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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
回帰篇〜あきらめないで書きましょう
793/1500

793.回帰篇:結末を決めなければ書けない

 カーナビは始めに「目的地」を入力しないと案内してくれません。

 小説も、始めに「結末」を決めないと書きようがないのです。

 えっ? 「結末」を決めずに連載小説を書き始めてしまったですって!?

 今からでも遅くありません。早急に「結末」を決めましょう。

 そうすれば未完の連載小説を抱えずに済みますよ。

結末を決めなければ書けない


結末(エンディング)は物語の目的地

 小説は「結末」を決めていなければ、うまく書き続けられません。

 長編小説、短編小説、ショートショートはとくに、「結末(エンディング)」を決めなければ道に迷います。

 長きにわたる連載小説も、「結末(エンディング)」を朧げながらも見ながら書き始めたほうが、とても簡単に書けるはずです。

「カーナビ」を使うとき、まず「目的地」を入力します。なぜでしょうか。

「目的地」がわからないと、案内のしようがないからです。

 もし「目的地」がわからなければ、「カーナビ」は運転手の役には立ちません。

 小説を書くのも一緒です。

「目的地」つまり「結末(エンディング)」がわからなければ、どのような道のりを通ってたどり着けばよいのか、途方に暮れてしまいます。

 とりあえず書き出してみたはよいものの、どのように「結末(エンディング)」を見つけて、そこへ向かって正しく走り出せばよいのかがわからないのです。

 小説にはふたつの書き方があります。先に「考えてから書く」方法と、「書きながら考える」方法です。(これについては後日一本コラムを書きます)。

 また物語が脇道に逸れて展開することもあります。脇道に逸れても「結末(エンディング)」がわかっていれば、いつでも本道に戻れるのです。もし「結末(エンディング)」がわかっていないとどうなるか。脇道に逸れてもそれが「脇道」であることに書き手自身すら気づきません。「脇道」だったものが、いつの間にか「本道」になっていたということが起こりうるのです。

 書き手が小説を通して伝えたいメッセージは「結末(エンディング)」に表れます。

 あなたの小説に「メッセージ性がない」と指摘されるのは、先に「結末(エンディング)」を決めていないからです。




脇道に寄らない

 小説は「脇道」をことさら嫌います。ちょっとした寄り道程度であればよいのです。コンピュータRPGでも「本道」の他に「サブクエスト」をこなせます。ですが「サブクエスト」はクリアしなくても「本道」にほとんど影響がありません。ですが小説では「サブクエスト」つまり「脇道」に手を出したら、その「脇道」にケリを付けないで「結末(エンディング)」で終われないのです。

 「脇道」が頻繁に発生するのは「結末(エンディング)」が決まっていないからでしょう。あっちへフラフラ、こっちへフラフラと進むことで「散漫な小説」だと断じられます。

 これはとくに連載小説でよく見られる症状です。長編小説はたったの原稿用紙三百枚・十万字しか書けません。だから「脇道」に寄っている余裕がないのです。それより短い短編小説やショートショートは「脇道」を意識すらできません。

 連載小説であっても「本道」だけを追うべきです。「本道」の先にある「結末(エンディング)」まで贅肉のない文章、つまり「最短距離」を書けば、読み手にメッセージを直接伝えられます。「メッセージ性のある作品」は、つねに「結末(エンディング)」まで「最短距離」で書いてあるものです。一見「脇道」のように見えても、その結果が「本道」の「結末(エンディング)」に影響を与えます。分量に制限のない連載小説であっても「脇道」を書く暇はないのです。

 どうしても「脇道」に寄りたければ「外伝」を書きましょう。

 田中芳樹氏『銀河英雄伝説』、水野良氏『ロードス島戦記』、賀東招二氏『フルメタル・パニック!』、近しいところでは川原礫氏『ソードアート・オンライン』、鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』、渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』などは、いずれも「外伝」が存在するのです。

