459.発想篇:読み手が思わず反応してしまう
今回は読み手に「どんな反応をしてほしいのか」についてです。
楽しんで読んでもらいたいのか、悲しんで読んでもらいたいのか。
それを明確にすることで、読み手はあなたの小説に親しんでくれます。
読み手が思わず反応してしまう
あなたは、読み手にどんな反応をしてほしくて小説を書いていますか。
「楽しんでもらいたい」「喜んでもらいたい」「驚いてもらいたい」「憤ってもらいたい」「悲しんでもらいたい」など。
読み手の反応を意識せずに小説を書いても、読んだ人の心にはなにも残りません。
読み手はつねに「○○したい」から小説を読んでいます。
「楽しんでもらいたい」のなら「キーワード」「タグ」に「ハッピーエンド」を付けてみましょう。
「悲しんでもらいたい」のなら「バッドエンド」「悲恋」などを付けてください。
文章を読む前から「どんな反応をしてほしい」のか書いてあれば、読み手はそのときの気分によって読む作品を的確に選んでくれます。
ミスマッチをなくそう
小説は読むのに時間がかかります。
マンガはペラペラとページをめくれますし、アニメは正味21分間で一話が観られるのです。
それに比べて小説は、否応なく文字の列を読んでいき、脳内イメージを構築しながら読み進めなければならないため、一章を読むだけでもいちばん時間がかかります。
そんな「時間のかかる娯楽」では、「ミスマッチをできるかぎり防ぐ」ことが読み手を最も集める鍵です。
たとえば「キーワード」に「ハッピーエンド」と書いてあるのに、回を追うごとに後味の悪い読み応えだったとしたら。
結果的に「ハッピーエンド」になるのであっても、読み手からすればいい思いはしません。
毎回の投稿で「バッドエンド」な終わり方をして、最後の最後に「ハッピーエンド」になるから「キーワード」に「ハッピーエンド」と書いた。
これではミスマッチもいいところです。
それなら「ハッピーエンド」と書かなければいい。
連載が終了して最終的に「ハッピーエンド」になったことが確定した時点で、「キーワード」に「ハッピーエンド」を追加すべきでしょう。
これなら読み手が第一話から読み進めていって「なんかバッドエンドに向かっているように感じるけど」と思ったときに、一気に最終話まで読み飛ばしてもらえば、実際に「ハッピーエンド」になっていることがわかります。
確認できたら改めて元の場所まで戻って読み続けてもらえばいいのです。
これとは逆に毎回「ハッピーエンド」でつながってきたものが最後の最後にひっくり返って「バッドエンド」になってしまう場合。
こちらも「キーワード」に「バッドエンド」を付けるのは、連載終了時点のほうが断然いい。
そのほうが最終話のインパクトが強まりますからね。
できるかぎり「ミスマッチ」を防ぎましょう。
「キーワード」に「純愛」と付けたのに「ハーレム」展開なんてされたら、実際にその中の一人と「純愛」するとしても読み手はよい気がしません。
「ひとりを愛し抜きたい」のか「大勢を愛したい」のか。
ここをはっきりとさせなければ、「恋愛もの」なんて書かないほうがいいのです。
タイトルを工夫する
小説において「タイトル」は、作品の内容を推察するための貴重な情報です。
現在の『小説家になろう』のように「文章」になっているような「タイトル」がよいとは言えません。
ただしある程度内容がわかるような「タイトル」にはすべきです。
そのためには「物語を象徴する言葉」を盛り込みましょう。
『小説家になろう』では「タイトル」に「キーワード」をそのまま付けたものが多く見られます。
しかしどちらか一方にだけ「物語を象徴する言葉」を付ければ、検索の際に漏れなく引っかかるのです。
「タイトル」「あらすじ」「キーワード」の三つのいずれかに含まれていれば、重複させる必要はありません。
小説の「タイトル」としてふさわしいとあなたが思うように付けてください。
