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419.深化篇:最初から期待しない(1/4)

 今日から四回にわたって「書き始める頃は誰だって拙いものだ」ということについて語ってみました。

 一回目は「原稿用紙の使い方」「日本語の文法や語彙」についてです。

 それぞれターゲット層が異なれば求められるものも違ってきます。

最初から期待しない(1/4)


 書き手には必ず処女作があります。

 そしておおかたの処女作はたいした反響を得られません。

 それにめげて「小説を書く」のをやめる書き手が多いのです。

 ですが安心してください。

 ほとんどの書き手の処女作は拙いものなのです。




最初は拙くて当たり前

 処女作が大ヒットする要因はいくつかあります。


 原稿用紙の使い方を熟知している。

 日本語の文法や語彙に精通している。

 小説に限らず、毎日文章を書いている。

 小説を大量に読んでいて、文章のリズムや文体や表現が秀でている。

 見たものを文章に変換する能力がある。

 毎日物語を妄想していることが好き。


 これらすべてが当てはまる人はまずいません。

 処女作は大ヒットしなくて当たり前なのです。

 以上の点で至らないところがあってもあきらめてはなりません。

 本数を重ねれば必ず身につくものばかりだからです。

 創作のモチベーションを高めたければ、『pixiv小説』で「二次創作」を書いてみてください。

 人気のある作品の「二次創作」は男性向けで二桁、女性向けで三桁のブックマークが付くことがあります。

 でも「二次創作」は書きたくないよなぁとお思いでしたら、『小説家になろう』で「テンプレート」に従って書いた「短編小説」を書いてみましょう。

「短編小説」は分量が短いので書きやすく、また人気のある「テンプレート」を用いていれば読み手の数も計算できます。

「二次創作」も「テンプレートな短編小説」も、共通しているのは「短い文章でも評価が得られる」ことです。

 つまり目に見えて成果がわかります。




原稿用紙の使い方

「紙の書籍」と「小説投稿サイト」では、求められる書き方が異なります。

 紙の小説では「行頭一字下げ」「主体が同じなら改行しない」「視点や時間や場所が切り替わるときは改段落する」といったルールがあります。

 これは実際に「紙の書籍」を読むことでわかるのです。

「紙の書籍」を持っていない方は、電子書籍の「冒頭試し読み」(Apple『ブック』の「サンプルを入手」)で実際に確認してみましょう。

 対して「小説投稿サイト」では「行頭を下げない」「一文ごとに改行する」「主体が切り替わるときは空行を入れる」「視点や時間や場所が切り替わるときは二行以上の空行を入れる」といった特徴があります。

 小説投稿サイトで多くの人に読んでもらい、ブックマークや評価を得て「紙の書籍」を目指したい人もいるはずです。

 その場合は「紙の書籍」フォーマットを用いるべきか、「小説投稿サイト」フォーマットを用いるべきか。

 これは「小説投稿サイト」の「小説賞・新人賞」を企画している出版社で決めればいいでしょう。

 これまでの受賞作に「紙の書籍」フォーマットが多ければそちらで書き、「小説投稿サイト」フォーマットが多ければそちらで書けばよいのです。

 これは実際に小説投稿サイトで小説賞受賞作を読めばわかります。

 その手間を惜しんではなりません。

 仮に「小説投稿サイト」フォーマットで書いて読み手から多くの支持を集め、「小説賞・新人賞」を獲得しても、出版社から「紙の書籍」フォーマットへの書き換えは指示されます。

