まるで
金色の光がロボから放出される。
実際は光ってなどいないのだが、魔力の波がそう見えたのだ。
金色の光が結界の裂け目を塞いでいた。
「ケイ? いや、カースか?」
ケイかカースなら環境維持ロボを操ってる時に魔法が使えるが、こんな強い魔法は使えただろうか?
それにケイは今、寝込んでいる。
こんな重労働は放棄するだろう。
――もしかして、キョウ?
レンが固執していた髪のきれいな男。
魔力もかなり強い。
だがキョウは魔力を失ったはず……。
ロボが結界を塞ぐ様をロイは見守っていた。
結界を塞ぎ終えるとロボは動かなくなった。
「さすがだな」
と声を掛けた時は、金色の光は消えていた。
ロボは本来の透明な水晶に戻っていた。
こうなると、もうそこにその人物の魂はない。
ロイはキョウの家に行ってみた。
家の明かりは消えていた。もう寝てるようだ。
リゾの家なら無断侵入もするが、赤の他人の家に入るほどロイは非常識ではない(?)
ロイは一旦家に帰り、環境維持ロボに入る。
そして、キョウが使っていたロボを近くの女神像まで運び、充電しておく。
――結界を修復してくれたんだし、このくらいお安い御用さ。
* * *
次の日、ミン・ラテーシアは愕然としていた。
長老の部下が話した内容。
なぜ、レファイ家で雇われてる魔導師クスナ・ク・ガイルを殺害しようとしたのか。
その動機を語られると思っていた。
が、それだけではなかった。
長老はそれ以上のことをしていた。
長老は最高位の一人を暗殺しようとしていたのだという。
「それで、それはどうなったの?」
思わず、ミンは口をはさむ。
「当然、失敗したのよね?」
「かなりの深手を負わせたのですが、それをあの導師が治したようです。だから長老は……」
部下の言葉に、ミンは言葉を失った。
神の化身ともいわれる最高位を暗殺? しかも治した導師もろとも……?
それでは、まるで反逆者じゃないか。