ただし『小説を読もう!』ではランキングのトップ5はタイトルと作者名しか表示されません。
その後に「日間〜ランキングを見る」をクリックすることで、「タイトル」「あらすじ」「キーワード」をすべて見ることができるようになります。
ランキング以外では、検索をかけて引っかかった作品が読む候補となるのです。
先ほども申しました通り「タイトル」「あらすじ」「キーワード」のいずれかに特定の単語が含まれていれば、検索に引っかかります。
限られた文字数の中で、的確な「タイトル」と「あらすじ」を書いてください。ここに「キーワード」の単語を入れる必要はありません。
ジャンルによって反応するポイントは異なる
「推理もの」では「密室殺人」「不可能殺人」が最も読み手ウケします。
読み手は「密室にしたカラクリはなんだろう」「どうやって不可能な状況で殺害できたのだろう」と頭を働かせるからです。マンガ・青山剛昌氏『名探偵コナン』は二十年を超える連載の中で、さまざまな「密室殺人」「不可能殺人」を解いてきました。それらは時代を反映したアイテムを活用し、一度たりとも同じトリックは用いないという念の入れようです。
「冒険もの」なら「世界初登頂」「世界一周」「宝探し」のような作品がウケます。マンガ・鳥山明氏『DRAGON BALL』やマンガ・尾田栄一郎氏『ONE PIECE』のように世界を巡っての「宝探し」が物語の出発点となっているのです。『DRAGON BALL』の「ピッコロ大魔王編」以降や、現在の『ONE PIECE』のように、いつのまにか「バトルアクションもの」に変化してしまう作品が多いのも「冒険もの」の宿命かもしれません。新田次郎氏『孤高の人』のように、ひたすら山登りに徹した作品もあります。マンガだからこそ、見栄えのするバトルシーンに魅力が奪われてしまうのかもしれないですね。
「ヒロイック・ファンタジーもの」なら水野良氏『ロードス島戦記』が取っつきやすいと思います。第一巻『ロードス島戦記 灰色の魔女』だけでも、主人公パーンの成長が見て取れるので、「ヒロイック・ファンタジーもの」を描きたいのならオススメの作品です。
「恋愛もの」なら渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は外せないでしょう。第一巻だけでいいので読んでみることをオススメします。またマンガ・桂正和氏『I”s』は何度もオススメしていますが、珠玉の名作なのでぜひ読んでみてください。女の子が可愛いのも作品の売りになっています。
「VRMMOもの」なら川原礫氏『ソードアート・オンライン』(『SAO』)の第一巻〜第二巻は読みましょう。「浮遊城アインクラッド編」であり、ここから『SAO』は大きく飛躍することになったのです。現在は「浮遊城アインクラッド編」を深く掘り下げたリメイクである『ソードアード・オンライン プログレッシブ』が連載中です。
最後に
今回は「読み手が思わず反応してしまう」ことについて述べました。
まず読み手は「キーワード」で検索をして読みたい作品の候補をリストアップするのです。
その結果一覧を見て読み手は「タイトル」から面白そうか判断します。
面白そうなら「あらすじ」「キャプション」を読み、「読んでみたい」と思った作品が読まれるのです。
せっかく読まれたのにブックマークも評価も付かない作品もあります。
その大半が「ミスマッチ」によるものです。
読み手が最初に触れる「キーワード」「タイトル」「あらすじ」に偽りがあると、それだけで切られてしまいます。
それだけならまだしも、二度と同じ書き手の作品を読もうとしない「ブラックリスト」入りをしてしまうこともあるのです。
そうなるともう立て直しは難しくなります。
さらに研鑽を積み、ランキングで上位をとるようになって改めて「今度は読んでもいいだろう」と「ブラックリスト」に載っていても新作を読んでくれる可能性はあるのです。
そのためには「ランキング上位」になるまで努力をし続けるしかありません。