414.深化篇:小説は資格ではない
今回は「小説を書く」ということが「資格ではない」という当たり前のことです。
カルチャースクールなどを批判したいわけではありません。
「ここまで学べば必ず書ける」という第三者機関が定めるようなものではないことについて書きました。
小説は資格ではない
社会人として「よりよい環境」を得たいのなら「資格」をたくさん持ちましょう。
「小説を書く」という技能はある意味では「資格」のようなものです。
「資格」を取得する「努力」つまり「正しい知識と正しいやり方でやり続ける」こともせずに「よりよい環境」は得られません。
きちんと「努力」すればしっかりと身につきます。
しかし数多くの「資格」と異なり「小説を書く」技術には「小説執筆2級」などの第三者機関が示す明確な基準は存在しません。
どの程度、技能が身についているのかを知る方法は唯ひとつ。
実際に小説を書くこと。そして他人に読んでもらって感想を聞くことだけです。
小説投稿サイトが試金石
しかし世の中、そう都合よく読み手になってくれる人には巡り会えません。
でも誰かに感想を聞かない限り、技能の水準はわからないのです。
どうすればいいのか。もうおわかりですよね。
作品を小説投稿サイトに投稿してください。
たったそれだけで多くの潜在的な読み手を確保できます。
たとえば最大手の『小説家になろう』では現在126万アカウントを突破していますから、単純に考えれば126万人が潜在的な読み手です。
ですが、実際にあなたが作品を投稿しても、閲覧数(PV)は二桁くらいで止まり、ブックマークも評価も付かないということがたくさん起こります。
なぜでしょうか。
単純に「あなたにはまだ小説を書く才能がない」というわけでもありません。
実のところ小説投稿サイトは「開催している小説賞や新人賞への応募作を読むためにアカウントを取得している人がほとんど」だからです。
だから多くのタイアップ企画を抱えている『小説家になろう』が小説投稿サイトの最大手であり続けます。
対して『ピクシブ文芸』には現在「開催している小説賞や新人賞」といったタイアップ企画がまったくありません。
つまり読み手がどの小説を読めばよいのか、霞の中にいるようなものです。
その点、二次創作の『pixiv小説』は、人気作の二次創作小説が数多く投稿されており、好きな作品の二次創作を無料で読めるため好評を博しています。
だから現在は『ピクシブ文芸』に投稿するよりも、『pixiv小説』で人気作の二次創作を書いたほうがよいでしょう。
これまで開かれた公式の企画は『ピクシブ文芸大賞』だけで、それも締め切りからすでに一年以上が過ぎてしまっています。
このまま「小説賞・新人賞」といったタイアップ企画が開かれなければ、『ピクシブ文芸』の先行きは不透明だと言わざるをえません。
(2019年7月現在も開かれていません)。
小説の正しい知識
「小説を書く」ことを「努力」する気になりました。
「努力」するためには「正しい知識」が必要です。
「小説を書く」ための「正しい知識」として「日本語の文法」や「語彙力」を挙げる人が多いのですが、これらは些末に過ぎません。
「正しい知識」とは「独創的なアイデア」です。
トーマス・アルバ・エジソン氏は言いました。
「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」と。
よく勘違いされていますが、平たく言えば「1回ひらめいてしまえば99回も努力する必要はない」ということです。
誰かが築いた「テンプレートなアイデア」を書いて反響を得やすいのが『小説家になろう』の現状となっています。
なので、労せずして大ウケしたければ『小説家になろう』に「テンプレートなアイデア」の作品を投稿するだけでいいのです。
99回の努力をすることなくウケやすい作品が書けます。
小説投稿サイトの中でも『カクヨム』は「オリジナリティー」が好まれるのです。
女性向け恋愛小説が好まれる『エブリスタ』『ピクシブ文芸』と四つの小説投稿サイトは棲み分けがある程度できています。
「テンプレートなアイデア」を用いた小説は私のプライドに懸けて書けない。
そうお思いでしたら『カクヨム』との二重投稿も考えておきましょう。
小説投稿サイトを利用するのであれば、サイトごとの傾向をよく分析してから投稿すべきです。
「テンプレートなアイデア」が最も反響のよい『小説家になろう』ですが、他サイトと比べて圧倒的なアカウント数を誇っています。
つまり「オリジナリティー」あふれる小説も受け入れてくれるだけの母数は確保できるのです。
ですから小説投稿サイトを利用するのであれば、必ず『小説家になろう』との二重投稿をしましょう。
でも「カクヨムオンリー」タグの魅力も抗えないものがあるんですよね。
小説の正しいやり方
「努力」するためには「正しいやり方」も必要です。
これについては折りに触れて話してきました。
「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の順番を経てから執筆を開始することです。
「企画書」は「どんな主人公が(起)、どうなりたくて(承)、なにをして(転)、どうなったか(結)」を要約したものだと言えます。
「企画書」が出来たら、そこに「エピソード」を当てはめて「あらすじ」に仕立てるのです。
「どんな主人公」なのかを読み手に示すためには、どんな「エピソード」を読ませればいいのか。それを考えて設定します。
その「エピソード」には発生する「出来事」があります。
「出来事」を明確にするために「箱書き」を作るのです。
「箱書き」では「出来事」の起こる時間・場所・気象、登場する人物と彼らが発した印象に残る発言や態度などを書いていきます。
「箱書き」ができればそのまま執筆する人もいますが、私は「プロット」を経るべきだと主張しているのです。
「プロット」はどんなシーンなのか情報を書き、誰がどう動いて誰となにを話しているのか、そういう行動や発言のやりとりをすべて書き出したものを指します。
「プロット」さえあれば、あとはそれを小説の形に仕立て直して「執筆」していくだけです。
この「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」さえ経ていれば、必ず破綻のない物語を作り上げることができます。
だからこれが「小説の正しいやり方」なのです。
これで「正しい知識」と「正しいやり方」がわかったと思います。
あとは「小説を書く」ことを「やり続ける」だけです。
地道にへこたれず何度でも、読み手にウケる「正しい知識」が活かせる作品を、「正しいやり方」で書きあげて小説投稿サイトへ投稿していきましょう。
最後に
今回は「小説は資格ではない」ことについて述べてみました。
「小説を書く」勉強をしても、そのやり方が正しいのかどうかを知らなければ、ムダなことをやり続けることになりかねません。
そして「努力」の仕方がそもそも間違っていたら意味がないのです。
「小説を書く」ことは「資格」とは異なり第三者機関の「小説執筆2級」のような明確な基準はありません。
だから書き手は絶えず不安を抱えながら執筆しています。
正しい方向に「努力」しているのかどうかは、他人に小説を読んでもらって感想を聞くことでしか得られません。
ですが、身近にそんな都合の良い人はまずいないと思います。
そこで小説投稿サイトを活用するのです。
とくに開催中の「小説賞・新人賞」に応募してください。
「小説賞・新人賞」に応募せず、単に投稿しているだけでは読んでくれる方は限られます。
とくに長編小説のうち何万字を一気に投稿するようなやり方では、読んでくれる人はまずいません。
よほど時間に余裕があって「腰を据えて読める」人だけが読みます。
だから毎回五千字前後を上限として連載投稿すべきです。
毎日執筆して「努力」つまり「正しい知識と正しいやり方でやり続ける」ようにしてください。