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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
基礎篇〜右も左もわからないときは、まずは基礎から
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32. :ライトノベルのネタ探し

 今回は「ライトノベルのネタ探し」をテーマにしました。

 ラノベの主要ターゲットは中高生なので、それに沿う形でいかにネタを出していくか。

ライトノベルのネタ探し


 現在最も小説家への近道なのは「ライトノベル作家」になることです。

 しかし前回コラムでお話ししたとおり、ライトノベル作家には年に三、四巻を出版するノルマがあります。週刊少年マンガも同様に年に四巻の刊行ペースです。読み手のターゲット層が重なるライトノベルと週刊少年マンガでは、求められる刊行ペースも等しくなります。これより速ければ積読が増えていきますし、遅ければ忘れ去られてしまいます。年に三、四巻は中高生にとって理想的な刊行ペースと言えるでしょう。

 そんなペースで作品を書くなんて無理。ネタがすぐに尽きるし。

 そんな声が聞こえてきそうです。でもネタはけっこうありますよ。




学園ものはイベントを活かす

 年に三、四巻ということは「春夏秋冬」に一巻ずつ出すということです。これは作品に季節のイベントを絡めて書けるという利点をもたらします。

 学園ものであれば春なら卒業や進学やクラス替えや花見、夏なら夏休みや海水浴や登山や合宿、秋なら芸術や食べ物や体育祭や文化祭、冬なら年末年始や受験やバレンタインデーや修学旅行などです。パッと思いついただけでもすぐにこれだけのネタが挙がります。

 学園生活には様々なイベントがありますから、年に三、四巻のペースでもネタが尽きることはまずありません。ネタを出尽くした感が起きたら担当編集さんが「打ち切り」を提案してくるのでそのまま連載を畳んでしまっていいと思います。新規連載であれば前作と同じイベントがまた使えるので当分ネタに困ることもないでしょうしね。




剣と魔法のファンタジーなら

 初期のライトノベルは総じて「剣と魔法のファンタジー」が舞台でした。

 こちらではイベントを作者が創作することになります。

 ただまったく斬新なイベントにする必要はありません。斬新なイベントはそれはそれで魅力的ですが、現在を生きるライトノベルのターゲット層である中高生には今ひとつ響かないのです。

 時期がズレても基本的なイベントは学園ものに準ずるなどして対応すれば読み手の共感を得やすくなります。

 とくに「剣と魔法のファンタジー」は書き手次第で「なんでもあり」の世界です。破天荒なイベントもよいのですが、現実味を持たせる意味でも「現実と同等のイベント」があれば一気に親近感が湧きます。

 バレンタインデーの代わりとして「想い人に生肉を贈る」などという奇抜な発想ができるのもファンタジーならでは。

 また様々なお祭りや催しを開くことで現実味を持たせることも可能です。人身御供などの残虐なイベントが残る世界や地域もあるやもしれません。ファンタジーは現実世界から変換してネタを作れるので、ネタに困ることはまずありません。




サイエンス・フィクション(SF)なら

 書き手がネタでいちばん困るのがSFだと思います。

 SFは社会のあり方そのものが異なっており、コミュニティーの形態によっては現代のイベントがまったく通用しないことも多いのです。

 花見を持ち込もうとしても、そもそもそのSF世界に桜は存在しているのでしょうか。かなり怪しいですよね。宇宙船の中に桜並木があるというのはかなりの違和感です。近未来SF程度なら桜はあっても不思議ではありません。でも遠未来SFやスチームパンクSFで桜はちょっと想像できないですよね。他に花があるようならその花を見ながらどんちゃん騒ぎというのはありえるでしょうけど。

 まったく新しいイベントでは読み手の共感は得にくいですが、作品の「軸となるイベント」を設定することで話の筋を通す役割を与えることができます。

 たとえば「ランク制」を導入して「ランクの入れ替えイベント」「ランクバトル」を発生させる。これだけでも一本筋の通った世界観になるのです。

 井上堅二氏『バカとテストと召喚獣』、鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』などは一般的なファンタジーですがこの「ランク制」をうまく取り入れています。それをSFに応用すればいいのです。

 マンガとアニメで人気の士郎正宗氏『攻殻機動隊』は電脳世界に設定されていて「電脳」「義体」と現在のコンピュータ技術との組み合わせで様々な事件を起こしていきました。これは「軸になるイベント」というより「軸になるアイデア」といえますね。

 ただ「軸になるアイデア」はたくさん組み合わせ過ぎると読み手がついてこれません。SF小説では「ワン・アイデア」で勝負するほうが読み手は気軽にそのSF世界を楽しめるようになります。

 このようにSFのネタづくりは書き手の創造力に負うところが大きいのです。書き慣れない書き手にはあまりオススメできないジャンルといえます。

 「でもSF好きなんだけど」と思うのでしたらどんどん書いていきましょう。ネタが尽きたところからいかに模索していくかを自らの経験として知っておくことで、将来連載するときに必ず役に立つはずです。




ミステリーなら

 おそらく書き手がネタ不足を深刻に考えるのはミステリーものです。オリジナルの謎解きを考え出さなければなりません。でもそれほど悩まなくてよかったりします。

 現在のミステリー小説は、犯人と犯行の組み合わせで謎を作っているだけで、大筋のトリックは古典から現在に至るまでほとんど変わっていません。つまり近年の書き手たちは多かれ少なかれ古典などからトリックをパクっています。ただパクるときに同じ犯人像にしないように配慮されているものが多いのです。

 またトリックは同じでも、犯人を追い詰める手法に独自の特徴を出して差別化する手法があります。だからミステリー小説を書くときは古典を含めて多くのミステリー小説を読んでおくべきです。それがネタ切れを防ぐ最大の要点になります。




ターゲット層が中高生であることを意識する

 ライトノベルのメインターゲット層は中高生です。そして『グイン・サーガ』『銀河英雄伝説』『ロードス島戦記』といったライトノベルに片足を入れた小説に親しんだ世代が、そのままライトノベルの読み手として今でもとどまっています。

 中高生から中年まで幅広くカバーしなければなりません。でも中年を意識して難読漢字やカタカナ語を羅列したり難解な展開をしたりすると、メインターゲット層である中高生に読まれなくなります。

 中年もライトノベルには「ライトノベル」として存在していてほしい。

 つまり中高生にわかりやすい表現をしているライトノベルは、そのまま中年が求めるライトノベルの姿でもあるのです。

 そしてライトノベルのネタも同様で、現在の中高生が求めるネタを中年は読みたいのです。

 「心の若さを保つ」と捉えるか「心の幼稚さを引きずっている」と捉えるかは権威のある批評家に任せます。

 少なくともライトノベルは「文学小説」よりも「ワクワク・ハラハラ・ドキドキ」が味わえます。娯楽性の高さが社会人にも広く受け入れられている。それがライトノベルの醍醐味ではないでしょうか。





最後に

 今回は「ライトノベルのネタ探し」について述べました。

 中高生に向けた大衆小説がライトノベルなので、メインターゲット層はあくまでも中高生です。

 メディアミックスされた際、過去にライトノベルで育ってきた中年に注目されます。大人の資金力を活かして、新刊の青田買いができるのも中年の強みです。

 ですが、初めに「中高生」ありき。

 ここを見誤るとせっかく書いてもまったく読まれないライトノベルになってしまいます。




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