「外伝」を「本道」と分けてあることで、「本道」は「最短距離」をムダなく書き続けられます。上記はいずれも質の高い作品ですよね。




なにが言いたいのか答えられるようにする

 ここまで「本道」と「脇道」のことを書きました。

「本道」が明確であれば、あなたはこの小説で「なにが言いたいのか」と質問されても即答できるはずです。言いたいことは「結末(エンディング)」で表しています。その「結末(エンディング)」を読ませたいがために長編小説や連載小説を書いてきたのですから、即答できて当たり前です。

「なにが言いたいのか」が明確になれば「結末(エンディング)」の形も変わります。その「結末」へ向けて伏線を張っていき、出来事を設定していけば、「なにが言いたいのかわからない」と読み手から指摘されることもなくなるのです。

 対して「なにが言いたいのか」答えられない書き手の方は、「結末」でなにを伝えたいのかを明確にしておきましょう。「なんとなく」ではダメなのです。明確にすることで文章から贅肉が削ぎ取られて、洗練された文章に仕上がります。そういう文章を読めば、あなたがこの小説で「なにが言いたいのか」を読み手へ確実に届けられるのです。

 そして「なにが言いたいのか」を端的に表せることは、「小説賞・新人賞」へ応募する際に「梗概(こうがい)」を書くうえでもおおいに役立ちます。「梗概(こうがい)」とはいわゆる「あらすじ」のことです。




梗概(こうがい)はなにが言いたいのかを真っ先に書く

梗概(こうがい)」は最初の一文で、この作品は「なにが言いたいのか」を端的に書くことが求められます。そうしてから主人公の属性や出来事を書いてその結果を「すべて書く」のです。

 そうなのです。「梗概(こうがい)」は書き手の手の内を選考さんに最初からすべて明かさなければなりません。それなのに「なにが言いたいのか」を文頭に書いていない「梗概(こうがい)」が多いのです。とくに小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」は、本文も「梗概(こうがい)」もすべて小説投稿サイトで公開しなければなりません。選考さんのために手の内をすべて明かそうとすると、これから応募作を読んでみるかと思い立った読み手の方々にまで「タネがすべてバレてしまう」ことになります。それが怖くて、多くの応募者は「なにが言いたいのか」に言及しない「梗概(こうがい)」を書いてしまうのです。

 小説の裏表紙に短い「あらすじ」が書いてありますよね。そちらは「どんな主人公がどんな出来事に出会うのか」は書きますが、「なにが言いたいのか」や「どういった解決を見せるのか」といった部分を隠して読み手の興味を誘うように書くのです。

 そうすることで読み手は「本文を読む楽しみ」が膨らんできます。

梗概(こうがい)」と「あらすじ」はまったくの別物です。「小説賞・新人賞」の「梗概(こうがい)」で手の内をすべて明かさなければ、選考では論外とみなされます。「小説賞・新人賞」に応募したいのなら、手の内はすべて明かしてください。それでも「面白い作品」は誰が読んでも「面白い」ものです。





最後に

 今回は「結末(エンディング)を決めなければ書けない」ことについて述べました。

 小説という「カーナビ」を動かすには、「目的地」つまり「結末(エンディング)」を決めなければなりません。

 脇道に寄らないことも重要です。どうしても脇道に寄りたいのなら「外伝」を書きましょう。多くの有名作が「外伝」を書いているのです。

 そして「結末(エンディング)」が決まれば「なにが言いたいのか」も明確になります。

「小説賞・新人賞」の選考において「なにが言いたいのか」を「梗概(こうがい)」の一文目に書きましょう。

「小説賞・新人賞」で求められる「梗概」は、物語の「すべて」を書かなければなりません。

 小説投稿サイトを利用して応募している場合、読み手が応募作を読もうとして「トップページからすべて丸わかりの状態で小説を読まれるのは嫌だ」という考えは捨ててください。「梗概(こうがい)」ですべてを明かさなければ肝心の「小説賞・新人賞」も授かれませんよ。




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