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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
敬語篇〜要点を押さえて違和感なく
952/1500

952.敬語篇:敬語と思い込んでいる口ぐせを改める

 今回は「間違えやすい口ぐせ」についてです。

 私たちは敬語でたいへん苦労します。

 できるだけ省力化してわかりやすい表現をしたくなる気持ちもわかるのです。

 しかし口ぐせやマニュアル敬語が本当に敬意がこもっているかはよくよく考えなければなりません。

敬語と思い込んでいる口ぐせを改める


 敬語ではない言葉が口ぐせになっている方が大勢いらっしゃいます。

 今回はそんな口ぐせを集めてみました。




「ほう」は敬語ではない

 敬語のつもりの「口ぐせ」になっているものがいくつかあります。

 たとえば「(ほう)」です。

 今の方は「(ほう)」を敬語だと思っている割合がけっこう高い。

「消防署のほうから参りました」「企画書のほうお持ちしました」と「(ほう)」を付ければ敬語だろうと思ってつい「(ほう)」を用いてしまうのです。

 しかし「(ほう)」に敬語や丁寧語の意味合いはいっさいありません。

 これはただの口ぐせです。

 迂遠な物言いが婉曲表現となって敬意につながると勘違いしています。

 正確に「消防署から参りました」「企画書をお持ちしました」と「(ほう)」を省いた形を憶え込んでください。




「的」は敬語ではない

 また主語に「的」を付けておっしゃる方も少なからずいます。

「私的にはこちらがお似合いかと存じます」「社内的には一応の合意を得ました」と「的」を使うことでへりくだった物言いをしている錯覚を起こしているのです。

 もちろんこの「的」もただの口ぐせ。

「的」を省いて「私と致しましてはこちらがお似合いかと存じます」「社内においては一応の合意を得ました」と書けばよい。

「的」は自己主張を抑えようとの意識が働きすぎなのです。「的」に敬語や丁寧語の意味合いはいっさいありません。




「とか」は敬語ではない

 相手の都合を聞こうとして「とか」を用いる方もいらっしゃいます。

「今夜とかご予定とかありますか?」「ファックスとかしましたか?」の「とか」も名詞をぼかしたいときに用いることが多いのです。

 しかし敬語はぼかす目的では使いません。相手を上に立てるか(尊敬語)、こちらを低めるか(謙譲語)だけです。

「今夜、ご予定はございますか?」「ファックスは送りましたか?」と丁寧語で直接聞いたほうがシンプルでわかりやすい。




「いや」「ですから」とは言わない

 よく聞く第一声に「いや」があります。

 通常第一声を「いや」にすると、こちらの発言を全否定されたような印象を抱くのです。

 それを「いや、おっしゃるとおりです」「いや、私もそのように思います」と肯定する意味で用いてしまう口ぐせをお持ちの方が多い。

 第一声を「いや」と言われるだけでも「あなたの意見は全否定しますよ」の意味合いが伝わってしまいます。

 口ぐせとなっている方は、第一声で「いや」を用いないよう意識してください。


 第一声にふさわしくないものに「ですから」もあります。

 相手の発言の直後に第一声で「ですから」と言ってしまうと、「まだこちらの言うことがわからないの?」という意味合いに受け取られるのです。

 説得しようとする意識が強すぎるからでしょう。

「いや」に次いで相手から嫌われる第一声なので、こちらも用いないよう意識してください。




「〜になっております」は変身している最中か

 口ぐせではないのですが、マニュアル敬語にも違和感を覚えます。

 マニュアル敬語の中でもとくに面白いのが「〜になっております」です。

「こちらが企画書になっております」「こちらが新商品になっております」に違和感を覚えませんか。

 まるで、それまで「ただの紙」だったものが目の前で「企画書」に変化しているような印象を受けます。「中古品」が目の前で「新商品」に変化しているのでしょうか。

 手品のような摩訶不思議な文が出来あがります。

「こちらが企画書です」「こちらが新商品です」、より丁寧に「こちらが企画書でございます」「こちらが新商品でございます」と表現してもよいでしょう。

「御〜になる」が尊敬語なので、つい「〜になる」も敬語だと誤認してしまうのです。

 しかし「御〜になる」の「〜」は通常動詞が入ります。しかし「〜になる」の「〜」は通常名詞が入るのです。

 だから「こちらがラーメンになります」と書けば「今はラーメンでないものが、目の前でラーメンに変化する」ような表現が出来あがります。




「よろしかったでしょうか?」は健忘症か

「カレーライスでよろしかったでしょうか?」の「よろしかったでしょうか?」はおかしな雰囲気を感じませんか。

 これは常体に直すとわかりやすい。「カレーライスでよかったですか?」と過去形にすることで丁寧さを強調したいのでしょう。

 しかし注文は今聞いたばかり。それを過去形で言われるとは、この店員は本当に注文を聞いていたのでしょうか。

 ここは現在形に戻して「カレーライスでよいですか?」の丁寧語「カレーライスでよろしいでしょうか?」が正しいのです。




名前はもらうものではない

 相手の名前が知りたいときに「お名前頂戴できますか?」と聞く方もいます。

 しかし常体に直すと「名前もらえるか?」、それを丁寧語・美化語にしても「お名前もらえますか?」となるのです。名前はもらうものでもあげるものでもありません。名前をもらったとして、その名を悪用するのではないかとも考えられますよね。

「頂戴する」ではなく「いただく」にしてもおかしいことに変わりありません。「お名前いただけますか?」もやはり名前をもらっていますよね。

 相手の名前が知りたいのであれば「お名前をお聞かせ願えますか?」「お名前をお聞かせくださいますか?」「お名前をお教えいただけますか?」と直接聞けばよいのです。





最後に

 今回は「敬語と思い込んでいる口ぐせを改める」ことについて述べました。

 思い込みとは恐ろしいもので、口にしている方は「敬意を込めている」と思って使っているのに、相手がおかしな感情を抱きます。

 その口ぐせは本当に敬語なのか。

 一度立ち止まって考えるようにしてください。




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