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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
惹起篇〜このことに気づいていますか
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893.惹起篇:アイデアが湧かない人はプロになれない

 今回は「アイデア」で差をつけることについてです。

「エピソード」の違いが「アイデア」の差となって現れます。

アイデアが湧かない人はプロになれない


 小説のプロを目指している方に、身も蓋もないことを言います。

「アイデアが湧いて出てくるような人でないかぎりプロにはなれません。たとえなれたとしてもいずれストックが枯渇して書けなくなります」




テンプレートに依存しない

「湧き出るアイデア」の中に「テンプレート」のアイデアは含まれません。

「テンプレート」は誰もが使える湧水地です。それを活かして小説を書いたところで、他のアマチュア作品と大差ないものしか生まれないのです。

 だから小説のプロを目指している人は「テンプレート」に頼ってはなりません。

「あなただから書ける小説」が必ずあるはずです。

 あなたの人生を振り返ってみてください。

 他の人が経験したことのない出来事を体験しませんでしたか。

 誰かが体験したことがありそうな出来事であっても、人数が限られそうな出来事はありませんでしたか。

 それが「あなただから書ける小説」のタネなのです。

 人生を振り返った結果、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学を経て社会人として世間に出てきた。もちろん現役中学生や現役高校生もいるでしょう。

 その人生の中で「これは誰も経験したことはないだろう」と思うことがひとつはあるはずです。

 しかしひとつだけでは心(もと)ない。

 いかにして誰も書かない、あなたにしか書けない小説を書けばよいのでしょうか。



エピソードで差をつける

 小説の「企画書」段階で他の書き手と差をつけることはまずできません。

 なぜなら「企画書」は「主人公はどうなりたい」から「主人公はどうなった」までの雛形であり、同じ内容の「企画書」は誰かが必ず書いてきたはずだからです。

 では他の人と差をつけるにはどうすればよいのでしょうか。

「企画書」に加える「エピソード」を他人と差別化すればよいのです。

 マンガの尾田栄一郎氏『ONE PIECE』では主人公が「悪魔の実」を食べることで特殊能力を得る「エピソード」が初めにあります。「悪魔の実」というアイテムを使って、主人公を超人化させるのです。

 マンガの桂正和氏『ウイングマン』では主人公が「ドリムノート」の力で無敵なヒーロー「ウイングマン」へ変身する「エピソード」が初めにあります。「ドリムノート」が主人公をヒーローの姿に変えたのです。

 主人公を超人化させる「エピソード」はファンタジー小説のみならず、冒険小説・アクション小説でもよく見られます。

 それを「悪魔の実」「ドリムノート」というアイテムにしたところが、独自性(オリジナリティー)を主張できる部分です。

 そしてポドリムスのリメルからの刺客を倒していく「エピソード」や、海賊船と仲間たちを次々と手に入れる「エピソード」が続いていきます。

 主人公や仲間たちの成長も「エピソード」として読ませられるのです。

「エピソード」を工夫することで、アイデアの泉は枯れません。

 渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』では主人公の比企谷八幡が国語教師で生活指導担当の平塚静から「奉仕部」に入ることを強要される「エピソード」が冒頭にあります。

 川原礫氏『ソードアート・オンライン』では主人公のキリトがVRMMORPG「ソードアート・オンライン」にログインして、デスゲームに変化した「エピソード」が冒頭に来るのです。

 いずれも「書き出し」に書いてあるわけではありませんが、冒頭十ページ以内には書かれています。

「エピソード」さえ思いつけば、いくらでも小説は書けるわけです。




登場人物と物語を絡ませる

 物語には登場人物が不可欠です。

 ただ登場人物を出せばよいのではなく、物語と絡みつけてください。

 登場人物と物語が有機的に絡み合っていれば、面白い物語に発展する可能性が高まるのです。

 面白い物語に発展させるには、登場人物の造形も物語の「エピソード」も、まったくのゼロから考えてください。

 すでに発表されている面白い物語に登場する登場人物から端を発したり、「エピソード」を模倣したりするのを独自性(オリジナリティー)とは呼びません。

 どこかで読んだような、またドラマや映画などで観たようなものでは駄目なのです。

 どうしても「エピソード」が思い浮かばなければ、まったくジャンルの異なる作品から「エピソード」のタネを探しましょう。

 そして「エピソード」を膨らませて、物語の屋台骨を構成するのです。

 ジャンルの異なる作品からネタを探す場合であっても、そのまま援用するのではただのパクリになります。

 探してきたら、あなたの書きたいジャンルに溶け込ませる作業をじゅうぶんに行なってください。

「剣と魔法のファンタジー」の世界に「推理」を持ち込むと、基本的には物語が破綻します。

 だって魔法があれば、犯行現場にテレボートしてやってきて、殺害後テレボートで現場から離れられるのですから。遠くから魔法の矢を放って射殺すことだってできます。邪悪なモンスターに命令して殺させることだってできるのです。

 たとえテレボートの魔法がなくても、「過去を覗き見る魔法」があれば、殺害した犯人はすぐに割れてしまいます。

 これでは「剣と魔法のファンタジー」に「推理」を持ち込むのは不可能ですよね。

 それでも魔法を用いることなく、「推理」を純粋に楽しむためには工夫が要ります。

 魔法が使えない場所が犯行現場だったり、衆人環視下での犯行だったり。逆にまったく証拠の残らない犯行をしていて、「過去を覗き見る魔法」でも見破れないなどですね。


「エピソード」には小説の流れを可視化する目的があります。

 流れが見えてこない「エピソード」は失敗です。もっと流れをはっきりさせましょう。

 ジャンルに不似合いな「エピソード」を持ち込まないよう注意するのです。





最後に

 今回は「アイデアが湧かない人はプロになれない」ことについて述べました。

 プロになれば、あなたが書きたい小説を書かせてもらえないのです。

 書きたくもない小説を連載していくには、独特な「エピソード」を入れ込む必要があります。

 ですが、ジャンルに不似合いな「エピソード」は困りものです。

「剣と魔法のファンタジー」に「推理のエピソード」を持ち込んでも、成立するはずがありません。

 必ず破綻します。

 こういったミスマッチを回避しながら、新しい発想の「エピソード」を取り入れるようにしてください。




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