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⒊精霊は何かを知っている②


カンナ嬢は2人が来ることを知っていたようだ。


カンナ嬢が2人を呼んだ?何で?いや、なら何で隠れる必要がある?二人とカンナ嬢に接点があるのかな?僕と出会ってからはほとんど一緒にいるはずなんだけどね?


それにカンナ嬢は出会いシーンといったね?出会いと言うからには2人は初対面かな?


2人を出会わせて、カンナ嬢は何を考えているのかな?何を企んでいるかはさっぱり分からないけど、目をキラキラ輝かせて2人を見つめている。


女生徒とゼフィは2、3言葉を交わすと2人で歩き始めた。何処かに案内でもする事になったのか、ゼフィが女生徒をエスコートしているね。


2人の去りゆく姿を見て、カンナ嬢は幸せそうに息を吐いている。


…………うん、意味が分からないね。状況の理解が出来ないかな。


僕らは何で隠れて2人を見ていたのかな?カンナ嬢は何に興奮しているのかな?


「ゼフィランサス様とサイネリア様の出会いシーンが生で見れて幸せですぅ〜!第1印象やドレスアップする場所までエスコートする間での会話でヒロインに興味を持ち心を奪われる王子様!気になって目で追っていくうちに育つ気持ち!いずれ気づくんです、そう、あれは一目惚れだったのだと!あぁ、素敵ですぅ〜!」


カンナ嬢は2人がいなくなったところで高ぶった気持ちを外に吐き出し始めているね?


いや、抑えていた気持ちを解放しているのかな?


どちらにしろ、ぶつぶつ1人でつぶやく様はちょっと危ない子だからね?僕の存在すら忘れて自分の世界に行ってしまってないかな?


未来が分かっているかのような語り口調だけど、ゼフィがあの女生徒に惚れたと?


………あの子はやめてほしいかな。


「カルミア嬢?そろそろ、説明してくれるかな?君は何が見たかったのかな?」


2人もいなくなった事だし、そろそろ聞いても良いよね?


カンナ嬢は僕の方を見て、アッと声をあげた。


うん、やっぱり、僕の存在を忘れていたね?ん?興奮し過ぎてついって?まぁ凄い楽しそうに見ていたからね?それは良いけどね?説明をしてくれるかな?


「コホン、失礼しました!えと…ゼフィランサス様はご存知ですよね。女の子の方はサイネリア様といいます。今日、お2人が出会うシーンを見たくてここに来たんです!」


ふふーんと胸を張りながら嬉しそうにカンナ嬢は言うけど。


僕の理解力が足りないのかな?よく分からないんだけど?


カンナ嬢が朝からソワソワしていた原因が2人だったのはわかったけど。でも、やっぱり理解しきれないね?


「カルミア嬢は今日、2人がここに来ることを知っていたの?出会うことを知っていたんだよね?」


「はい!小説で読みましたから!!」


僕の問いにカンナ嬢は自信満々に答える。答えてはくれるんだけどね?


小説?やっぱり分からないな。精霊に伝わる未来が書かれた本が存在する、とか?


ん〜、非現実的過ぎるかな。これまで一緒に過ごして来たけどカンナ嬢は未来予測ができるようではないようだし。


だったら、未来が書かれた本があるって仮説は成り立たないかな?


じゃあ、カンナ嬢の言う()()というのはどういうことなんだろうね?


「小説で読んだってどういうことかな?」


「えっとですねぇ〜、どこから話しましょうか。ちょっと信じがたい話かもしれないんですけど…私、転生者なんです!」


うん?てんせいしゃ?


質問を重ねると、カンナ嬢もどのように説明しようか考えつつ、答えてくれた。


ただね?


また、よく分からないことをカンナ嬢は言うね?真剣な表情から察するに嘘や冗談ではないようだけど。


僕の聞いたことと、かけ離れた答えなのはどうしてかな?カンナ嬢の考えがわからないね?


「私は前世の記憶を持ったまま、この世界に産まれたんです。前世は全く違う世界で生活していて…それで事故で死んで。気がついたら、この世界に精霊として産まれていました。」


頭を傾げる僕にカンナ嬢は説明を続ける。


その目は真剣そのもの。だけど、どこか不安そうだね?僕が信じないかもって心配しているのかな?


カンナ嬢の話は確かに信じがたい。でも、カンナ嬢が嘘を言っているようには感じられない。


嘘をつくメリットもないし、嘘をつくような子でもない。妄想癖があるかは否定しきれないけどね?


本当の話なのか、カンナ嬢の妄想なのか。どちらかかな?まぁどちらにしても構わないかな。信じたほうが面白いだろう?嘘だとしても妄想だとしても僕に害はないし。


聞きたかった内容とはまた別の話みたいだけど、嘘はないようだし、話を進めようかな。


「そう。それで、カルミア嬢に前世の記憶があるのは分かったけど、何でここに2人が来るってわかったのかな?」


「信じてくれるんですか?!」


聞いててみると、カンナ嬢は目を見開いて僕を見つめた。


嬉しそうに尻尾を振っている。うん、ブンブン尻尾を振っているね。犬じゃないんだからね?


「ん?嘘じゃないんでしょ?それは分かるからね。」


僕はカンナ嬢を抱き上げ、にっこりと笑ってみせる。


信じたってわけじゃないけど、嘘じゃないのは分かるってのは本当だからね?妄想だったとしても、実害は無さそうだし構わない。


真実か確かめる方法もないだろうし。2人が来たのは事実だし、カンナ嬢の話が正しい可能性があるからね?


聞いてみて損はなさそうだ。何より、真実であるなしに関わらず、このまま関わった方が面白いだろう?


「〜〜〜っ!!クロッカス様、やっぱり実物は素敵すぎです!小説の殿下は心がないような冷たさを感じましたが、クロッカス様は優しい素敵な方です!!」


僕の腕の中でカンナ嬢は嬉しそうにいう。


感動しました!と言うように耳をピクつかせ、尻尾を振っているけど…


君は本当は猫か犬なのかぃ?自然に小動物のような動きをするね?本当の姿が人間であることのほうが信じられなくなってしまうよ?


言っていることの意味も分からないしね?



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