MONOCHROME
核爆弾が全部爆発して
世界から色が消えたって
私は何も困らない
だって私の好きなモノは色がないから
私の好きな音楽は目に見えない
何か変わるわけじゃないけど
そっと囁くように歌うの
君にだけ聞こえるように小さな声で
愛していると唇が震える
星が瞬く夜…
命あるもの全て病に罹って
世界の色が見えなくなったって
私は多分慌てない
だって私の大切なものは色がないから
私の好きな小説は白と黒の二色
丸ごと暗記は出来ないけど
息を吐くように語りだすよ
君にだけ聞こえるようにか細い声で
アイラブユーと唇が揺れている
月が鈍く光る…
私の好きな人がいなくなっても
悲しいけど恐らく忘れられないと思う
色のない、モノクロの文字でつづられた
君の名前を、指でなぞって
そして泣きながら微笑むの
消えてしまわないように、優しく、優しく、ね
丁寧に包装した愛は溜まっていくばかり…
あぁ
そんな私の妄想は終わりを告げる
杖で歩く、よぼよぼのおばあちゃんですよ
二人で過ごした日々があまりに色彩に恵まれすぎていた
骨になって、灰になって、風に飛ばされていった
墓石もなんとなくぼやけているみたいです
私も、もうすぐモノクロになる
そしたら、また、あなたと、旅行がしたい
「いいね、そうしよう」と声が聞こえた気がした
叶うといいな
モノクロームの約束
二人の約束…