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⒈精霊との出会いは突然、衝撃的に②


つまり。


目の前にいる人物は少なくとも加護付きであるということ。


加護付きは珍しく、貴族の中にも滅多にあらわれない。加護付きは精霊達に好かれる体質にあるようで、その周りには精霊が集まる。ゆえに加護付きが多くいればいるほど国は栄える。


現れれば、すぐに貴族が保護している。重宝される加護付きが何で僕の目の前にいるのかな?僕と入れ替わって王となりたいとかそういうことかな?


「ふふふふふ!猫になったクロッカス様も素敵です!!とてつもなく可愛らしいです!!モフモフしたいです〜!!!」


うん?


僕を抱き上げながら言う姿はまるで、はしゃぐ子供のようだね。目を輝かせて、笑みを浮かべる姿は斬新だ。


僕は表情が豊かな方ではないけど。僕の姿でもこんなに表情豊かになるものなんだね?


それはそれとして。


僕に成り替わりたいわけではないのかな?この子からはどうにもそんな野心があるようには感じられないんだけどね?何で僕の姿をしているのかな?


モフモフしたいですとか言いながら、僕の身体を撫で回さないでくれるかな?


願望だけで止まってないよね?行動しちゃってるよね?いきなりモフモフされても困るだけなんだけどな?


しかも、今、君は僕の姿をしているんだよ?自分にモフモフされるなんて、どんな体験だぃ?


「あぁ〜…クロッカス様は本当、猫になっても素敵です。」


うっとりとした顔で言われても嬉しくないよ?状況が状況なだけに逆に恐怖すら覚えるからね?


うっとりとした表情で目をうるうるさせても、僕の姿をしているからか、より恐怖を感じるからね?不気味という感想くらいしか思い浮かばないよ?


僕はもう少し子供らしくあれないかと臣下達に言われたりするくらいに表情が乏しく子供らしくない。


まぁ、子供らしくないという自覚はあるけどね?王族として、いつ如何なる場合も落ち着いて物事に対応するようにと父上にも言われているのだし、子供らしくある必要もないよね。


今、目の前にいる僕は臣下達が見たら医者を呼ばれそうなくらいに表情豊かだ。分かりやすいくらいに瞳に感情があらわれているね。


僕の姿でもここまで感情を露わにできるものなんだね。僕にはできないことだ。ただ、なんでだろうね?羨ましいとは思えないな。


「クロッカス様ぁ〜最高ですぅ〜!!…ハッ!失礼しました。えと…クロッカス様、学園に行きたくないと言ってましたよね?つまらない、と。」


我に戻ったようで、真剣な顔をするけど。うん、あまり取り繕えてないよ?僕に頬ずりをしたせいで、髪が乱れて毛まみれになってしまっているしね?


この子に先ほどの僕のつぶやきを聞かれていたのかな?でも、だからって何で今の状況に繋がるかも分からないね?一体、何を考えているのかな?


とりあえず、説明をしてくれるようだし、説明を聞こうかな?


「学園には楽しいこと、素敵なこと、心踊ることがたくさんあります。今は面倒に感じても、将来思い出した時に甘酸っぱい思い出になっているものなんです。」


頬を紅潮させ、うっとりとした様子で話しているね?僕の姿でそれは気持ち悪いからやめてくれるかな?


声は僕のものになっているけど、話し方は女性っぽいのも気になるからね?臣下に見られようものなら、本当に医務官たちを呼ばれかねないからね?


それにしても。学園の生活に何をそこまで夢を持っているのかな?僕には分からないな。


「私がクロッカス様に学園の素敵なところを教えて差し上げます!!実は私、学園に通ってみたかったんです!いえ、私の欲望のために言っているわけではないですよ?クロッカス様のためを思ってのことですよ?」


ドヤ顔をしながら、ビシッと言う僕。いや、僕の姿をした何かだけど。


途中から慌てて取り繕ってたけど、欲望が隠せてないからね?学園にそれほど通ってみたかったのかな?


この子から全然悪意が感じられない。本当に僕に学園の素晴らしさを教えて、かつ、自分が学園生活を送ってみたいだけのようにも見える。


まぁ、もう少し、このまま観察してても大丈夫みたいだね?


「とにかく!今日は私がクロッカス様に学園の素晴らしさを教えて差し上げますからね!」


パァと花開くかのような満面の笑み。


本当に僕の姿でそんな表情が出来るものなんだね?ただ、僕は別に教えて欲しいなんて言ってないよ?


まぁ、面白そうだからもう少し黙って見ているけどね?


それにしても。もしかしなくても、僕の姿で僕として過ごす気なのかな?僕は猫のままなのかな?


猫を連れて来たらそれだけでも不審がられると思うけどね?どうするつもりなのかな?


僕がなぜ猫になったかも、僕の姿をしているこの子が何者なのかも、結局、説明がないままだけど?


まさか、説明をすることを忘れているとかじゃないよね?


まぁ、害がなさそうだから、もう少し静かに観察していることにしようかな。
















結局、僕は猫の姿のまま連れ回される形となった。


意外にも演技は上手く、周りに不審がられずに僕に成り代わっていた。そんなことできそうにない印象だったけど。意外な才能だね?


僕はというと。


周りから見えないように魔法をかけているんだとかで、周りからはいることが認識されていない。


僕を肩に乗せて歩いている時に誰にも何も言われなくて不思議に思っていたらドヤ顔で教えてくれた。


「ふふふふふ!驚きました?クロッカス様の姿は見えなくしているんですよ!だから猫をクロッカス様の姿で連れて歩いているようには誰にも見えないんですよ!」


驚かせるのに成功したとでも言うかのようにドヤ顔をするね?僕の姿でやられると本当に複雑な気持ちになるからね?


見えなくするなら、僕をわざわざ猫にする必要もないよね?なぜ、わざわざ猫にしたのかな?


もしかしなくとも、モフモフが好きなのかぃ?時折、僕をモフモフしているね?モフモフしながら、ドヤ顔とかしないでくれるかな?


この子が素になるのは僕と2人の時だけ。それ以外は僕に上手く成り代わっていた。誰も気づかないくらい。


マイペースで、あまり優秀そうには見えないから意外だけど、演技も上手ければ魔法の精度も高い。


それくらいに魔法が使えるほど精霊に好かれていると言うことか、あるいは、ね。


大体の予測はつくけど、でも予想通りだとすると尚更目的が分からないな。


この子の目的も正体も分からないままだけど。学園生活はとても楽しそうだね?


学園生活が素晴らしいと教えると言ってたけど。実際、楽しそうだから、本気で学園の素晴らしさを教える気だったのかな?


楽しそうな姿を見ていると自分が楽しみたかっただけじゃないかと思えるけど違うよね?


欲望のためじゃないとか言ってたけどそれが真実で良いのかな?半分以上は自分の欲望のためだよね?


まぁ、面白いからいいけど。


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