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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
中級篇〜少しわかってきたら、ちょっと意識してみましょう
70/1500

70.中級篇:推敲する

 いよいよ中級篇もラストに近づきました。

 投稿する前に「推敲」することを忘れないようにしましょう。

推敲する


 小説を書くだけでなく、論文でも記事でも必ず必要なのが「推敲」です。

 「推敲」とは「正しい意味が読み手に伝わるように文章に手を入れる」ことを指します。

 では「推敲」する際の手順はあるのでしょうか。小説における推敲の仕方を見てみましょう。




最初の推敲はプロット創り

 ここまでのコラムを読んできた方ならおわかりかと思いますが、念のために「小説」ができる過程を振り返ります。


 まず「命題(テーマ)」を決めます。「不変の愛」でもいいですし「世界平和」でもいいですし「心理戦」でも構いません。

 大場つぐみ氏&小畑健氏『DEATH NOTE』は主人公夜神月と「対になる存在」Lとの「心理戦」でした。


 次に「あらすじ」を創ります。「主人公がどうなりたい」からスタートして「主人公がどうなった」で終わる単純明快な物語の大枠です。

 尾田栄一郎氏『ONE PIECE』なら「主人公は海賊王になりたい」からスタートしています。まだ完結していないので「主人公がどうなった」かはさっぱり見当がつきませんけどね。これだけ連載を続けていると終わらせ方もかなり難しくなってしまうのではないでしょうか。連載年数を考えてもすでにグランドラインから地球を百回以上は回っているはずなんですが、いっこうにゴールド・ロジャーが遺した『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』にたどり着けません。


 あらすじが決まったら「プロット」を創ります。「プロット」創りに必要なのは「ネタ帳」と「箱書き」です。新聞や雜誌やテレビやSNSなどの記事「ニュース」の「ネタ帳」と、他人の創作物に触れて気づいたこと感じたこと思いついたことを書いた「イメージ」の「ネタ帳」から「あらすじ」に当てはまりそうなものをピックアップして「箱書き」に記します。

 そしてこの「プロット」を決める過程が「最初の推敲」になるのです。


 なぜ「プロット」創りが「最初の推敲」なのか。それは「ムダを省く」ためです。

 小説読本の中には「文章を頭から最後まですべて書き終えてから、物語の構成を入れ替えるか削るか付け加えるかしなさい」というものがあります。

 でもこれだとすべて書き終えてからでないと「推敲」ができません。

 今はインターネットの小説投稿サイトで小説を連載する時代です。すべて書き終えてから「推敲」するなどという効率がひじょうに悪い方法を採るべきではありません。

「プロット」は「箱書き」を並べ替えて創ります。

 その際に「ここはつながりが悪いから間に新たな箱書き(シーン)を追加しよう」「ここは冗長だから要らない箱書き(シーン)を削ろう」「ここは時系列が乱れてしまうから時間軸通りに箱書き(シーン)を並べ替えよう」と考えること。それがすでに「推敲」なのです。

 そして一度決めた「プロット」は連載を終了するまで変えないでください。一部でも変えてしまうと「主人公がどうなった」まで変わってしまう恐れがあります。そうなってしまうともう書き手に小説をコントロールできなくなるのです。

 執筆途中で「プロット」を変更しないこと。つまり「箱書き(シーン)」を一度決めたらそれはもう動かさない。そのつもりで「プロット」創りに注力してください。

 連載する小説が駄作になるか傑作になるかは「プロット」創りにかかっています。




一回の投稿ぶんを書き終えたら推敲

 一回の投稿ぶんで書くことは「プロット」へ記された「出来事(箱書き)」に従います。

 とりあえず頭で思い描いたように一回の投稿ぶんを書き終えてください。

 書き終えたら「いったん頭を冷やして記憶を消し」ます。記憶が消えたら書きあげた原稿を眺めるのです。

 そして「プロット」「箱書き(シーン)」と文章を見比べて過不足がないか照らし合わせます。

 描写が冗長だと思ったら思い切って削り、足りないと思ったら描写を付け加え、「プロット」「出来事(箱書き)」の意図するところと同じ文章が書けていたらそこで「推敲」は終わりです。

 この過程を何度も繰り返していれば、最初の執筆(初稿)でほとんど過不足のない文章が書けるようになります。

 そのためにも小説を連載することで書き手が得られるものは大きいのです。ぜひ小説は連載しましょう。


 なぜ「いったん頭を冷やして記憶を消す」のか。書き手は小説を書くとき脳内で「明確にイメージを構築」しているからです。

 このイメージが残っているうちに「推敲」を行なっても勝手に脳内で補完してしまい、どこに過不足があるのか見分けられません。だから「いったん頭を冷やして記憶を消す」必要があるのです。

