998.筆洗篇:準備万端で取り組む重圧
今回は「プレッシャー」についてです。
プレッシャーにはよいものと悪いものがあります。
悪いプレッシャーを避けて、よいプレッシャーを乗り越えましょう。
準備万端で取り組む重圧
小説を書くときに感じる重圧にはよいものと悪いものがあります。
よい重圧とはなにか、悪い重圧とはなにか。
それを知れば、気が楽になって執筆に取り組めます。
悪い重圧
準備不足でなんの対策もとらずに小説を書き始めたとき感じる重圧は、覆しようがありません。
とにかく焦って先走ってしまい、身動きがとれなくなってしまうのです。
俗に「エタる(エターナル:永遠に終わらない)」小説は、悪い重圧がかかっているから生まれます。
悪い重圧を抱えないためには、執筆の四段階を経ましょう。それだけで解決します。ステップをいくつか飛ばしてしまうから、身動きがとれなくなってしまうのです。
「企画書」で誰が主人公で「どうなりたい」「どうする」「どうなった」というどんな物語なのかの雛形を作ります。「あらすじ」でどんな出来事を巻き起こすかを決めるのです。「箱書き」でどんな場面をどの順番に出すのかを定めたら、迷うことなんてありません。
あとは「プロット」で「箱書き」の場面をどのように見せるのか。そこだけに注力すればよい。
じゅうぶんに練られた「プロット」があれば、本文の執筆で迷いません。
本文の執筆は「プロット」を清書するだけです。
この「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の四段階を経ていれば、「つまらない物語」にはなりません。
突飛な思いつきがあり、その着想を逸早く小説にして多くの方に読んでもらいたい。
その気持ちはわかります。
ですが、にわかの思いつきやひらめきだけで小説を書こうとするかぎり、悪い重圧は襲いかかってくるのです。
悪い重圧は、周到な準備でいくらでも改善できます。
準備を怠るから、「これで大丈夫なのかな」と不安な気持ちが先走るのです。
それなら、不安な気持ちがなくなるくらい準備を怠らないでください。
「これで大丈夫かな」と不安になるときこそ、執筆の四段階を再確認すべきです。
そうしなければ、いくら執筆に力を注いでも満足のいく成果は得られないでしょう。
時間をかけて書いたとしても、誰も思いもつかなかった着想を得たからにしても、準備が不じゅうぶんであればどうしたって不安な気持ちが頭をもたげてきます。
小説を書くのであれば、まずは執筆の四段階を着実に履行しましょう。
そうすれば「準備不足」による悪い重圧を感じることなく、執筆に打ち込めます。
重圧は小説を執筆するかぎり、ついてまわるものです。
その中で悪い重圧は準備次第で取り除けます。
要らない重圧を抱えないほうが、満足のいく作品に仕上がるのです。
あなたが今抱えている重圧は準備不足によるものではありませんか。
もしそうなら、いったん手を止めてでも執筆の四段階を踏まえるようにしてください。
よい重圧
じゅうぶん準備をしても感じる重圧があります。
いざ投稿となったときに思わず意気込んでしまう「武者震い」のようなものです。そういうときは開き直って初回投稿へ踏み出しましょう。
大丈夫です。あなたはじゅうぶんに準備を行なってきました。
準備に裏打ちされていれば、結果を伴う根拠があります。
よい重圧は、それだけ真摯に小説を書いてきた証拠でもあるのです。
投稿した小説があなたの想定通りの結果を収めるかは、実際に投稿するまでわかりません。どれだけ準備しようと、確実に成果が出るとは限らないのです。
執筆の四段階を経ているのに閲覧数(PV)が伸びない、ブックマークがつかない、評価が増えないのは起こりえます。
それはたいてい「あらすじ」「キャプション」が完璧でないからです。
閲覧数(PV)が少ないようなら、増えるまで何度でも「あらすじ」「キャプション」に手を加えてください。
