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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
中級篇〜少しわかってきたら、ちょっと意識してみましょう
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46.中級篇:箱書きを書く

 物語の展開を思いつく方法はいろいろあります。

 今回は「箱書き」について述べてみました。

箱書きを書く


「こういう特技を持った主人公を活躍させたい」「こういうエピソードや場面(シーン)で主人公を活躍させたい」と思い浮かんだとします。

 中級の書き手はキャラが先か場面(シーン)が先かを問わず、その双方が揃ったときに小説を書きたくなるものです。

 これは小説を書く強い動機となります。ではその着想から小説を書いてみたいと思います。


 しかし思い浮かんだのはその場面のみということがあります。それに関係する場面(シーン)が頭の中ですらすら構築できてしまう書き手もいるでしょう。

 しかし多くの書き手は他の場面(シーン)はどうしたらよいものかと迷うものです。それを解消するためにはまず「箱書き」を作りましょう。




箱書きとは

「箱書き」とは小説に登場する「場面(シーン)」を視覚的にわかりやすくするために書いたものです。

 一枚の紙にシーン毎の「時間」「場所」「天候」「人物」「出来事」「言わせたいセリフや書きたい描写」などを書き込みます。

「箱書き」は場面(シーン)の数だけ書くのです。

 当初は着想したアイデアだけが書かれていますよね。

 そこから派生して「この後にこんな場面(シーン)があるといいかな」とか「この前にはこういうエピソードや出来事(イベント)があったほうが『伏線』になっていいかな」とか考えていくのです。そうやって思いついた場面(シーン)を片端から「箱書き」にしていきます。

「この場面(シーン)は使えそうもないな」と思っても、思いついたものはすべて書き出してください。後日改めて見たときに必要になる可能性もあるからです。


「箱書き」を書くことで、その場面(シーン)が「いつ」「どこで」「(その場面(シーン)の)主人公に(起)」「出来事(イベント)が起きて(承)」「どう対処して(転)」「(その場面(シーン)の)主人公がどうなった(結)」か明らかになります。

 つまり場面(シーン)に盛り込むべき時間と場所と起承転結が詳らかになるのです。

 その情報を小説の文中に余すところなく書くためにも「箱書き」は必要となります。

「箱書き」はいわば小説の最小の形なのです。




実際に紙に書く

「箱書き」にはMicrosoft『Word』、JUST SYSTEM『一太郎』、Apple『Pages』、各OS付属の『テキストエディタ』などのコンピュータアプリ、またスマートフォンアプリやメール機能などはオススメしません。

