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401.深化篇:手助けする人と邪魔する人

 今回は「第三者の立ち位置」です。

 物語を盛り上げるのは主人公と「対になる存在」の二人だけでは難しいのです。

 他に誰かいるだけで、物語は俄然面白くなってきます。

手助けする人と邪魔する人


 今回は主人公と「対になる存在」ではない第三者について見てみましょう。

 上に見えていますね。

 そうです。第三者には「手助けする人」と「邪魔する人」がいるのです。




手助けする人

 主人公を「手助けする人」は主人公に助力して「主人公陣営」を強くします。

 童話『桃太郎』では犬・猿・雉が次々と主人公を「手助けする」ことによって、「対になる存在」である鬼ヶ島の鬼たちを掃滅するほどの連携(チームワーク)を発揮するのです。

 しかし現実問題として、「手助けする人」がひとり増えたらすぐに連携(チームワーク)がとれるものなのでしょうか。


 野球は投手やDHなら個人プレーですから、彼らがチームに加わってくれるだけでその「チーム」は確実に強くなります。

 東北楽天ゴールデンイーグルスに所属していた田中将大投手(通称・マーくん)はイーグルス日本一の年に二十四勝0敗というとてつもない記録を打ち立てたのです。

 マーくんひとりでチームは+二十四のマージンを得ました。

 当時のイーグルスでは他の投手はほぼ勝ち負けトントンでした。

 でもマーくんひとりだけが突出していたため優勝できたのです。

 連携(チームワーク)の必要な守備に関しては、守備位置ごとにある程度のセオリーがあるため、数試合するだけで溶け込めます。

 野球はそれほど連携(チームワーク)が求められないのです。


 ですが連携(チームワーク)が不可欠なサッカーではどうでしょうか。

 たとえばブラジル代表FWのネイマール氏は、バルセロナに移籍した当初こそ不調でしたが、連携(チームワーク)がとれるようになってからはバルセロナに欠かせないエースFWの地位を得ました。

 しかし元々メッシ氏が中心のチーム構成ですから、どうしてもボールはメッシ氏に集まります。

 だからネイマール氏は活躍の場を求めてパリ・サンジェルマン(PSG)へと移籍することになるのです。

 やはり当初は馴染みませんでしたが、馴染むにしたがってPSGの不動のエースとなりました。

 そして今度はレアル・マドリードがネイマール氏に食指を動かしています。

 そうなると不動のエースであるクリスチアーノ・ロナウド氏とエースの座を競うことになるのでしょうか。

 レアル・マドリードの資金による年俸をとるのか、PSGでエースFWとして安定して出場できる機会をとるのか。

 一流FWのネイマール氏ですらこうなのですから、元インテル、現在ガラタサライ所属の日本代表SB長友佑都氏はさらに連携(チームワーク)が難しくなります。

 ただ長友選手は、サイドを自在に駆け巡る豊富なスタミナと、超ポジティブ思考で積極的にチームの和を掴み取ることのできる「人の良さ」が他より秀でているのです。

 これによってどんなチームに行ってもすぐにフィットして連携(チームワーク)がとれるという使い勝手の良い選手になりました。


 このように連携(チームワーク)がとれることで、ようやく「手助けする人」は戦力として計算できる存在になるのです。


 恋愛小説の場合、主人公の協力者として「手助けする人」と、「対になる存在」の協力者として「手助けする人」がいます。

 主人公の協力者なら「対になる存在」の情報を仕入れてくれて、きっかけを作ってくれるようになります。

 ゲームのKONAMI『ときめきメモリアル』で主人公の同級生である早乙女好雄がこのパターンです。

 気になる女の子の情報を電話で聞くと的確な答えが返ってきます。

 もはやゲーム攻略には欠かせない存在なのです。

「対になる存在」の協力者なら、「対になる存在」からいろいろな探りを入れてくるように頼まれています。

 つまり主人公が「対になる存在」のことをどう思っているのか探りを入れてくるのです。

 こちらは主人公と同性の幼馴染みであることが多いと思います。

 主人公の協力者なら直接的に、「対になる存在」の協力者なら間接的に、二人の距離を近づける存在なのです。




邪魔する人

「邪魔する人」にはさまざまなパターンがあります。

 中でも主人公のやりたいことを「邪魔する人」が多いでしょう。


 マンガのまつもと泉氏『きまぐれオレンジ☆ロード』では主人公である春日恭介が同級生の鮎川まどかに思いを伝えたいと思っていますが、下級生の檜山ひかるにいつも邪魔されます。

 まどかにとっても妹的なひかるの存在から恭介に対して素直になれません。

 つまり主人公の恭介と「対になる存在」のまどか双方に立ちはだかる「壁」となっているのが「邪魔する人」ひかるなのです。

 では「邪魔する人」ひかるがいない『きまぐれオレンジ☆ロード』はどうなるでしょうか。

 まったく波乱もなく、恭介とまどかがくっつくかもしれませんし、かえって醒めてしまい交わらない状況に陥るかもしれません。

 どちらにしても波乱がないですよね。


 ゲームの任天堂『スーパーマリオブラザーズ』では、クリボーやパックンフラワーなどが主人公マリオを「邪魔する人」として立ちはだかります。

 それらを突破して「対になる存在」であるクッパを倒すのがマリオの役割です。

 親玉クッパへたどり着くまでにマリオはさまざまな「邪魔する人」を越えていかなければなりません。


 マンガの三条陸氏&稲田浩司氏『DRAGON QUEST 〜ダイの大冒険〜』は主人公のダイが「対になる存在」大魔王バーンに立ち向かいます。

 バーンへたどり着くまでにハドラー、クロコダイン、ヒュンケル、フレイザード、バラン、超魔生物ハドラー、ミストバーン、キルバーンが立ちはだかるのです。

 敵だった人が味方になったり、仲間が「邪魔する人」を引き受けたりと、人間関係の見せ方が上手なマンガですので、小説を書きたい方でも一度はお読みいただきたいと存じます。

 とくにダイとともにアバンの弟子だった魔法使いポップは「手助けする人」のお手本です。

 また魔王軍六団長のヒュンケルまたダイの父バランといった「邪魔する人」の扱いは「剣と魔法のファンタジー」だけでなく、さまざまなジャンルに応用可能なほどの意外性を見せてくれます。





最後に

 今回は「手助けする人と邪魔する人」について述べてみました。

 第三者がどれだけ物語を面白くしてくれるのか、その一端がわかったのではないでしょうか。

 物語開始当初は人間関係がゼロであっても、「手助けする人」がいればトントン拍子に人間関係が構築されていきます。

 そうした人の助けを受けて「邪魔する人」をひとりずつ倒していくのです。

 そうすれば、読み手を飽きさせない展開にすることが可能になります。




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