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353.不調篇:不評は次作への加速器

 今回は「不評(クレーム)」についてです。

 刀を鍛造する際、炉に鋼を入れて熱せられたら取り出して鎚で打ち、水に浸けてまた炉に入れます。

 小説で言えば、書き手の意欲を注いで完成させた連載小説のある回が、読み手の「不評(クレーム)」によって叩かれるのです。

 そこで終わってしまうと書き手として伸びません。

 きちんと水に浸けて冷静になり、次の連載回の投稿までにできるだけ意欲を持って取りかかれるようにするのです。

 そうして初めて小説が連載できます。

不評(クレーム)は次作への加速器


 精いっぱいの頭脳と熱意を駆使して書きあげた小説です。

 しかし読み手からは「不評(クレーム)」ということがよくあります。

 ストレスを感じて気持ちが大きく落ち込むものです。

 でも執筆をあきらめないでください。

 どんな素人でも、本数を書きさえすれば必ず上達していきますから。




負荷が評価を要求する

 小説の執筆は、書き手へ身体的にも精神的にも多大な負荷を与え、一作書き終わると燃え尽き症候群が襲ってきます。

 連載小説を書いていて、ようやく一作の連載が終わったとき、翌日から新連載を投稿できるものでしょうか。

 かなり難しいと思います。

 連載小説は数十回人によっては数百回は続くわけですから、多大な負荷を受けた直後にさらなる負荷をかけたら体調を崩すでしょうし、鬱病を発症しかねません。

 連載中の負荷を和らげるのが、読み手からの「肯定的な評価」です。

「肯定的な評価」が寄せられると「よし、この人のためにもきちんと連載を続けないと」とさらなる負荷と正面から向き合うことができます。


 ですが執筆が「娯楽」になっている人は、まったく負荷を感じないのです。

 だから切れ目なく新連載が始まります。

「プロの書き手」を目指す方は、「執筆は娯楽だ」と思えたほうがいいでしょう。

「小説を書いているのがいちばん楽しいんだよね」という方は、創意工夫を凝らして「よりよい小説」を目指せます。

 楽しんで書いていれば成長が早いのです。

「好きこそ物の上手なれ」と言いますよね。

「小説を書くのが楽しい」からいくらでも書けるのです。

 もし「プロの書き手になりたい」という思いを心に秘めているのでしたら、まず「小説を書くのが楽しい」レベルになるまで小説を書きまくってください。

 最初はかなりの負荷を感じるはずです。

 ですが、あるときを境に突然「小説を書くのが楽しい」と思えるようになります。

 筋肉トレーニングと一緒で「負荷に慣れてきて」かえって楽しみすら感じるようになるのです。




負荷がかかるから責任を感じる

「楽しんで小説を書いている」と、えてして書き手としての責任を放棄してしまうものです。

 書き手本位になってしまい、読み手が読んでもつまらない小説を量産することになります。

 対して負荷を感じている人は、文責も同時に感じるのです。

 文章への責任はできれば避けたい方もいるでしょう。

 ですが、責任を感じているからこそ「こんな評価を受けてしまった。これは私の至らなさが招いた結果だ」と判断します。

 書いていて楽しい人は「もっとよい小説を書こう」としますが、負荷を感じる人は「もっと勉強してツッコまれないような小説を書こう」とするのです。

 つまり楽しんで書いている人は「書きたいことを余すことなく書いた小説を目指す」ものですし、負荷を感じる人は「完璧な小説を目指す」ようになります。

 楽しんで書くと「書き手本位」になりやすく、負荷を感じながら書くと「読み手本位」の小説になりやすいのです。

 いくらでも書いていられる人は、間違いなく楽しんで書いています。

 そんな人は「読み手」の存在を強く意識してください。

 ツッコまれないような小説を書こうとしている人は、もう少し自分が書きたいことが書けるよう強く意識しましょう。

 両者のバランスがとれた小説こそ、書いていて楽しく、読んでも楽しめる作品になるのです。

 そしてその負荷は小説を書きあげることで解放され、評価を得ることで喜びに転化します。




誰が書いても同じではない

 小説の素である「世界観・舞台」「主人公」「対になる存在」「第三者」「人間関係」が同じものであっても、出来あがる小説は十人十色、百人百様、千差万別です。

「誰が書いたって同じ小説にしかならない」「だからしょせん私程度の筆力では、たいした小説なんて書けない」とは思わないでください。

「あなただから書ける小説」というものが確実に存在するのです。


 人生経験は人それぞれに異なります。

 物語にどういう出来事を起こそうか、つまりエピソードを考えてみてください。

 それだけでも百人いれば百通りの出来事・エピソードが思い浮かびます。

 だから主人公が出来事をどう感じたかは書き手の数だけパターンが存在するのです。


 もちろん社会通念として「こういう事態になったらこう対処すべきだ」というものはあります。

 ですが社会通念に縛られていては、小説がその狭い世界でしか展開しなくなるのです。

 そんな小説にダイナミズムがあるのでしょうか。

 もしダイナミズムを感じるという方がいるのでしたら、それはその方の価値判断があるのかもしれません。

 でもたいていの読み手は、狭い世界でしか出来事が起こらない小説を「退屈だ」と断定します。

 ぜひ「あなただから書ける小説」を書きましょう。




不評(クレーム)は次作への加速器

 あなたの新作が小説投稿サイトで不評だった。

 よくあることです。

 プロ野球のイチロー選手でも絶好調期で六割ほど失敗しています。打率四割程度で、残りの六割はアウトになっているのです。

 小説も、書いた作品が毎回傑作であることなどまずありません。

 不評(クレーム)を受けたら、それを糧にして「次作で挽回してやろう」という気概を持つべきです。

 けっして「こんなにボロカスに言われるのであれば、もう小説なんて書かない」とは思わないでください。

 本来「あなただから書ける小説」を多くの人が読めなくなるのはあまりにももったいなさすぎます。

「あなただから書ける小説」はたいていの場合「傑作」であることが多いのです。

 だから出し惜しみしたり不評(クレーム)にふて腐れたりして書かないでいるのは今すぐやめましょう。

 書けば必ず形になります。

 形になったら小説投稿サイトへ投稿して、読み手の反応を確認してください。

 そこで不評(クレーム)を受けても、次作の執筆で発奮すればいいのです。

 たかが一作、二作不評(クレーム)が続いたからといって、「もう書かない」という選択をするのだけはやめましょう。





最後に

 今回は「不評(クレーム)は次作への加速器」ということについて述べてみました。

 世にある小説の大半は「不評(クレーム)」を受けているのです。

 それが現実であることをまず認識してください。

 あなたの小説が「不評」だったとしても、それは大半に含まれただけです。

 あなたが何割バッターか私にはわかりません。

 しかし打率〇割というのはセ・リーグの投手くらいなものです。

 野手であればどんなにスランプで〇割台であってもヒットを一本は打っているものです。

 だからヒットが出るまで打席に立ち続けてください。

 あきらめずに基本を守っていれば必ずヒットは打てます。




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