表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
事典篇〜剣と魔法のファンタジーの決まりごと
655/1500

655.事典篇:北欧神話:アース神族1・フリッグの縁者

 今回は「北欧神話」に出てくるオーディン率いるアース神族の中で、オーディンの正妻フリッグに連なる者をまとめました。

 その他に、ヴァン神族との戦争終結でヴァナヘイムへ送られた二柱の神についても述べています。

 ヘーニルはラグナロクを生き延びる数少ない神の一柱となるのです。

事典【北欧神話:アース神族1・フリッグの縁者】


 今回はアース神族のうち、ヴァナヘイムへ送られた者たちと、主神オーディンの妃である女神フリッグに連なる神々についてまとめました。




アース神族


ヴァナヘイムへ送られた神

ヘーニル

 アース神族とヴァン神族の休戦による人質としてヴァン神族の世界ヴァナヘイムへ送られました。賢い男ミーミルが同行しました。ヴァン神族はヘーニルを自分たちの王に据えたのです。しかし彼は見栄えはよかったですが優柔不断で、なにを決めるにも一緒にヴァナヘイムへやってきたミーミルを頼ったのです。これに不満を覚えたヴァン神族はミーミルの首を刎ねてアスガルドへ送り返しました。

 その後の処遇がどうなったのかはわかりませんが、ラグナロクを生き残る数少ない神のひとりとなるのです。


ミーミル

 賢者の神。オーディンの伯父にあたる霜の巨人。

 アース神族とヴァン神族との戦いが終わり和睦した際、アース神族側からの人質としてヘーニルとともにヴァナヘイムへ送られます。ヴァン神族はヘーニルを首領にしたが、彼が期待したような人物でないことが判明すると、ミーミルの首を切断してアース神族の元へ送り返したのです。

 その後オーディンは首が腐敗しないように薬草を擦り込み、魔法の力で生き返らせて、たいせつなことは必ずこの首に相談したと伝えられています。「ラグナロク」が到来した際も、オーディンは真っ先に首の助言を仰ぎました。

 彼がひじょうに賢いのは、彼が守っている「ミーミルの泉」の水をギャラルホルンで飲んだためだといわれています。ミーミルは水を飲む代償としてオーディンの眼球を抵当に入れるよう求めたこともあるのです。そしてオーディンは片目を取って泉に投げ込み、泉の水を飲むことで多くの知識を得たといいます。





フリッグの血族・侍女

フリッグ

 愛と結婚と豊穣の女神。

 男神フィヨルギュンの娘。オーディンの妻でバルドルの母。最高位の女神。オーディンとともに玉座フリズスキャールヴに座す権利を持ちます。フリッグの宮殿はフェンサリルといい、たとえようもなく豪華な場所だといわれるのです。

 物静かな賢母で、フレイヤと同じく「セイズ」という魔術に長け、身にまとうと鷹に変身して空を飛べる「鷹の羽衣」を持ち、黄金に対しての欲は凄まじいものがあります。そのためフリッグとフレイヤは同一視されたのです。

 神話内ではバルドルの保護や復活に奔走した良き母としての描写が見られます。

 フリーン、フッラ、グナーという名の女神が侍女とされるのです。

 第二位の女神であるサーガもフリッグと同一視されることがあります。


フリーン

 フリッグの侍女を務める三女神。人間を守護するのが役割。


フッラ

 フリッグの侍女を務める三女神。フリッグの妹とも。黄金のバンドを締め、トネリコの箱をもっており、女神フリッグの履物の手入れをします。フリッグはフッラを信用して自身の秘密を打ち明けるのです。また人間との仲介役も任され、またバルドルの死後、ヘルに在るバルドルから黄金の腕輪、あるいは指輪を贈られます。


グナー

 フリッグの侍女を務める三女神。フリッグに命じられてさまざな国へ使いに出されます。その際グナーは空も海も駆けることができるホーヴヴァルプニルという馬に跨るのです。


バルドル

 光の神。父はオーディン、母はフリッグ。妻はネプの娘ナンナ。息子はフォルセティ。

 最も賢明で、美しく光り輝く美貌と白いまつ毛を持ち、神々の中で最も美しく万人に愛されました。雄弁で優しいとされ、やや優柔不断な面もあったが彼の裁きは不偏であるといわれています。

