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380.深化篇:読まれることを想定して書く

 今回は「読み手に読んでもらうことを想定して書く」ことについてです。

 二次創作はオリジナル作品の愛好者がターゲットであることが明確です。

 だから二次創作は自分のために書いても読み手を自然と確保できます。

 しかし一次創作(オリジナル小説)の場合は、あなた自身のために書いても読み手に響かないことが多いのです。

 だからこそ「読み手を想定して書く」必要があります。

読まれることを想定して書く


 不思議なもので、「小説を書く」ときに「誰かに読まれる」ことを想定していないまま執筆する書き手が結構いらっしゃります。

 小説投稿サイトに掲載されている作品の中にも、「誰かに読まれる」ことを想定していないのではないかと思われるものが見受けられるのです。

『pixiv小説』で主流の「二次創作」については自分のために書いても、読み手がつきます。

 ですが『ピクシブ文芸』や『小説家になろう』『カクヨム』などの「一次創作」つまり「オリジナル作品」の場合は、自分のために書いても他の人に読まれることはまずありません。




二次創作には明確な読み手が存在する

 現在『pixiv小説』でランキング上位を占める「二次創作」は、必ず「一次創作(オリジナル作品)」が好きな方に向けて書かれています。

 そうでなければ「二次創作」を書く意味がありませんからね。

 たとえば渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(『俺ガイル』)の「二次創作」なら、『俺ガイル』のファンに向けて書かれているのです。

『pixiv小説』の「男子に人気」ランキングで上位を独占している『俺ガイル』の「二次創作」は、明確に読み手が意識されています。

 それは付けられている「タグ」を見てもわかるでしょう。

 主人公「比企谷八幡」はたいてい入っています。

 そこに誰が絡んでくるのか。

「雪ノ下雪乃」「由比ヶ浜結衣」の二大ヒロインの他「雪ノ下陽乃」「平塚静」「一色いろは」「戸塚彩加」など、「対になる存在」が誰になるのかを「タグ」で明確にしています。

「二次創作」は需要があるから人気も高くなるのです。

 どんなカップリングかを明確にすることで読み手へ「ピンポイントにアピールする」ことができます。

『コミックマーケット』(『コミケ』)でも「二次創作」の新刊本のアピールポイントはカップリングを明確にすることです。

『コミケ』でハーレムものを書くより、カップリングを明確にしたほうが売上は確実に見込めます。

 それは来場者がカップリングを重視して頒布物を手に入れようとしているからです。

「二次創作」には明確な読み手が存在します。

 だから『pixiv小説』では「タグ」でカップリングを明確にすることが有効なのです。




オリジナルでも読み手を明確にする

 対して「一次創作」(オリジナル作品)は「自分の脳裏に焼きついている物語を書きました」という「読み手のことを意識していない」作品を書いてしまいがちなのです。

 いわゆる「読み手不在」の小説になります。

 そんな小説は誰の心にも響かず、たとえ閲覧数があってもブックマークや評価が付かないことが多いのです。

 対象はできるだけ明確に絞りましょう。

 そのほうが断然ブックマークや評価がつくはずです。


 あなたの書こうとしている小説は「どんな人に読んでほしい」のでしょうか。

 中高生ですか、大学生ですか、青年ですか、中年ですか、熟年ですか、老年ですか。

 学生生徒ですか、平社員ですか、管理職ですか、経営者ですか、医者ですか、建設業者ですか、八百屋ですか。

 他にも男女のどちらに読んでもらいたいですか。

 あなたは、誰に読んでもらいたくて小説を書こうとしているのでしょう。

 これが判然としないことには、いくら筆致を凝らしても誰も読んでくれませんし、ブックマークや評価も付きません。

「これ、誰に向かって書いているのかわからない」と判断する人はあまりいないのです。

 ただし「これ、私には関係ないことだ」と断定されることはあります。

 一度「私には関係ないこと」と思われたら、読み手がその小説を続けて読む理由がなくなるのです。

 だからまず読み手を明確にしてから執筆しましょう。

 そのほうがブックマークや評価は確実に高まります。

 八方美人がいちばんよろしくないのです。

『コミケ』でカップリングを明確にしたほうが売れるのと同じ理屈です。




読み手を想定する利点

 読み手を明確に想定する利点は「主人公のことを自分事として感じさせる」ことです。

「あ、これ私のことだ」と思ってもらえたら、読み手が作品を継続して読んでくれるようになります。

 それによって作品の評判がいや増すのです。


 前述の『俺ガイル』の主人公・比企谷八幡は、現代中高生男子でライトノベルを読む層にかぎりなく近い人物像に設定されています。

「あ、これ俺のことだ」と思う人が多いから、『俺ガイル』は多くの読み手を確保したのです。

 もし葉山隼人を主人公にしていたら、『俺ガイル』はこれほどまでの人気を得られなかったことでしょう。

 人間関係をこじらせている八幡だからこそ、多くの中高生が「自分事として」深く感情移入するのです。


 川原礫氏『ソードアート・オンライン』(『SAO』)の主人公である桐ヶ谷和人(キリト)は重度のVRMMORPGプレイヤーです。

 『SAO』が書かれた当時はまだ「VR」が概念でしかありません。「MMORPG」は勃興してきたばかりの時期です。

 そして『SAO』が発表されたのはインターネット上の個人ブログでした。

 当時インターネットを使っている人は、相当のPCフリークしかいません。

 PCフリークの多くが「MMORPG」をプレイしていました。

 だから『ソードアート・オンライン』は「インターネットでMMORPGをプレイしている層」を明確な読み手として設定していたのです。

 このように「読み手にウケる主人公像」でなければなりません。

 反応速度が速く、ユニークスキルの「二刀流」を持つ天下無双の主人公。

 多くの読み手がキリトに「憧れ」を抱きました。

 多くの人たちがキリトに深く感情移入し、物語の難局を一緒になって乗り越えていくことになるのです。

 これで人気が出ないほうがおかしい。

 ですが『SAO』発表当時は「小説投稿サイト」がほとんど存在していません。

 川原礫氏も個人ブログに細々と書いてアップロードしていただけです。

 その点、今は『小説家になろう』を筆頭に『エブリスタ』『アルファポリス』『カクヨム』などさまざまな「小説投稿サイト」が普及しています。

 スタート地点は川原礫氏よりも数段上のところから始められるのです。

『小説家になろう』は123万アカウントを誇ります。

 つまりあなたの小説の潜在的な読み手は123万人なのです。

 明らかに川原礫氏のデビュー当時よりも有利になっていますよね。

 時代は変わっていきますから、「小説投稿サイト」よりもさらに洗練されたサイトが登場するかもしれません。

 ですが現状、出版社と組んでいる「小説投稿サイト」は小説賞⇒投稿⇒評価⇒受賞⇒出版という流れが確立されています。

 当面の間は今の小説投稿サイトの規模が拡大していくだけにとどまるでしょう。

 しかしパラダイム・シフトはいつか必ず訪れます。





最後に

 今回は「読まれることを想定して書く」ことについて述べてみました。

 二次創作は確実に「(一次創作のファンである)読み手を想定して」書いてあるのです。

 しかし一次創作(オリジナル作品)へ目を向けると、「書き手の書きたいように書く」だけで読み手が二の次になってしまいます。

 もちろんスランプに陥っているときは「書き手の書きたいように書く」ことでスランプを脱することができるのです。

 スランプでもないのに「書き手の書きたいように書く」ようでは、読み手は誰も評価してくれません。

 これからでも遅くはありません。

 皆様もぜひ「読み手を想定して」執筆しましょう。




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