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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
明察篇〜よりよくするためのテクニック
616/1500

616.明察篇:あらすじチェック

 今回は「あらすじ」をチェックすることについてです。

「あらすじ」が当初の狙いどおりに機能しているかを見ます。

あらすじチェック


「あらすじ」を書き終えたら、まず推敲します。

「あらすじ」段階から推敲するのか、と思われるでしょう。

 しかしここから先はあらすじの流れに則って物語を構築していくので、物語の流れは「あらすじ」で完璧に決められていなければなりません。

 では「あらすじ」をどう推敲したらよいのでしょうか。




テーマがきちんと伝わるか

 まずチェックしたいのが、訴えたい「テーマ」がしっかりと読み手に伝わるかです。

 主人公に対して出来事(エピソード)が起こり、それを受けて主人公が少しずつ変わっていきます。

 その過程の中に「テーマ」が内包されていることが求められるのです。

 そもそも、小説は読み手に「テーマ」を伝えるために書きます。

「テーマ」が伝わらなかったり、誤解されて伝わったりしているのでは、小説とは呼べないのです。

 ですので、まず「テーマ」が表れているかどうか。これを見ます。

「あらすじ」段階で「テーマ」が伝わらないと感じるようでは、いくら巧みな文章を書いたとしても「テーマ」はいっさい伝わりません。まったく異なる「テーマ」が伝わる恐れもあります。

 どんな「あらすじ」を描けるか。せめてそれだけでも才能が欲しいところです。

 文章力・筆力が多少低くても、「あらすじ」で「テーマ」がきちんと盛り込めれば、「テーマ」がしっかりと読み手に伝わるよい小説になります。




売りが活きているか

「あらすじ」において、あなたがこの小説で「読み手へなにに魅力を感じてもらいたいと狙っているのか」を的確に表現できているでしょうか。


「こんな主人公を思いついた。この人が魅力的に映えるような物語を作りたい」という意図があるのなら、「主人公の魅力」が読み手に伝わるように「あらすじ」を構築するのです。

 人は誰しも心の中にもうひとりの自分を持っているとされています。小説の主人公とはその「もうひとりの自分」が反映されることが多いのです。主人公が読み手の心に残れば、書き手の分身が読み手の記憶に刻み込まれます。

 だから「主人公」から考えた物語は「主人公に魅力を感じてもらいたい」のです。


「こんな展開を思いついた。この展開が魅力的に映えるような物語を作りたい」という意図があるのなら、「展開の魅力」が伝わるでしょうか。

 いちばん魅せたい場面が、きちんといちばん人気が出るような「あらすじ」を構築するのです。正義と悪の対決という典型的なパターンでも、どういう戦い方をして正義が悪に勝つのか。それが展開の最たるものです。


「こんな世界観を思いついた。ここを舞台に繰り広げられる魅力的な物語を作りたい」という意図があるのなら、どんな世界観かが読み手に伝わるのか。

 世界観がどっしりと固められていれば、その上でさまざまな物語を生み出すことができます。これはTRPGテーブルトーク・ロールプレイングゲームの世界観を作り出すことに似ています。TRPGの世界観をまず作り、その上でさまざまな物語が楽しまれてリプレイ作品が数多く生まれていくのです。

 一度世界観を作り出せば、無限とも思えるような物語が出来あがります。


 ここでは三つの売りを考えてみましたが、この他にも売りとなりうるものはあるはずです。その売りになるものが魅力的に映るような「あらすじ」になっているかを確認してください。




ストーリーや設定に矛盾がないか

 ストーリーや設定に矛盾があると、完成原稿を読んだ人は矛盾の発生したところで一気に冷めます。

 たとえばA君のことが好きな主人公がいて、次の章になったらいつの間にかB君のことが好きになっていたとします。

 浮気症なのかなと思っていたら、内容はどう見ても純愛ものだったとしたら。なぜA君からB君に乗り換えたのか、明確な理由がなければ白けるだけのストーリーになってしまいますよね。