 ブレイザブリクに館を建てて住み、フリングホルニという巨大な船を所有しています。

 ロキの奸計により異母弟ヘズにより殺されるが、ラグナロクで世界が滅びた後に現れる新世界に甦り、ヘズとともに暮らしたとされています。

 バルドルが悪夢を見たことを心配した母フリッグが世界中の生物・無生物に彼を傷つけないよう約束させたのです。そのためいかなる武器でも彼を傷つけることができなくなりました。しかしこのとき実はたったひとつヤドリギだけは若すぎて契約できなかったのです。

 傷つかなくなったバルドルを祝い、神々はバルドルにさまざまなものを投げつけるという娯楽にふけっていました。ですがヤドリギのことを知ったロキは、バルドルの兄弟で盲目のために遊戯の輪から外れていた神ヘズをたぶらかし、ヤドリギ(魔剣ミスティルテイン)を投げさせます。これによりバルドルは命を落としてしまったのです。

 これを嘆いたフリッグに応えて、バルドルの弟ヘルモーズが死の世界ヘルヘイムへ向かい、女王ヘルに彼を生き返らせるよう頼みます。ヘルは「本当に、全世界の者が彼のために泣いているというのならば生き返らせてやろう」と約束したのです。

 フリッグの頼みで本当に全世界のあらゆる生物・無生物が彼のために泣きます。しかしたったひとり巨人の女セック(ソック)が泣かなったのでバルドルは戻ってこなかったのです。セックの正体が実はロキで、このことから彼は神々に囚われて罰を受けることとなります。

 バルドルの死によって光を失った世界は、やがて「ラグナロク」を迎えるのです。


俊敏のヘルモーズ

 アース神族でオーディンの息子。バルドルの弟だがフリッグの息子とは明言されていません。

 ロキの奸計によって兄であるバルドルが命を落とした際、オーディンの命により八脚の神馬スレイプニールを駆って冥府の女王ヘルのもとに向かったのです。ギョッル川に架かった橋ギャッラルブルーのところで番をしている女巨人モーズグズから道を教えてもらい、ヘルの垣根を越え、館へ進んでその広間で兄バルドルと再会します。

 ヘルモーズは兄と一晩過ごし、翌朝ヘルと会って兄の黄泉還りを願ったのです。ヘルは「全世界の者がバルドルのために泣くならば」と蘇生に条件をつけます。

 アスガルドへ戻る前にヘルモーズは、バルドルから父オーディンへの贈り物として、バルドルと一緒に焼かれたドラウプニルを渡されました。またバルドルの妻ナンナからは、バルドルの母フリッグと、女神フッラへの贈り物を託されました。

 ヘルモーズから報告を受けたフリッグの頼みにより、あらゆる生物・無生物が彼のために泣いた。しかしロキが変身した女巨人セック(ソック)だけが泣かなかったので、バルドルの復活はついに叶わなかったのです。


ナンナ

 ネプの妹で、バルドルの妻。フォルセティの母。

 アスガルドのブレイザブリクの殿堂でバルドルと一緒に暮らしています。

 バルドルがロキの裏切りによって盲目の神ヘズに誤って殺されたとき、彼女は悲しみに打ち倒されて死んだのです。その後彼女はバルドルと並んで彼の船フリングホルニの上の火葬用積み薪に置かれ、海へと送り出されました。後にヘルモーズが黄泉の国からバルドルを連れ戻すべくヘルの館に入ったとき、彼はバルドルがナンナと並んで高位の席にいるのを見たのです。二人はヘルモーズに他の神々への贈り物を届けさせました。それらはフリッグへの布、フッラへの指輪、さらにオーディンへ送り返されるドラウプニルです。


フォルセティ

 バルドルとナンナの息子。グリトニルと呼ばれる彼の宮殿は、黄金の柱と銀の屋根でできており、その輝きは遠く離れたところからでも見えたといいます。揉め事を持ってきた者がこの場所で全員和解して帰っていくことから、グリトニルが神々や人間にとっていちばん良い法廷であると書かれています。

 アスガルド中で賢明かつ雄弁な神であると考えられます。父バルドル同様、平和を愛する優しい神であったので、彼の裁きを受けた者は、彼の判決に従うかぎり安全に生きることができました。


ヘズ

 盲目の神。オーディンの息子でバルドルの弟。

 兄であるバルドルをその唯一の弱点であるヤドリギ(ミスティルテイン)で貫きます。後に弟のヴァーリに復讐され殺されました。「ラグナロク」後はバルドルとともに復活して和解し、新たな世界を治める若い神のひとりとなります。





最後に

 今回はヴァナヘイムへ行ったアース神族と、女神フリッグと関係が深い神々についてまとめました。

 とくにバルドルは「ラグナロク」の引き金となった存在なので、押さえておきましょう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