 後述しますが「箱書き」を並べ替える作業が必要になるので、よほど作業スペースが広いPCでないと箱書きしたファイルを一覧で見ることができないからです。

 なので実際に文房具店で売られているA5サイズやB6サイズなどハガキくらいの大きさのメモ用紙を使ったほうがよいでしょう。罫線が入っていると書き込みやすくなります。

 文房具売場に行ってこのようなメモ用紙を探してみてください。たいていの文房具店には置いてありますよ。

 さらに横に穴が開けてあるものを使うと管理が楽になるのでオススメです。




箱書きを並べ替える

「箱書き」をあらかた書き終えたらそれを並べ替えて構成を決めます。

 このシーンの次にはこのシーンを持ってきて、このシーンは前に持ってきて……ということをやります。

 この作業をスムースに行なうためにも「箱書き」は紙に書くべきです。

 紙なら物理的に並べ替えればそれで済みます。

 しかしコンピュータ上ではコピー&ペーストして順番を入れ替えなければなりませんし、その状態だとすべての「箱書き」を一覧で読めません。

 一部の「箱書き」だけしか見えないのでは作業効率が著しく落ちます。

 「箱書き」の数だけウインドウを開いて並べ替えることもできますが、そんなに広い作業スペースを持っている書き手はまずいないでしょう。

 その点、紙ならスムースに並べ替えられます。やはり「箱書き」は紙に書くべきなのです。


 並べ替えた結果、シーンが足りなかったりつながりが悪かったりするときは新たな「箱書き」を加えます。

 頭の中では気づかなかったことでも、紙に書いて目の前で一覧し、並べ替えをしていると気づくことが多いのです。

 そして「箱書き」の流れを読んでいれば「このような場面(シーン)を挟めばうまくつながりそうだな」と着想することもあります。

 余った箱書きは処分しないでください。連載しているとそのうち必要になってくることもあります。少し手直しすれば使える場合もあるのです。

 また今の連載では使いどころがなくても新作で使えるかもしれません。だから処分しないで大切に保存しておきましょう。


 着想はそう簡単に降って湧いてきません。どんなにくだらないと思っても着想したらすぐにメモをとり、できれば「箱書き」まで書いてください。そのストックの数が書き手としての引き出しの多さに繋がっていきます。

「箱書き」の厚さこそが書き手の今後の作家人生を左右するといってもいいほどです。

 だから中級の今のうちに、着想は余さず「箱書き」にして保存するクセをつけてください。




箱書きは小説の屋台骨

「箱書き」を書いて並べ替えていけば、小説の屋台骨である物語は出来たも同然です。

 あとは「箱書き」の順番とその中の起承転結にしたがって文章を連ねる。それだけで読み応えのある小説に仕上がります。

 そんなことをしなくても私は筋道の立った文章が書ける。そう思う書き手は思いのほか多いのです。

 でもその自信の根拠はどこにあるのでしょうか。

 創作活動をしていて、泉が全く凅れない保証はどこにもないのです。着想があるうちにどれだけストックして溜め込んでおけるか。

 とくに連載を書こうとするならストックは必須になります。

 着想が切れて連載が中断してしまうのでは読み手を軽視しすぎです。

 連載している以上、読み手のために小説を書き続けるべきなのは言うまでもありません。


 週刊マンガを四十年間一度も休まずに掲載した秋本治氏『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は、だからこそあれだけの読者を惹きつけ、連載も四十年間続けることができたのです。

 もし途中で一度でも休んでしまったとしたら。おそらくもっと早く連載は打ち切られていたと思います。

 連載作家は書き続けることが最も重要な課題なのです。

 そのためには着想をストックして保存することがとてもたいせつなことになります。




マンガやアニメなどもストックする

 意外と忘れられがちなのですが、他人の小説やマンガやアニメ、ドラマや映画、さらに歌や音楽などを観たり聴いたりしていると着想が降って湧いてくることがあります。

 そのままではただのパクリになりますので「箱書き」には大まかな流れだけを書き溜めてください。それもまたストックして保存しておくのです。

 自分が好きで読んでいる小説やマンガ、次回が待ち遠しいアニメやドラマ、二時間前後に凝縮された映画、歌詞が魅力的な歌やメロディーが印象的な音楽など。

 私は自分の頭の中だけでなく、他の作品などから着想することも多くあります。

 積極的に他の作品に触れて大いに着想を得ることも、創作活動を続けていくためには不可欠ではないでしょうか。




夢を書き留める

 皆様は寝ているときに「夢」を見ますか。

「夢」を見ることがあるのでしたら、ぜひそれを「箱書き」にしてください。

「夢」は脳に蓄積された膨大なデータが処理され、整理されて記憶に納める際に見るものとされています。

「夢」は目醒めているときには思いもつかない出来事が入っていることが多いのです。

 つまり「夢」を書き留めると、平常では考えもつかない多様な出来事(場面(シーン)状況(シチュエーション))の情報が手に入ります。


 内容がどんなに支離滅裂であろうとも、後日役に立つ可能性は大いにあります。

 せっかく「夢」を見たのなら、それを生かさない手はありません。

「箱書き」のストックを増やすためにも、積極的に「夢」を記録してはいかがでしょうか。





最後に

 小説は書き上げて発表しなければただの「独り言」にすぎません。

 しかし終わりの見えない連載も、やはりただの「文章」です。

 超長編の連載小説に手を出したはいいが、いつまで経っても終わりが見えないような人は、まず手を休めて「箱書き」を書くことから始めてみてください。

 そうしないといつまで経ってもその連載は終わらないですよ。




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