 たとえば砂漠が舞台の小説なのに「水の魔法」を使いまくるなんて、明らかにおかしいですよね。砂漠に水の精霊はまずいません。万能なるマナを使ったとしても、それで水が作れるのなら、その場所は砂漠にはなっていないのではないでしょうか。

 宇宙船で航宙中、または潜水艦で潜航中に火を使いまくるのも、明らかにおかしいですよね。酸素が貴重な場所なのに、調理で火を使いまくれば、すぐに酸素がなくなってしまいます。命綱とも呼べる酸素です。二酸化炭素から酸素を生成する装置もあるでしょうが、それに頼って火を使いまくるのでは本末転倒です。

 こういった矛盾は「あらすじ」段階でできるだけ解消しておきましょう。書き始めてからでも変更していくこともできなくはないのです。でも「労多くして功少なし」といった具合になります。

「あらすじ」は出来事(エピソード)の流れを追うだけでなく、矛盾がないかを確認するために眺めるものでもあるのです。

「あらすじ」を書かずに本文を書き始める方もいますし、それで「プロの書き手」になれる方もいます。ですがそういう人は参考になりません。彼らは最初から文才があった方たちなのです。

 矛盾のない物語を「あらすじ」無しで書くには、相当頭がよくなければいけません。俗にいう「地頭力(じあたまりょく)」が必要なのです。

 もしあなたに「地頭力(じあたまりょく)」があったとしても、最初は「あらすじ」をしっかり書くことをオススメします。

 一回でも「あらすじ」を書くことで、頭の中で「あらすじ」の雛型が出来あがるのです。「地頭力(じあたまりょく)」があれば雛型にストーリーの流れを埋められます。矛盾があるかどうかも確認できるのです。

 だから、必ず「あらすじ」を書きましょう。




書きながらチェックする

 本文を書き始めると、文章が紡がれていきます。

 書き進めていくうちに、前に書いた文章が気になってくるのです。

 正しい日本語か、誤字脱字はないか、言いまわしが素っ気なかったり逆にくどすぎたりしないか、説明不足だったり説明しすぎだったりしていないか。

 こういうバランスは本文を書きながらとることになります。

 どんな文体で書いたほうがよいのかは、ジャンルや作品ごとに異なるのです。

 だからある程度書いたら、それ以前をチェックして文体や言いまわしや説明の分量が適切か検討してみましょう。

 すると「この言いまわしは浮いてしまうな」「この事柄に関して説明しすぎでくどいな」といったことが見えてきます。

 そして本日ぶんの執筆が終わったら、一晩寝かせて翌日の執筆前に推敲するようにしてください。推敲が終わったら投稿して(投稿する準備をして)から続きを書いていきましょう。




完成したら必ず推敲する

 物語が完結したら、投稿する前に必ず推敲するようにしましょう。

 ここで全体を通して推敲しないと、作品の完成度は格段に低まってしまいます。

 極論すれば「全体を通して推敲しない作品は未完成だ」と言えるのです。

 推敲は文章的なことに加え、全体のバランスをとりましょう。

 全体の推敲は必ず縦書きで印刷(プリントアウト)してから始めてください。

 紙に縦書きで印刷するだけで、ディスプレイとはまったく異なる印象を覚えます。

 ですので、推敲は必ず紙で行なうようにしてください。

 あなたの小説が人気を博したら「紙の書籍」になるのです。それなら今のうちから紙で推敲するクセをつけましょう。





最後に

 今回は「あらすじチェック」について述べました。

「あらすじ」はどんな出来事(エピソード)が起こるのか順々に書いたものです。

 それだけでなく、物語で矛盾が起きないよう管理するためにも使います。

「あらすじ」をあらかたチェックし終えたら、執筆に移りましょう。

 執筆が進んだら振り返ってチェックすることも忘れてはなりません。

 また、ディスプレイ上でチェックしても見逃すことが多いので、できれば紙に印刷(プリントアウト)してから推敲してください。




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