 脳内からイメージが消えていれば、書かれた文章を読んで過不足がすぐに判別できます。




投稿直前に誤字脱字を推敲

「出来事(箱書き)」「プロット」と過不足のない文章に仕上がったらすぐにでも投稿したいところですが、ちょっと待ってください。大きな落とし穴が口を開けているかもしれません。

 投稿する前に必ず「誤字脱字」のチェックを行ないましょう。せっかくいい文章が書けたのに「誤字脱字」ですべてぶち壊しという事態は往々にして起こります。私もよくやってしまうのです。

 このとき「表記の統一」と「送り字の統一」も確認してください。


「表記の統一」は「聞く」を「耳に入ること全般」で用い、「聴く」を「音楽などを鑑賞する目的で耳に入れること」で用いるような場合です。他の部分で「聴く」と書いてあるところで「聞く」と書いてしまえば、表記は統一されません。

 これは連載小説では誰でもうっかりやってしまうことです。連載が長くなればなるほど「表記の統一」は難しくなります。


「送り字の統一」は「行く」「行う」と送り字する場合「いった」も「おこなった」も「行った」と送り字しなければならないということです。

 どちらにも読めて都合が悪いのならあらかじめ「行く」「行なう」という送り字に統一しておきます。

「行く」「行う」と送り字するのに「行なった」だけ「な」を追加して送るのは反則だということです。こちらも連載小説ではやらかすことが多いので注意しましょう。


 連載すべての回で「表記の統一」「送り字の統一」をするには、自分なりのルールをあらかじめ作っておくべきです。

 つまり頭の中に自分専用の「用語用例辞典」を作るということです。一流の書き手は全員自分専用の「用語用例辞典」を持っています。

 そして完成した原稿を見た「校正」さんが「ここは表記が揺れていますけど大丈夫ですか」と書き手に聞いてくるときがあります。そのとき「ここはこの表記でいいんです」と自信を持って答えられること。それが書き手には求められます。

 そのためにも頭の中に自分専用の「用語用例辞典」を作ってください。




投稿したら手を入れない

 小説投稿サイトに一度投稿したら、できるだけ手を入れないことです。

「見出しに指定し忘れたので修正する」なら手を入れてもいいでしょう。

「よくよく見てみたら誤字脱字があったので修正したい」もまぁいいでしょう。

 しかし文意や文脈や文章自体を書き換えるなんてことは絶対にしてはいけません。


 あなたの小説を初めて読んで「連載第一回から読みたいと思ってくれる読み手」だけがあなたの想定する読み手なら手を入れてもいいでしょう。しかし「ここまで連載を読んでくれた読み手」もあなたの想定する読み手であるなら、彼らの知らないうちに文意や文脈や文章自体が書き換えられていたなんてことをしてはいけません。

 「せっかくここまで読んできたのに、いつの間にか話が変わってしまっているじゃないか」と憤慨する読み手が必ず出てきます。そうなるとコメント欄が大炎上すること必至です。

 だから一度投稿したら、もう二度と手を入れないようにしましょう。誤字脱字もかわいいものだと思える日がいつか来るはずです。それは「あぁ、このときはまだまだ若かったなぁ」と懐かしく振り返られる、あなたの一里塚です。





最後に

 今回は「推敲」について述べてみました。

 「推敲」はプロット創りが最大になります。ここでプロットが固まらなければ小説を連載することなんてできはしません。

 行き当たりばったりではいつか必ず綻びが生じます。一度綻んでしまったら読み手はさあっと離れていくのです。

 完璧な「プロット」が出来たら、後は連載するために文章を書き連ねます。一回の投稿ぶんが出来あがったら「箱書き(シーン)」「プロット」と照らし合わせて過不足のないように手を入れます。その結果過不足がなくなれば投稿する準備に入るのです。

 でも投稿する前に最終チェックです。

「誤字脱字」はありませんか。

「表記の統一」「送り字の統一」は保たれていますか。

 この期に及んで文章を書き換えたいなどと思ってはいけません。

 投稿する直前ならもう投稿したも同然です。書き手であるあなたが「過不足のない」状態だと判断したからこそ投稿しようと思ったのでしょう。その判断に「根拠のない自信」を持ってください。

 初めのうちは文字通り「根拠のない自信」ですが、連載を重ね、作品を重ねていけば「揺るぎない自信」へと進化していきますよ。

 さぁ、後は小説投稿サイトに投稿するだけです。あなたの作品を世に放ってください。そのリアクションが芳しくなくても、連載は予定通り進めていきましょう。「プロット」通りに書ける実力をつけるためにもです。

 苦労して書いた小説が小説投稿サイトに残り続けていれば、いつか誰かが気づいて世間に広まるかもしれません。

 あなたが出版社から「紙の書籍化」を打診されたら、読み手は間違いなく過去作を読んでくれます。過去作はいい意味で「遺産」となるのです。




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