ブックマークがつかないのは、「第一話」で興味を惹かれなかったからです。本来なら一度投稿した作品に手を加えるべきではないのですが、どうしてもブックマークがつかないようなら、意を決して「第一話」を再編集してください。もちろん「あらすじ」「キャプション」で再編集したことを告知すべきです。告知もせず安易に「第一話」を再編集すると、それまで閲覧してくれた読み手を置き去りにしてしまいます。そうなるとご新規さんは増えるかもしれませんが、ごひいきさんを逃すのです。だから「第一話」を再編集するのは「非常手段」と考えてください。
評価が増えないのは「あらすじ」「キャプション」と「第一話」に魅力がないからです。つまり閲覧数(PV)とブックマークを増やせば、自然と評価はついてきます。
それでも評価されづらい作品というものもあるのです。
とくに「テンプレート」から外れた小説は、面白さがわかるまでに時間がかかり、どうしても連載序盤では評価がつきません。その場合はじっくり腰を据え、「この作品はテンプレートではないのだから、すぐに評価はつかない。序盤十回までに読み手の心をつかめればよい」くらいの心構えが必要です。そうであれば、焦る必要もなくなります。
そもそも執筆の四段階「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」を経ていれば、いつ序盤の山を持ってきているのかは、本文執筆前にわかっているはずです。
どうしても第一話から評価を得たいのなら、第一話に序盤の山を作りましょう。
賀東招二氏『フルメタル・パニック!』では、第一話である「プロローグ」から派手なアクションを読ませています。ここで読み手の心をぐっとつかんでから、本来語るべき背景を第二話以降で読ませるのです。
「あらすじ」「キャプション」で釣り上げて閲覧してもらったら、「第一話」で読み手の心をがっちりつかんで離さないようにしてください。そうすればご新規さんを増やせますし、こひいきさんもあなたの連載を楽しみにしてくれます。
重圧を感じてしまうのは、ひとえに「準備不足」からです。
だからこそ、準備を怠ってはなりません。
「準備不足」の小説が成り上がれるほど、現在の小説投稿サイトは甘くないのです。
以前は「テンプレート」に従ってさえいれば、自ずとランキングポイントを獲得できました。しかし現在では「テンプレート」か否かではなく、魅力のある「あらすじ」「キャプション」「第一話」であることのほうが求められます。
もし「あらすじ」「キャプション」を工夫しても閲覧数(PV)が上がらない。「第一話」を再編集してもブックマークがつかないようであれば、その作品には読み手を惹きつけるだけの魅力がないということです。
連載十回くらいまでに閲覧数(PV)もブックマークも増えないのであれば、潔く連載を畳みましょう。その結果中編小説にとどまるかもしれませんが、これ以上連載を続けてもブレイクはしにくいはずです。そんな作品にこだわることなく、次の作品へ頭を切り替えましょう。
最後に
今回は「準備万端で取り組む重圧」について述べました。
基本的に重圧を感じるのは、準備不足によるものです。
準備万端整っていたら、そのとき感じる重圧は焦りでも不安でもなく、期待によるものだと思ってください。
これだけの準備をしてきたのだから、閲覧数(PV)も高くなる。ブックマークも増える。評価も高まる。そう期待するから重圧を感じるのです。
いくら重圧を感じても、結果は投稿した後でなければわかりません。
勇気を出して「第一話」を投稿するのです。
それでもし閲覧数が増えないようなら「あらすじ」「キャプション」を書き換えまくりましょう。いつかは多くの方に読んでもらえる「あらすじ」「キャプション」が書けるようになるはずです。
本文よりも次話投稿のたびに行なう「あらすじ」「キャプション」の書き換えは頭を使います。
だから本文は書きたいように書いてください。それで重圧を感じるようであれば、あなたは小説投稿サイトをうまく活用できません。
小説投稿サイトはいつでもどこでも投稿できて、閲覧できるのが最大の強みです。つまりいくらでもご新規さんはやってくる可能性があります。
そんなご新規さんに読んでもらうためにも「あらすじ」「キャプション」には本文以上に頭をひねってください。
そうすれば重圧とはおさらばできますよ。




