修復する
ゆらゆら揺れるカーテンのように見えた。オーロラってたぶんこういう感じなんだろう、なんてキョウは思いもした。
オーロラとの違いは地面から噴き出しているところだ。
――そうか。これが結界か。
キョウが結界を見ていると、おかしなことに気づいた。
ざっくり裂け目があったのだ。
そこから外の風が吹いてくる。
畑に砂が積もったのもそのせいだろう。
その時、強い風が吹いた。
砂まじりの風だった。
――このままでは、また畑が砂に埋まってしまう!
焦ったキョウは魔力を放出させる。
魔力を補うことで結界の裂け目を塞げるんじゃないかと思ったのだ。
最初は勝手がよくわからなかった。
何回か挑戦してみて、段々コツがつかめてきた。
裂け目をのりで繋げるイメージだ。キョウはそんな感じで無心で結界を修復していた。
ふと、カーラの顔が浮かぶ。
――そういえば、キスされたなぁ。
ファウには内緒だ。
その時、強大な魔力が入って来るのを感じていた。
グレスからも魔力を受け取っていた。
そのことを思い出すと、あることに気づいた。
――そうか、この結界を作ってるのは最高位たちか。
改めて最高位の凄さと感謝の気持ちを抱くキョウだった。
やがて裂け目が完全に塞がる。
そこで、キョウは動けなくなった。
進もうにも進めず。せめて女神像のところへ行けばこのロボは充電できるのに……。
動こうとすると、体ががくがく震えるだけだった。
キョウの意識はそこまでだった。
* * *
その様子を見てる者がいた。ロイだった。
ロイは昼間、他の環境維持ロボたちと一緒に畑の砂を畑から取り去る作業をしていた。
ロイは環境維持ロボを操ってる時は魔法は使えない。
夜、人目につかないように結界の修復にやってきたわけだが、先に結界を修復してる者がいた。
しかも環境維持ロボを操って。
はじめのうちは最高位の誰かと思ったが、環境維持ロボを操ってる状態であんな魔法を使える者に心当たりがない。
ロイは信じられない気持ちで、結界を修復するロボを見ていた。