 なので「小説投稿サイト」では、多くの読み手が読み慣れている「小説投稿サイト」フォーマットを用いるべきでしょう。


 もちろん権威や由緒のある出版社やレーベルから「紙の書籍」化したいときは、最初から「紙の書籍」フォーマットで書くべきです。

「こんな基本的なこともできない人を、うちのレーベルからはデビューさせられない」と思われてしまいます。

 これでは内容がよくてもハネられてしまいますから、努力すれば未然に防げるミスは犯さないようにしましょう。




日本語の文法や語彙

 小説といえば、「正しい文法」と「豊富な語彙」がなければならないような気がしますよね。

 まず「正しい文法」ですが、こちらは必ず守る必要があります。

 最低限の文法は「助詞を重複させない」ことです。

「春を待つ桜を眺める」という文は助詞「を」が二回出てきます。そうすると文がわかりにくくなります。

「彼が別れ話を切り出したが、彼女がそれを拒否した」と「が」が三回、「を」が二回出てきます。

 ですが「切り出したが」の「が」は接続助詞なので、主語を表す他の「が」とは異なるのです。この場合「接続助詞」を分解して「彼が別れ話を切り出した。だが彼女がそれを拒否した」で重複は避けられます。

「真夏の夜の夢の中の悪魔の正体が知りたい」は助詞「の」が重複しすぎです。助詞「の」は連続で2回まで。できれば1回まで絞り込むべきです。それ以外は別の助詞や言い回しに変換してください。「真夏の夜に見た夢の中で出てきた悪魔の正体が知りたい」は助詞「の」が「1回ずつ」になるよう助詞や言い回しを変換しています。

「○と○と○と○」のような場合も「○と○と○、そして○」のように3回以上続かないように工夫してみましょう。


 そしてもう一つの「豊富な語彙」ですが、こちらはあまり気にしないでください。

 ライトノベルの主要層は中高生ですから、社会人にならなければわからない語彙を用いても読み手には意味がまったく伝わらないからです。

 わからない語彙に出くわした際、辞書を引く読み手はまずいません。たいていはその部分を飛ばして読みます。

 日本語は単語をひとつ飛ばしても、前後の文脈で意味が察せられる言語なので、ひとつの単語の意味がわからなくてもなんとかなります。

 でも読み手は「なんでこんな難しい言葉を使うのか」と書き手を恨むようになるのです。

 それなら最初から中高生がわかる語彙だけで小説を書きましょう。

 書き手であるあなたが中高生なら、あなたが普段使っている語彙でじゅうぶんです。

 社会人なら、中高生でもわかるような語彙や外来語を用いましょう。

「ダイバーシティー」という英単語を見れば、英語に詳しくない中高生なら「東京のお台場の都市(台場シティー)のこと」だと思うはずです。

 他にも社会人としては当たり前の「コンプライアンス」だったり「サスティナブル」だったりは中高生ではわかりにくい英単語だと思いますので日本語に改めましょう。





最後に

 今回は「最初から期待しない(1/4)」として四分割の第一を述べてみました。

「原稿用紙の使い方」「日本語の文法や語彙」については、小説を書く基本です。

「紙の書籍」フォーマットか「小説投稿サイト」フォーマットかは書き手の好みでいいでしょう。

「小説賞・新人賞」に応募するのであれば「紙の書籍」フォーマットのほうがよい。

 ですがとくに「小説賞・新人賞」を狙わず小説投稿サイトに短編掲載または連載する場合は、「小説投稿サイト」フォーマットのほうが多くの読み手が好ましく感じて、ブックマークと評価が高まりやすいと思います。


「小説賞・新人賞」に投稿せずに「紙の書籍」スタイルで書いている本「小説の書き方」コラム群は、当然のことながらブックマークと評価が低いのです。

 とくに評価はブックマークと比較しても格段に少ない。

『ピクシブ文芸』では一年以上、『小説家になろう』では半年以上の連載をしていますが、この評価回数はちょっと致命的ですよね。

 これが本コラムの弱いところかもしれません。

 だからといって、これから「小説投稿サイト」フォーマットにしても、四百本以上のコラムがすでにあります。

 たとえ評価が低くても、「紙の書籍」フォーマットを続けるしかないんですね。

 あなたが小説を書く際に、「紙の書籍」フォーマットで行くか「小説投稿サイト」フォーマットで行くかは熟慮してくださいね。




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