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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
中級篇〜少しわかってきたら、ちょっと意識してみましょう
64/1500

64.中級篇:先を読ませない

 途中で「ネタバレ」してしまうと読み手は興が醒めてしまいます。

 どうすれば回避できるでしょうか。

先を読ませない


 小説はどこまで読んでいても「先が読めた」らそれ以降読まれなくなります。前回お話した「ネタバレ」です。

 どうして「先が読める」小説を書いてしまうのでしょうか。「ネタバレ」を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

 少し考察いたします。




展開が単調だと

 物語が複雑でなく一本の筋をたどるような小説なら、読み手は簡単に「先が読める」ものです。

 しかし物語をあまりに複雑にしすぎると、逆に読み手から敬遠されてしまいます。

 単純すぎず複雑すぎないギリギリの線というのはあるのでしょうか。

 実はあります。

「伏線」を活用するのです。


 単純な物語であっても、読み手に「先が読めた」と思われるより前に「伏線」をいくつか張っておきます。

 すると読み手は「伏線」のない状態で「先が読めた」はずの時点であっても「先が読めなくなる」のです。なにせ「伏線」が明確に張ってあります。「伏線」をどう回収するのか気になって仕方なくなるのです。

 だからといってむやみやたらに「伏線」を張るだけ張って、小説の「結末(エンディング)」までにすべてを回収し忘れることのないようにしてください。

 ではどれだけの「伏線」が必要でしょうか。




物語全体を通した伏線

 小説の「結末(エンディング)」を暗示する大きな「伏線」は最低一本張ってある必要があります。

 この「伏線」の力は殊のほか大きく物語の筋書きを左右し、読み手に「先を読ませない」でいて「ある程度先が読めそう」な展開を仕組むことができるのです。

 その場限りの思いつきによる出来事ではありません。先々を見据えた、出来事(イベント)が起こる「必然性」を書き手と読み手双方に与えるのです。


「物語全体を通した伏線」というのは小説を書き始める前からすでに決まっている必要があります。

 もし小説を書き始めて途中から「物語全体を通した伏線」を張ろうとすれば「ご都合主義」な展開だと読み手に思われてしまうでしょう。

 「先が読める」小説は読めた時点で切られますが、「ご都合主義」な小説もあまりに露骨だとその場で切られます。

 そのくらい重要なのが「物語全体を通した伏線」なのです。




先の出来事を引き起こす伏線

結末(エンディング)」まで引っ張るのではなく、現時点よりも「先の出来事(イベント)を引き起こす伏線」もあります。

 章の中で提示され、次(エピソード)の出来事を引き起こすのです。読み手に次(エピソード)が読みたくなる「強い衝動」をもたらします。

 連載小説を書いている場合、とくに重視してほしい「伏線」です。


 連載小説は基本的に一週間の投稿ぶんで出来事(イベント)が完結します。通常、(エピソード)は二万字を目安にするとよいでしょう。五千字の投稿なら週四回、一万字の投稿なら週末二日のペースで投稿すれば(エピソード)が定まります。

 それぞれの(エピソード)で、次章が読みたくて仕方なくなる「強い衝動」を与える「伏線」を張るのです。

 とくに(エピソード)の後半つまり「起承転結」の「転結」の部分に張ってあると効果が高くなります。「起承」の部分で提示されていてもいいのですが、基本的に「起承」で提示された「伏線」は同じ(エピソード)の「結」で解決するのがベストです。

「転」で提示された「伏線」も本来なら「結」で解決すべきですが、次章の出来事を引き起こす「伏線」として大きな役割を与えられることがあります。

 もちろん次(エピソード)で解決させず、複数の(エピソード)をまたいで解決しても問題ありません。そのときは次(エピソード)でも別の「伏線」として提示して読み手の期待を煽る必要があります。とくに「大きな出来事」を起こしたい場合は複数の(エピソード)をまたいだ「伏線」がとても生きてくるのです。

 いずれにせよ「先の出来事を引き起こす伏線」は読み手の「先を読みたい」という「強い衝動」を呼び起こします。




(エピソード)内の起承転結

 二万字が(エピソード)の目安です。そして投稿はたいてい週四日か週二日になると思います。その週で書かれる出来事がどのように発生してどのように解決するのか。

 (エピソード)の頭である「起」の部分で読み手を煽ります。つまり「伏線」を張るのです。

 そして(エピソード)の後半である「転結」で解決させるのですが、できれば「結」で解決させましょう。

 そうすればその(エピソード)を最初から最後まで読ませることができます。

 ひとつの(エピソード)で読み手を飽きさせずに読ませることができれば、読み手は「この小説面白いかもしれない」と思って連載の冒頭から読み始めてくれるかもしません。

 そうなれば閲覧数と評価とブックマークは増えていくはずです。「この小説は面白くないな」と思われてしまっても、ひとつの(エピソード)を読ませることには成功しているので、閲覧数だけでも高くなります。

 こうやってご新規さんに「ひとつの(エピソード)を飽きずに読ませる」ことが連載小説には求められます。

 そのためにはひとつの(エピソード)で「起承転結」構造を必ず作る必要があるのです。

 投稿ペースによって「序破急」でも五部構成でも構いません。

 とにかく一週間読み手を魅了できるか。その筆力が求められるのです。





最後に

 今回は「先を読ませない」ことについて述べました。

 単純な物語はすぐに先を読まれて切られてしまいます。かといって複雑すぎる物語は読み手の脳が受け付けようとしません。よほど興味のある題材だったり人気の高い小説であったりすれば別ですが。

 それなりの複雑さを作るために「伏線」を用います。

「伏線」は読み手の期待を煽リ、出来事を盛り上げる役目があるのです。

 あまりおわかりでないようでしたら、小説投稿サイトで人気のある小説、ランキングに載っている小説を読んでみてください。人気のある小説には必ずいくつか「伏線」が張ってあります。まったく「伏線」を張らずに人気のある小説は二次創作くらいでしょう。

 連載小説が盛んな『小説家になろう』『エブリスタ』『アルファポリス』『カクヨム』などでランキング入りしている作品を一週間(ひとつの(エピソード))ぶん読むことをオススメします。きっと「伏線」の活かし方がわかるはずです。




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