。
それこそ、ミンは体を張って長老の犯行をもみ消そうとしている。そこに水を差すつもりはない。
ただガイルは、長老がかつて水脈を開いたと言っていたのはあれは実はキョウだったんじゃないか、そのことを聞きたかっただけだ。
その要件なら、別にミンに一言断ってからでもいいだろう。
ミンは今日は泉の祈祷に出ていたはず。
帰ってからでも確認することにしよう。
* * *
「なんてこと……」
ミンは絶句していた。
護衛についてきた兵士も絶句している。
ミンはラテーシア家の管理する泉の祈祷をしていた。
砂漠の中のこの地では水は重要であり、その生活は湧き出る泉の水に頼っていた。
その泉が枯れないように祈祷するわけだが、そこの泉に大量の砂が入り込んでいた。
ラテーシア家の管理する泉は全部で十一あり、そのうちの一つが畑のそばにある。
泉だけでなく、畑も砂に埋まっているような状況だった。
数体の環境維持ロボが泉の砂を運び出しているが、それでは追いつかないようだった。
「祈祷より先に砂を除去しないと」
その方法をミンは考える。
以前にも似たような状況になったことがあった。
その時は長老が指揮を執り数人の魔法使いたちで解決した。
だが今回は、というより今後は長老を出すわけにはいかない。
ミンが指揮を執る? いや、もっと経験のある魔法使いに指揮を執らせようか? それも含め一旦家に戻らないと。
その時、砂を寄せる作業をしていたランズ・ルカーが手を止め声を掛けて来た。
「これはこれはミン様。ご苦労様です」
ランズは会釈する。
ランズは五番隊隊長であり、五番隊は農民の自警団のような集まりであった。