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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
中級篇〜少しわかってきたら、ちょっと意識してみましょう
47/1500

47.中級篇:「いつ」季節と気候と時間と

「時間を書く」ことが小説です。

 エピソードや出来事(イベント)が起こるのも起きるのも時間の流れの中にあります。


「いつ」季節と気候と時間と


 舞台設定を作る際、四季のある地域が舞台になったでしょうか。

 常夏の熱帯地方や厳寒の高緯度地方が舞台なのかもしれませんね。

 季節や気候は主人公を始めとする登場人物に皮膚感覚をもたらします。

 季節や気候による体感をきっちりと描くことができれば、あなたの小説は俄然(がぜん)現実味(リアリティー)を帯びてきます。




季節や気候のわからない小説は失格

 もちろん季節や気候のわからない小説というものもあります。

 とくに短編やショートショートは分量が少ないこともあり季節を書くことに枚数を費やせないこともあるのです。

 ただ季節や気候のわからない物語は抽象的で臨場感に欠けるのは否めません。

 短編やショートショートであれば、季節や気候を明示せずに出来事(イベント)だけを怒濤のように畳み込むことで展開をぐいぐいと引っ張っていくこともできます。

 たとえば『桃太郎』の舞台は日本ですが、桃太郎がどの季節に鬼退治へ出発したのか知る人は誰ひとりいないでしょう。

『浦島太郎』で浦島太郎が龍宮城へ行った季節もわかりません。

 さらに外国寓話の『シンデレラ』『青い鳥』『三匹の子豚』なども明確な季節が設定されていないですよね。

 これは「短編の寓話だから」という理由でとくに決められていないだけかもしれません。


 ですが中編・長編・超長編の連載小説ともなれば、季節や気候がわからないなどということは許されません。

 わからないだけで編集者や読み手から「小説失格」と見なされます。

 小説を書くのであればできるだけ現実味(リアリティー)を読み手に提供しなければなりません。

 現実味(リアリティー)がなければ、読み手は主人公に感情移入しづらくなります。感情移入できない小説は、読んでいると主人公の行動がすべて他人事(ひとごと)に感じられてしまうのです。そうなってしまうと読み手はもうその小説に興味を持てなくなります。

 その小説を書店で試し読みしているのであれば書棚に戻して別の小説を試し読みしはじめるでしょう。そうなったらもう二度とあなたの小説が購入の選択肢に入ることはありません。

 だからこそ、季節が一年中変わらないのだとしても、それをきちんと読み手に伝える義務が書き手にはあるのです。




日本や中国には二十四節気がある

 日本など中緯度にある国には四季があります。またそれぞれに季節の変わり目もあり、それだけでも八つの時節に分けられるのです。その八つそれぞれを「季節の始まり」「季節の只中」「季節の終わり」の三つに分ければ、一年を二十四節気に分けることができます。

 二十四節気(にじゅうしせっき)ということは月の前半と後半という具合に分けられるということですね。まぁ実際には月と季節は少しズレていますから確実に月の前半と後半で分けられるものではありませんが。ともかく日本には四季があってそれが二十四節気に分けられるわけですね。

 季節が変われば気候も変わりますよね。

 日本の春なら湿度も低くて気温も過ごしやすい。梅雨時は湿度が高くて気温の変動が激しい。夏はとにかく気温が高くてとても体にこたえます。秋雨時は湿度が高くて気温も高い。秋になれば湿度も落ち着き気温も過ごしやすいので春に近いのですが、秋は日が進むに連れて気温が下がっていくので体調を崩しやすい。という具合です。

