⒈精霊との出会いは突然、衝撃的に①
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僕の名前はクロッカス、第1王子だ。今年で12歳になる。
ーーー今、僕は猫になっている。
うん、自分で言っていてなんだけどね?
自分でも何を言っているのか、意味がわからない。普通だったら、頭がおかしいやつと思うかもしれない。
ただ、決して頭がいかれたわけでも冗談を言っているわけでもない。僕は今、猫になっているとは言ったけど、これは何かを比喩してのことじゃないんだ。
正真正銘、僕は今、猫になってしまったんだ。
ふわふわの毛なみは猫好きなら、うっとりとしそうなくらい、触り心地が良さそうで。
ピクピク動く三角の耳はつい、つまみたくなるような愛らしさがある。
細く長い尻尾にじゃれつきたくなるだろうね。ピンクのふにふにした肉球なんて、さぞ、たまらないんだろう。
まぁ…僕は猫に興味があるわけじゃないから、心は決して踊らないんだけどね?
どこからどう見ても僕は猫となっていた。
さて。
何でこんな事になったのか。
少し時間を遡って思い出してみよう。状況を整理するためにも僕は記憶を遡って思い出してみようーーー…
最近、僕は朝に温室に通うのが日課になっていた。朝起きて、一息ついた後、温室に通っている。
ただ、別に花が好きというわけではない。
僕がわざわざ温室に通っているのは育成するのが難しいという花を育てるためだ。
育成困難であり、自然に咲いた花を運よく見つける事でしか採取出来ないという花。
僕は花が特別好きなわけでもなければ興味もあまりないけど、育成困難っていうことにはそれなりに興味がひかれる。
本当に育成出来ないものか、試してみようって思うよね?本当に難易度が高いなら熱中出来るかもしれないし。
僕は自分は比較的、賢い子供だ。大抵のことは苦労なく出来る。学園で習うレベルの知識だって身につけている。
何をやっても大抵の事が容易に人並み以上にこなせてしまう。それが僕にとって当たり前なんだ。
だからこそ。
つまらない。面白みを感じられないんだ。
何でも簡単に出来てしまうのって周りはすごいとか言うけどね。何がすごいかも分からない。
僕にとっては出来ることが当たり前だからね?
簡単にこなせてしまうような、つまらない日々に辟易としていた。そんな中、育成困難という言葉に惹かれて、ちょっとした気まぐれで、温室に足を踏み入れてみたんだ。
ただ結果は僕の望んだものとは異なるものとなったけど。
目的の花はすぐに人工栽培出来るようになった。大量栽培も可能かな。すぐに出来そうだ。
あの花から抽出できる成分から新薬も作れた。最近、流行っていた流行病の特効薬になり得るはずだ。
あぁ……難しい、不可能だって聞いたから始めたんだけど。
やる事がなくなってしまった。どうしようかな、この花が見たかったわけでもないし。
花を見ても満たされるものがないね?
「ーーーあぁ、つまらないな。」
僕しかいない温室に無機質な声が響く。
さて、これからどうしようか。
我が国では10歳から学園に通うことが義務付けられており、王族も例外ではない。
学園で学ぶことはすでに習得しているけど、人脈作り、つまりは有力な貴族の子供達と交流を持つために学園に通う。
僕が通うのは国でも最大規模の学園だ。貴族の中でも家柄と実力がともに優秀であるご子息ご令嬢が通う。
庶民にも門を開いているが、特に庶民は優秀でなければ通えない。国の優秀な子供たちが集っているわけだ。
とはいえ、交流など2年も必要なく、同じような変わりばえのしない日々を送る事になっていた。
しっかりとした教育を受けたご子息ご令嬢達は面白みのかけらもない。簡単に予測できる言動しかなく、面白くない。簡単に行動も操れるなんて、なんら価値のないものにしか禁じられないだろう?
ちょっと片手間に農地に出た害虫被害を解決してみたり、無能な貴族が治める地の民が高い税を払えず大変だと言うから無能な貴族を一掃し、その地が税を何なく払えるように工夫したりといろんなことをしてみたけど。
みんな簡単に解決できてしまった。
今回も難しいと言われる花を育てて見たけど簡単にできちゃったしね。
ーーーこれがあと6年続く。
うん。面倒だね。何か面白いことがあれば良いけど。
次はどうしようかな。
「学園に行くのをいっそ、やめてしまおうか。」
僕には1つ下の弟がいる。国の後継者には困っていない。
いっそのこと、あっちこちに出かけてみようか。そしたら、面白いものに出会えるかもしれないし。
「あら、学園に行きたくないんですか?」
ーーー…え?
僕が花を見ながら思案していると声がした。可愛らしい女性の声。だけど、おかしい。
ここには僕以外はいないはず。誰の立ち入りも許可してない。それに、声の主の姿も見えない。
僕は周りを見渡して見たけど、やっぱり誰もいない。
うん。どういうことだろう?
「ーーーえ?」
僕が頭を傾げるより先に僕の身体に変化があった。つい、声を漏らしてしまう。
視界が低くなったからおかしいなと思ったら僕の手は毛むくじゃらになっていた。
手だけじゃなく、身体中が触り心地が良さそうなふわふわの毛並みに変わっていた。お尻には尻尾も生えている。
うん、これは猫だね。なぜか僕は猫の姿に変わっていたんだ。
自分の姿を確認しているうちに、目の前には僕があらわれた。
うん。これも驚くことなんだけど、正真正銘、僕がいた。猫の姿を僕がしているからか気持ち大きく見えるけど。
背も見目も寸分違わず僕の姿をした何者かがいた。
というか、女の子の声だったはずだけど。僕の姿であの声を出したのかぃ?そんな事実は知りたくなかったな。
男の僕から可愛らしい女の子の声だなんて、気持ち悪いだろう?
うーん。
現状把握のために何があったか思い返したけど。やっぱり意味が分からないね?
目の前にいる子は何者かな?僕の姿をしているなら少なくとも魔法が使えるはずだ。
この世界に精霊という存在がある。精霊が大地に魔力を満たしてくれることで大地は潤う。精霊に好かれ、多くの精霊が住まう地は緑豊かで栄えた地となる。
僕ら人間には魔力はないけど精霊達に好かれる者は精霊の力を借りて魔法を使うことができる。
魔法が使える者をこの世界では加護付きと言われている。
その中でも特に精霊の姿が見ることが出来るものを心眼持ちと、精霊と友の契約を交わしている者を精霊付きと呼ばれている。
加護付きも心眼持ちも精霊付きもあまり存在しない。精霊の存在も、あまり知られておらず、一部の貴族達しか知らない事実だったりする。
魔法を使わない限り、僕の姿を型取り僕の目の前にあらわれるなんて無理だろう。
ここは僕が立ち入る場所だし、僕は王位継承一位の王子だからね。警備はきちんとしている。
ここまで侵入して、僕の目の前に僕の姿をしてあらわれるのは魔法のなせる技のはず。