 季節が変われば気候も変わってくるのです。

 これは日本の気候の特徴ですが、大陸の気候はその土地のデータを活用するようにしてください。


 現実世界では緯度の高低、大陸や島などで気温や湿度や天候がそれぞれ異なっています。

 あなたが作った架空の世界にはどのような大陸がありどのような島があるのでしょうか。

 架空の世界であっても現実世界のどの国に気候が近いかを意識して書くとよいでしょう。

 それだけで地域による季節や気候などの描写が現実味を帯びてきます。




TIPS

 これは知っておくとかなり有利な情報ですが、ほとんどの小説の季節や気候は北半球が基準になっています。これは南半球よりも陸地の面積が広く国が多いためです。

 だからあなたが小説の舞台として他の書き手と差異を出そうと思ったら、いっそ南半球を舞台にしましょう。

「北が寒くて南が暑い」「太陽は南側を通って左から昇って右に沈む」というのは北半球の考え方です。

 それを「北が暑くて南が寒い」「太陽は北側を通って右から昇って左に沈む」という南半球の特色を出せば、それだけでその小説は他の作品との差別化が図れます。




天候も季節や気候の影響を受ける

 中緯度の島国である日本は天候も豊かです。

 晴れ、曇り、雨はもちろん、雪、ひょう・あられ・みぞれといった氷の結晶や、台風、雷、ゲリラ雷雨など嵐の類いもあります。まさに多種多彩です。

 天候の種類は日本が世界最多と言えるのではないでしょうか。

 さらに雨にも霧雨、小雨、大雨、土砂降り、篠突く雨などがあります。

 種類と程度の組み合わせだけでも数百通りはあるはずです。


 季節や気候の影響を受ける天候を小説できちんと書く。これだけであなたの書いた小説の現実味がぐっと増します。

 とくに現実世界の日本を舞台にしているのであれば、天候を書かずにどうやって舞台を説明しようというのでしょうか。


 また天候を生かした場面もいろいろ考えられるはずです。

 雪が積もれば雪合戦を始めたり雪だるまやかまくらを作ったりしますよね。

 急な雨であれば相合傘イベントが発生するかもしれません。

 台風が直撃したら学校は臨時休校になりますよね。

 場面(シーン)のバリエーションを増やすためにも天候は積極的に利用すべきです。


 天候を生かした描写はキャラの心理描写として用いられることも多くあります。

 あまり多すぎると、くどくて飲めたものではないのです。しかし、かるくスパイスとして効かせるくらいなら心理描写を引き立ててくれます。

 コラムNo.227からどのような心理描写があるのかをまとめてあります。

 天候を書くことは、それだけで筆力を高めてくれるのです。




時間によって状況も変化する

 あなたが今書いている場面(シーン)は何時頃の話でしょうか。

 時間によって明け方、昼間、夕方、晩、深夜などいろいろありますよね。それによってまたさまざまな描写が可能になります。

 暁の頃(日が出る前だがあたりはある程度明るくなっている頃)なら、早起きしてまだ眠くて仕方ないとか、徹夜しただとか、新聞配達の少年が頑張っているとか、鶏が鳴き始めたとか。

 時間によって状況(シチュエーション)が変化し、描写する情報も変化していくのです。書くべきことがまた増えましたね。


 一場面(ワン・シーン)では季節は固定されてしまいますが、文章を読み進めていけば相応に時間は経過していきます。

 小説の文章は主に動作を時間順に記したものです。つまり文章が続けばそれだけ小説内の時間が経過していきます。

 「十分待った。」と書けばそれだけで小説内の時間は十分進むのが好例でしょうか。


 時間が経てば天候が変わることもあります。季節の変化は半月ほどの時間が必要となりますので、同じ場面(シーン)で書くことはかなり難しい。

 でも天候は数時間、早ければ数分で変化します。

 なので場面(シーン)の始めは雨が降っていても、時間が進んで場面(シーン)の終わりの頃にはやんでいてもまったく不思議ではありません。

 この時間経過による天候の変化を使えば、季節の変わり目さえも表現できるようになります。

 ただ季節の変わり目の表現は上級のテクニックが必要なので、初心者や中級者は避けて通るのが無難です。

 でも時間経過による天候の変化はどの段階の書き手でも容易に使いこなせます。

 ぜひ積極的に時間と向き合ってみてください。





最後に

 今回は「季節と気候と時間」について述べてみました。

 それぞれが定まることで書くべきことが見つかります。

 書いていて「ここの説明や描写は足りているのか」と不安に感じてくるときは、えてして「季節と気候と時間」が定まっていないことに起因しているものです。

 まずはそれをしっかりと定めてから筆を執ってください。

 そのためにもあらかじめ「箱書き」を書いておくと便利なのです。




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